屋久島
(2003.8.8〜2003.8.12)
 

屋久島ツアー顛末記 その1 (8月8〜9日)
 ようやく夏休みです。いつもの姐さんたち(悪い遊び仲間)と旅行に出かけました。行き先は屋久島。5月10日付けのROY草子にも書いてありますが,今から3ヶ月ほど前に急遽決定した旅行企画で,8月10日〜8月12日,2泊3日のツアーです。当初,8月9日〜8月11日で予定していたのですが,その日はすでにいっぱいになっていて,次の日からの3日間になったのです。今思うと,10日出発でよかった〜。9日だったら,台風で飛行機が飛ばなかったかもしれませんから。

 ここでみなさん,お気づきでしょうか。8月10日からの旅行なのに,日付は8月8日〜9日…。そう,この旅行は前々日から始まったのです。
 今回のメンバーは,Hさん,T姐さん,ぐりちゃん,ぐらちゃん,わたしの5人。これに史上最強のおねいちゃんSさんが加わればベストだったのですが,Sさんは毎年この時季になると沖縄方面に勝手に繰り出してしまうので,今回も例に漏れず不参加。ちなみに,Sさんは8月8日から石垣島へ行ったのですが,この日は部会の研究発表会の日。しかも,Sさんはなぜか提案者として舞台に上がらなければならなくなっていたのです。「あたしの旅行をどうしてくれんのよ!!」とこの日は朝からお怒りモード全開…。「一緒に行く友だちは,午前の便に乗るのに,あたしだけ提案が入っちゃったから午後になったんだからね!しかも,台風来ちゃったし,離陸できなかったらどうすんのよー!!」さらにSさんの怒りは続きます。「だいたい,この提案は研究主任が中心になって進めるものなのに,奴は集まった時に,『で,何をすればいいの?』なんて聞いてきやがった!誰が研究主任だ!!」…この研究主任,実はメンバー全員が一緒に仕事をしたことのある方で,本来すべき仕事をまったくしないで調子のいいことばかり言う方なのです。で,全員の一致した意見は,「そりゃ,裏の研究主任はSさんだよね…。」結局,発表が終わったとたんに羽田空港に向けて出発したSさんは,無事に石垣島までたどり着けたのでしょうか…?

 話がそれましたが,この研究発表会の場にいたのは,T姐さん,ぐらちゃん,わたし,Sさんでした。T姐さん,ぐらちゃん,わたしの3人で当日の朝の予定を立てようとしたのですが…「飛行機の時間って何時だっけ?」「さあ?」「11時くらい?」誰も正確に覚えていません。「どこで待ち合わせる?」「…羽田は行ったことないよ。」「だいたい,時間がわからないとどうしようもないんじゃ…。」結局,その場で決まったのは「また後で電話しよう。」ということと,わたしがぐらちゃんの家に前日から泊まり込むということだけ!

 翌日,9日のことです。朝から台風接近で荒れています。ぐらちゃんの家に行くのは,夜になってから。でも,夕方になるにつれて,天気は悪くなっていく…。本当に大丈夫なんでしょうか?ぐらちゃんの家は,職場のすぐそばです。自宅からは40分ほど。雨はだいぶ小降りになっていたので,あまりひどいことにならずにたどり着くことができました。「ROY,お待ちしておりました〜。早速仕事があるよん。」ぐらちゃんの家に着いて早速したのは,電車の時刻を調べることでした。ネットで検索して,どの電車に乗るのがベストなのかを検討したのです。5人の最寄り駅はほとんどバラバラです。使っている路線も違います。これをそろえようというのだから大変!わたしは1人だけまったく違う路線を使うので,ぐらちゃんの家にお泊まりをしたわけです。で,あと4人をそろえればOKです。ぐらちゃんとHさんは隣の駅だから問題なし。T姐さんも,この路線を使うことが可能なので,そちら経由で来てもらうことにしました。ぐりちゃんには,途中でこちらの電車に乗り換えてもらうようにしました。接続を調べ,ぐりちゃんの乗るべき電車を連絡して準備OK!乗り遅れなければバッチリなはず。さらに,ぐらちゃんと一緒に,お泊まりする宿のHPを見て事前調査。それなりに良さそうなお宿です。電車に乗り遅れないように目覚ましをセットし,お休みなさ〜い! 

屋久島ツアー顛末記 その2 (8月10日)
 いよいよ屋久島に向けて出発です!ぐらちゃんが前の日に買っておいてくれたサンドイッチを朝食にし,早速駅に向かいました。ぐらちゃんの家から駅までは10分もかかりません。大荷物を持っていましたが,ガラガラ引っ張っていけるキャスター付きなのでらくらくです。
 自販機の前で羽田空港までの金額を確かめると…「1520円!?」「何この料金!!」「やっぱり日本一料金の高い鉄道だよね…。」JRよりも高額な私鉄なのです。(子ども料金にしたいよな…。でも,髪の毛パーマかけてるから小学生は無理だよねえ。)素直に料金を払って駅のホームへ。羽田空港行きの電車に乗りました。T姐さんが指定してきたのは「前から3両目」です。「普通,一番前とか後とかにしない!?」とぐらちゃんと言っていたのですが,T姐さんの言うことには逆らえません(笑)。
 次の駅ではHさんが乗ってくるはずです。「乗ってくるかなあ。Hさんだからどうなるか…。」と心配しましたが,Hさんはちゃんと乗ってきました。でも,息が上がり,汗もかいています。「間に合わないかと思ったよ〜。」開口一番,Hさんはこんなことを言いました。「…遅れそうだったの?」「うん,思わず走っちゃったよ。」「って,家から駅まで5分位じゃなかったっけ?」「うん,そうだけどさ。」間にあったけれど,やっぱり滑り込みセーフなのでした。
 そのうち,向かい側に乗っている人がなぜかこちらをジッと見ていることに気がつきました。すると,ぐらちゃんが「あっ!ご無沙汰してます。」とごあいさつを始めました。どうやらお知り合いのようです。(保護者かな?)と思いましたが,本人を目の前に「誰?」と聞くのも嫌だったので,そのままにしていました。
 しばらくして,T姐さんがやってきました。T姐さんは涼しい顔して乗ってきました。すると,先ほどの方を見て「あー!」とビックリ。どうやら,T姐さんもお知り合いだったようです。(ってことは,保護者じゃなくて同業者か!?)後で聞いてみたら,現在T姐さんと同じ職場の方だったのです。ちなみに,羽田空港でも別の同業者と出くわし(今度もぐらちゃんの知り合い),「世の中は狭い…。」と実感したのでした。
 最後はぐりちゃんです。ぐりちゃんもちゃんと乗ってきました。ぐりちゃんに会うのは久しぶりです。彼女だけ所属する部会が違うので,出張でもあまり会うことがないのです。

 空港には,早めに着きました。飛行機好きのT姐さんにおつき合いして,いろいろなお店の中に入ってみました。T姐さんは飛行機グッズが欲しかったのです。ミッフィーやキティもいました。かぶり物をしたキティってけっこういるのです。でも,梨キティはいなかった…。あまりメジャーじゃないってこと?それとも,希少価値があるってことか?
 何事もなくスムーズに行くかと思いきや,手荷物検査で引っかかってしまいました。リュックに入れていた,とても小さいアーミーの存在をすっかり忘れていたのです。屋久島空港でお引き渡しという手続きをとったので,ちょっと時間がかかってしまいました。

 飛行機に乗るのは,これで2度目です。フランクフルトに行って以来のことです。飛行機は耳鳴りがするのと,無重力状態になる瞬間が大嫌い。でも,わたし以上に飛行機が嫌いな人がいました。ぐりちゃんです。本人曰く「音が嫌だし,ぐらぐら揺れるのも嫌。落っこっちゃうんじゃないかって不安になるんだよ…。」ぐりちゃんは,いつもヘッドホンの音量をMAXにしたり,耳に手を当てたり,防御姿勢をとったりしながら飛行機に乗っているのです。今回もそうでした。「こわいよ〜。」とちっちゃくなっていました。T姐さんは,「大阪の上空を通らないかな〜。そうすれば,鍵穴が見られるんだけどな。」とウキウキしています。「鍵穴?」「うん,お墓だよ。」「!前方後円墳と言ってくれ!!」「仁徳天皇陵のこと?」こんなわたしたちは社会科研究部の所属です(爆)。
 飛行機の中はそれなりに快適…かな?晴れていたので,下はよく見えました。「あれ,市原の工業地域じゃない?」「海ほたるも見える。」「ちゃんと地図と同じになっているじゃん。」…地図通りじゃないと困るんですけど…。「上空から地上を見下ろす風景ってさ,○○周年記念とかっていってヘリから集合写真撮るじゃない。あれと同じに見えるねえ。」「白地図みたい。」こういう発言が出るあたり,やっぱり教員です。高度が上がり,海上に出てしまうと,晴れている時は海しか見えないからおもしろくありません。隣にいる人とおしゃべりをして過ごしました。その途中,驚きの事実が発覚!Hさんが都立雪谷高校の出身だということが判明したのです。「え?雪谷って今日試合あるはずだよ。」「第2試合ってことは…今やってるじゃん!」「え?今日なの?」飛行機に乗る前にスポーツ新聞を買っていたHさんですが,そこまではチェックしていなかったようです。(そういや何でスポーツ新聞を買ったんだろう?競馬が目的じゃないって言っていたけど。)Hさんはあわててラジオを合わせました。「あー,負けてるわー。」「PLだからねえ…。」

 鹿児島空港に無事到着。定刻よりかなり遅れていました。「さっきの手荷物検査引っかかったからじゃん?」という声も聞かれましたが…はっはっは。鹿児島空港では昼食を求めてさまよい歩きました。もしかしたら,機内で何か食べ物が手に入るんじゃないかと期待していたのですが…お飲物だけ。ちっ。到着が遅れたため,お店に入るのは無理。しかも,1時過ぎていたのでとにかくお腹が空いた!というわけで,サンドイッチやおにぎりで済ませることにしました。
 次は屋久島行きの飛行機です。こちらはプロペラ機!ルリーちゃんというマスコットが愛らしい小さい飛行機です。乗る時には,空港の地面を歩いていきます。「やった!九州初上陸!!」そう,九州に行ったことのない人がけっこういたのです。わたしもそのひとり。もし,プロペラ機じゃなかったら,地面を歩くことなく次の目的地に行くことになるので,九州本土に上陸とは言えなくなったでしょう。たったの5分程度ですが,九州本土に足を着けてまいりました(笑)。
 こちらの飛行機はプロペラ機ということで「本当に大丈夫なのかなあ。」という不安があったのですが,乗ってみたら快適!高度やスピードがあまりあがらないため,かえって安心感があるのです。おいしいキャンディーをもらえたのも嬉しい♪耳鳴りもほとんどなし!桜島を眺め,屋久島へと向かいました。

これがプロペラ機ルリーちゃん♪

 屋久島空港は,こぢんまりとしています。「なんか,バス停みたいな感じじゃない?」「いや,それよりも鉄道の駅って感じだよ。」みんな勝手なことを言っていますが,本当にこれが空港のロビーなのかと思うくらい狭いのです。でも,お客さんの人数を考えると,これで十分なのです。

 空港にはツアーの担当の人がお迎えに来ていました。事務所によって打ち合わせをすると言うことなので,ワンボックスカーに乗り込んだのですが…クラッチが入らない!ようやっとスタートしましたが,どうみても安全とは言い難い車の状態…。(こ,この車でお宿まで行くのは嫌だなあ…。)幸い,事務所は歩いても行けてしまうくらいの近さでした。結局,宿まではタクシーに乗ることになりました。(もちろん,送迎付きのツアーなので,タクシー代はすでにツアー料金に含まれています。)
 事務所での打ち合わせは,2日目の縄文杉トレッキングがメインです。「4時半に迎えが行きますから。」「は?5時半じゃないんですか?」「少しでも早い方がいいんですよ。」「ってことは,3時半起き!?」「朝ご飯は,宿で手配してくれます。バスの中で食べないで,登山口に着いてから食べる時間をとるから大丈夫ですよ。」「……。」「今日は遅くまで宴会していないでくださいね。そうそう,おやつは1000円以内ですよ〜なんてね。」「………。」「この間の台風の時にも行っていますから,雨でも大丈夫な用意をしておいてくださいね。軍手も必需品ですよ。」「軍手,持ってないわ…。」なんだかとんでもない強行軍になりそうです。
 宿に向かう途中,おやつや軍手を購入するため,スーパーに寄ってもらいました。タクシーの運転手さんは非常によく心得ています。「このスーパーならたいていのものがそろうよ。」確かにそうなのです。本屋まであるしね(笑)。おやつを山ほど購入し,お宿へ行きました。

 お宿の部屋は,1階の2部屋です。その場所にはこの2部屋しかありません。フロントから近くていいなあと思ったのですが…まわりをよく見ると,共同トイレが隣にあり,宴会場が向かいにあります。「うるさくならないのかな…。」この心配は思いっきり当たってしまいました!なんと,トイレで水を流している音も,宴会場の大騒ぎも筒抜け。マイクを使ってカラオケをやられたら最悪です。「…この環境で,どうやって早く寝ろって?」一同しばし呆然。でも,おもしろいのは,隣の部屋はふすまで仕切られているだけで,おしゃべりができてしまうこと。もしかしたら,仕切りも取れるかと思ったのですが…。さすがにそれはできませんでした。部屋割りは「グットッパッ」でグーとパーで分かれました。ぐりちゃんとわたし,ぐらちゃんとT姐さんとHさんの組み合わせです。肩こりコンビと宴会トリオとも言う…。

 夕飯までは時間があったので,散歩に行くことにしました。T姐さんには別の目的がありましたが。それは「ビール買うの!」T姐さんは毎晩アルコール消毒をしっかり行う人なのです。
 宿のすぐそばには川があります。この川は海に近い河口付近なので,海水が混ざっています。だから,潮の香りがします。でも,色はとてもきれい!明るい緑色で透明です。水深は1m以上あるのですが,ちっとも濁っていないのです。ゴミもありません。魚が泳いでいる姿も見られました。うちの方では絶対に見られない川の姿でした。
 T姐さんは無事にビールをゲットし,お宿に戻りました。夕飯は,海の幸でいっぱい!お刺身,トビウオのからあげ,豚骨スープがおいしかったなあ。みそ汁のダシがとても甘かった!あれ,お魚だと思うんだけど…。

 ご飯も食べたし,お風呂も入った!よし,あとは寝るだけ…と思ったのですが,やはり宴会がうるさい!カラオケもうるさい!ついでに,隣の宴会トリオも賑やかでした…。む,無敵です,姐さんたちは。でも,結局ぐりちゃんといろいろおしゃべりをしていて,宴会トリオよりも寝るのが遅くなったかもしれない…?

「いよいよ縄文杉往復10時間22kmコースへ挑戦!予期せぬことが次々と起こる珍道中。
果たして,無事にたどり着くことができるのか!?」


屋久島ツアー顛末記 その3 (8月11日)

 午前3時。起床時間まではまだ30分ほどありますが,なぜか目が覚めてしまいました。別に気合いが入っていた訳じゃないですよ。ぐりちゃんはまだ寝ています。(隣の部屋はまだ寝ているんだろうな…。)と思っていると,ボソボソと話し声がしてきます。(ん?珍しいなあ。もう起きているわ。どうしたんだろう?)そのうち,ぐりちゃんも起き出してきました。「ねえ,もう隣の部屋,起きたみたいだよ。」「ほんとだー。何してんだろうねえ。」起床時間になり,トレッキングの準備をある程度済ませたころ,隣の部屋が一段と賑やかになりました。「何だろう。ちょっと見てくるね。」ぐりちゃんは出かけていきました。ほどなくして帰ってきたぐりちゃん,開口一番「宴会してたわ…。」なんと,朝っぱらから宴会を始めていたというのです。「え,宴会!?何で〜?」「さあ?なんかお菓子いっぱい広げて食べていたよ?」この理由は,トレッキングの後,宿に帰ってから判明しました…。ということで,またあとで。

 4時10分頃,電話が鳴りました。フロントからです。「もう迎えが来ているので,準備ができたら来てください。」(ん?4時半って言ってたよねえ…。もう来たの?)そう思いましたが,あわてて準備を終え,ロビーに行きました。そして,前日に書いた健康調査票を担当の人に渡しました。この調査票ですが,宴会トリオが先に記載していたので,参考にしていいよということになっていたのですが,「T姐さんのだけはマネしちゃダメだからね。」とぐらちゃんから注意がありました。T姐さんは設問を全部逆に読みとってしまい,【はい,いいえ】で答える部分をしっかり逆に書いてしまうという大失敗をしたからです。

 バスに乗って,荒川登山口へ向けて出発です。雨が降っていて,外は真っ暗。一体どこを走っているのか,さっぱりわかりません。途中のお弁当屋さんで朝ご飯と昼ご飯を受け取りました。途中からくねくねと曲がる山道を登り始めました。でも,まだ暗くてよくわかりません。思っていたよりも遠く,結局1時間ちょっとかかりました。

 登山口ではガイドさんが待っていました。わたしたち5人に専属のガイドさんがついてくれました。TOKIOの国分太一に似た感じのお兄さんです。まずは朝食を食べ,トイレを済ませてから出発ということになりました。宴会トリオは,なぜかあまり食欲がないようです。「こんな時間に食べられないよ〜。」と言っていましたが,本当か?

 準備運動をして,さあ出発です。ガイドさんが「体力のない人を前にして並んでください。」と言ったのですが,わたし,ぐらちゃん,Hさん,ぐりちゃん,T姐さんの順に並びました。わたしの位置はあっていると思うけど,Hさんが3番目というのは大ウソ。本当は,わたし,ぐりちゃん,T姐さん,ぐらちゃん,Hさんの順です。(これを本人たちに言ったら「ROYが何で一番体力がないんだ?ウソ言うんじゃない!」となるかもしれない…。でも,右足首痛もあったから,これで正解なんだよ。)で,なぜ最初の順になったかというと,単に背の順です(爆)。

 縄文杉トレッキングコースは,前半8kmはトロッコ道をひたすら歩き,後半3kmちょっとを登山するという内容です。途中,トイレは1カ所だけ。トロッコ道の終点にあるのです。時間は往復で10時間。行きの方が帰りよりも時間がかかります。距離と時間を聞いただけでうへーと思ってしまいます。

 スタートした時は大丈夫だったのに,ほんの数分歩いただけで雨が降ってきました。「今日は絶対に雨が降るよ。雨具はいつでも出せるようにしておいて。」とあらかじめガイドさんに言われていたので,そんなにびしょぬれにならずにすみました。そう,最初だけは。確かに雨にはぬれなかったのです。でも,上下とも防水加工の服を着たため,汗びっしょり。蒸し暑いことこの上ないのです。カッパを着ていた他の人たちもそれは同じで,この後ずっと汗臭さに悩まされることになるのです。わたしは,リュックにもカバーを付けることにしました。黄色のカバーです。取り出して付けたとたん,「ROY,それはランドセルカバー?」「梨のマークがないねえ。(勤務先のランドセルカバーには梨のマークがついている。)」「いっちねっんせーいーになったーらー。」姐さんたちの毒舌攻撃。「…ほっんとに容赦ないっすねー。」

 しばらくして,ガイドさんが「みなさんはどういうグループなんですか?」と尋ねてきました。「仕事の友だちです。」と答えると「どんな仕事ですか。」とまた尋ねられました。「ねえ,どういう仕事かなあ?」と姐さんたちに訊くと,「サービス業だね。」「うん,接待業ともいうね。」と素早い返答。(実際に,ぐりちゃんの職場の上司は職員にそう言ったそうです。)それを聞いたガイドさん曰く,「…風俗業ですか。」一同大爆笑したことは,言うまでもありません。「そういうことにしておきます♪」

 風俗のお姉さんとなったわたしたちは,テケテケとトロッコ道をひたすら歩きます。途中で,大きな岩に出くわしました。ここでガイドさんの説明。「これは花崗岩なんです。屋久島はほとんど花崗岩でできているんですよ。ところで,花崗岩って成分は何だかわかりますか?小学校で習ったはずですけど。」そう言われたわたしたちの反応は,「えー?何だっけ?雲母はあってると思うけど…。」「ねえ,理科得意な人いなかったっけ?」「小学校で習うっけ,これ。泥岩とか礫岩とかそういうのは去年やったけどなあ…。」誰もまともに答えられません。「正解は,黒雲母,石英,長石です。」とガイドさんは教えてくれました。(…そんなの覚えてないよー。っつーか,それって中学か高校の理科じゃないのか?)しょせん,理科嫌いなわたしなのでした。でも,長石は非常に分かりやすい!岩のあちこちに白くてきれいな長方形が見えるのです。これが長石です。この説明を聞いてから,あちこちにある岩のどれもが,見事な長石を持っていることに気づくようになりました。

 それにしても,雨はどんどんひどくなっていきます。雨の中,ガイドさんの説明を聞いているのもしんどくなってきます。それ以前に,雨音でかき消されてよく聞こえない!とにかく,早く先に進もうということになりました。

 しばらく行くと,大きな川がありました。そこにかかっている橋を渡らないと先に進めません。この橋は,トロッコの幅だけ歩く部分があるけれど,手すりも柵もありません。その時,Hさんが「ねえ,リュック持って渡っていいと思う?」と言い出しました。何のことかなと思っていると,ガイドさんの所に行き,ガイドさんのリュックにつかまって橋を渡り始めました。彼女は高所恐怖症だったのです。以後,橋が出てくるたびに,彼女は先頭にやってきて,ガイドさんのリュックにつかまるようになったのでした。(でも,途中からは,ガイドさんがスタスタと先に歩いていってしまうので,わたしのリュックにつかまっていました。)

 ようやく,トロッコ道が終わりました。ここまでですでに10時近く。けっこう歩いています。雨があがり,一息ついたところでトラブル発生。「あ,カッパが破れてる!」見ると,Hさんの着ていたカッパの袖がビリッと大きく裂けているのです。「何でこんなになったの?」「リュックの上から着たからかなあ。」「…ねえ,もしかして,いつもの腕をぶんと上に振り上げるの,やった?」「あれ?何で分かったの?」「……それだよ!!」どうやら,腕を振り回した結果,カッパが破れたようです。にしても,これだけビリビリになったのをどうしたものか…。すると,他のガイドさんが「テーピングで留めておこうよ。」と修繕してくれました。ありがたや〜。でも,カッパって普通それくらいの動きで簡単に破けるものなんでしょうか。すると,Hさんは言いました。「やっぱ,300円のカッパじゃダメか〜。」「さ,300円!?」「うん。」それを聞いていたうちのガイドさん曰く「あんた,山,なめとるわ。」…ごもっとも。でも,山をなめた行為はこんなものでは済まなかったのです。T姐さんは,カッパは持っているけど,ウィンブレのズボンは持っていなかったし,ぐりちゃんの上着は防水加工はしていません。で,軍手なしの人もいる。さらに,この後もっととんでもないできごとが起こるのですが,それはまた後で。

 休憩中に,ガイドさんがメモを取り出して,わたしの名前を呼びました。「はーい!」と答えると,「え?」と不思議そうな顔をします。もう一度呼ばれたので,「はーい!」とまたお返事。「本当に?」とまだ半信半疑の様子。「じゃあ,Hさん。」「はい。」「ぐりさん。」「はい。」「……?」ガイドさんはますます不思議そうな顔をします。「どうしたんですか?」と聞くと,「え,いや,ROYさんが一番年上だと思ったんだけど,一番下なんだ…。」ガイドさんが見ていたのは,全員の名前と年齢の書かれている紙だったのです。「ど,どういう意味ですか!?」と言ったのですが,お返事はなし。その意味は登山になってわかりました。「みなさん,若い順に並んでいるんですか?」と訊かれたのです。そう,ガイドさんは「体力のない順」と言いました。おそらく,ガイドさんは,年齢が上の人から並んでいるはずだと思ったのでしょう。でも,わたしたちは,背の順に並んでいたのです。ガイドさんの言うことをちーっとも聞いていないのです。ちなみに,背の順に並ぶと,ほぼ年齢の若い順になるのです。ガイドさんの「若い順」という問いに対し,T姐さんの答えは「いえ,若い子順じゃなくて,悪い子順です。」ガイドさんは絶句。ちなみに,後ろに行けば行くほど悪い子度は上がっていきます。つまり,一番の悪い子はT姐さんで,一番の良い子はROY(爆)!

 今度は本格的な登山です。ここまで,有名な樹はまだ見ていません。ところどころに,もののけ姫の世界を思わせる場所はありましたが,通り道からはずれているので,一瞬眺めるだけで終わっています。どんな風景になるのか,とても楽しみでした。

 登山の頃になると,雨はほとんど降らなくなっていて,時折陽差しも出てきました。モウセンゴケがあったり,シダ植物があったり,苔むした岩や木々があったりと,ちょっと幻想的な風景です。勢いよく流れる川もあり,きれいな澄んだ湧き水もありました。この湧き水はそのまま飲めるのです。とても冷たく,おいしい水でした。大きな杉の木もたくさんありました。屋久杉と呼ばれるのは,樹齢1000年を超えたものだけで,それ未満のものは小杉というのだそうです。杉の木は,他の杉とくっついて大きくなるものもあります。夫婦杉という,枝がつながっているものもありました。縄文杉の樹齢は,2000年から7200年の間というとんでもなく長い期間で推定されているのですが,その理由が,縄文杉があれだけ太くなっているのは,他の杉とくっついたからではないかとも考えられるからなのだそうです。

 まず,ウィルソン株という切り株を見ることができました。NHKの朝ドラ「まんてん」のオープニングで使われていた映像は,切り株の中から天空を見上げた場面だそうです。昨日,衛星の総集編で「まんてん」のOPを見ましたが,確かにあんな風に見えます。ちょうど陽が差してきて,とてもきれいでした。ガイドさんが切り株の前で写真を撮ってくれたのですが,人が入れ替わりできて,なかなかうまくいきません。このガイドさん,けっこう写真の構図にこだわるので,時間がかかるのです…。でも,わたしたちの方もそれぞれ好き勝手に動くから,ガイドさんは「集まり悪いなー,今日は。」とこぼしていました。ごめんね,ガイドさん。わがままな風俗お姉さんたちで(笑)。

ウィルソン株の中から撮った写真は,
まだ現像していないそうだ…(爆)。

 他にも,枝が逆さまにのびている杉や,大王杉(っていったかな?)など,たくさん見られました。でも,いつ雨が降り出すか分からないので,とにかく先へ急ぎます。雨上がりの植物が日差しを受けてキラキラ光り,水滴も光を反射してさまざまな色に輝きます。まるで,宝石のようです。でも,だいぶへばってきているわたしは,とにかくゴールにたどり着きたかった!

屋久杉。
名前がついていたんだけど,
何だったっけ…?
大王杉かなあ?

 ようやく縄文杉にたどり着きました。予想外に白い木肌にちょっとビックリ。でも,荘厳な感じはしました。神様の棲む樹ってこんな感じなんじゃないかな。
 12時頃,昼食タイムとなりました。縄文杉から少し離れたところに屋根付きの休憩所があり,運良く座ることができました。ガイドさんはお湯を沸かし,温かい飲み物をくれました。温かいものを飲むと,ホッとして,疲れがとれる感じがします。ちょっと元気の出てきた姐さんたちの毒舌はここでまた復活。T姐さんが,ゴミ袋を用意してくれたのですが,「1回千円ね。」…こういうところで稼ごうとするか!?悪い子度100%のT姐さん,黒い心が全面に出ていました。「あ,ROYはこれで2回だから二千円〜。」「容赦ないっすね,ほんとに!!」ここで,ハタと思いついたことがあったので試しに言ってみました。「T姐さん,役満1回でどう?」「!OK〜♪」まったく,単純です(笑)。

縄文杉です。
これだと,あまり木肌の白さが
わかりませんね。

 さて,帰り道。今度はスピードが出ます。でも,山道だから,滑らないように慎重に行かなければなりません。「うわっ!」後ろで叫び声がしたので振り向くと,Hさんが転んでいました。「すべっちゃった〜。」「大丈夫?」「うん,大丈夫だよ。」彼女は元気に歩き始めました。そう,その時はまだとんでもないことが起きていることに気づかなかったのです…。

 行きは雨が気になり写真をあまり撮れなかったのですが,帰りは雨の心配がほとんどなくなり,あちこちで写真を撮れました。山道をだいぶ下ったところで,ぐりちゃんに非常事態発生!なんと,運動靴の底がぺろーんと剥がれてしまったのです。まだトロッコ道8kmが残っているので,靴を捨てるわけにはいきません。仕方がないので,ここでもテーピングに登場していただきました。足首に固定すると歩きにくくなるので,靴だけにテーピングを巻き付けるようにして応急処置をしました。ぐりちゃん曰く,「この靴,まだ新品なんだよ…。」

 ようやくトロッコ道のところまで下りてきました。トイレ&休憩タイムです。この時,Hさんがようやく非常事態に気づきました。「あれ?このシャカシャカ(ウィンブレのこと),破れてる〜。」見ると,思いっきり裂けているのです。「さっき転んだ時に破いたんじゃないの?」「うん,そうかも。やっぱ100円ショップで買ったからダメなのかなあ。」この様子を見ていたガイドさん曰く,「ほっんとーに山,なめとるな!」……ええ,もう何も言えませんわ。仰るとおりです。「今度はちゃんと準備するわ!」というHさん。でも,普段から服や靴をほとんど買わないし,買っても100円ショップやバーゲンの品。車だってあちこち壊れているのに買い換えない。携帯だってお金がかかるから持たない。そんな彼女の趣味は,右手1本でできる遊び…。お金の使い方,間違っていないか!?

 トロッコ道は延々ゆるい下り坂です。今まではガイドさんが先頭にいましたが,ここからはHさんが先頭になりました。「先頭って前が見えて気持ちいいよ!」とHさんはご満悦。でも,時々スピードが落ちます。どうしたのかと思っていると,橋があるのです。「T姐さん,先に行って!」とHさんはT姐さんのリュックをつかみます。最初は大人しくつかまっていたようですが,何度目かにT姐さんの悲鳴が上がりました。「ハンドル操作するな〜!!」Hさんは,T姐さんのリュックを怖さのあまりに引っ張ってしまったのです。結局,ポジションチェンジ。わたしが先頭になりました。そうそう,HさんとT姐さんは,山手線ゲーム飲み物編,スナック菓子編,カップ麺編を延々とやっていました。ちなみに,Hさんの圧倒的勝利。

この下は川!
下を見ると落ちそう…。

 不思議なもので,ゆっくり歩いた方が足の痛みが増し,速く歩いた方が痛みがなく快適に歩けるのです。時々,トロッコ道にある渡り板から足をカクンと踏み外すことはありますが,あまり気にせず歩いていました。これが,後にとんでもないことを引き起こすとはその時思いもしませんでしたが…。
 行きは雨でゆっくり見られなかった風景を,帰りは超スピードで歩きながらですが見ることができました。トロッコ道を歩いている時の気分は,「スタンド・バイ・ミー」。でも,T姐さんの気分は,「線路は続くよどこまでも」だったそうです(笑)。

 ようやくトンネルが見えてきました。あれを超えれば,そこはもうゴール!登山口です。やっとゴールに着いた感激は,言葉では言いあらわせません。これだけの長い距離,しかも山道を歩いたのは初めての経験でした。右足首痛を抱えながらの登山だったので心配だったのですが,リタイヤせずに帰ってくることができました。もう,それだけで大満足です。
 わがままな風俗お姉さんたちのめんどうをみてくださったガイドさん,ありがとう!いっぱいご迷惑をおかけしました。でも,本当に風俗お姉さんだと思ったんだろうか!?

 帰りのバスの中からは,行きには見られなかった荘厳な風景が見られました。こんな美しいところを,自分たちはずっと登っていったのかと感激せずにはいられません。また,夕方の幻想的な雰囲気があり,しばし見とれていました。すばらしいところです,本当に。

 途中で,1日目に寄った事務所に立ち寄り,レンタカーの貸し出し状況を確認しました。ラストを歩いていたぐらちゃんは,ガイドさんからさまざまな情報をゲットし,3日目のプランを着々と立てていたのです。おそるべし,ぐらさま。あの状況でよくそんな余裕があったな…。

 宿に着いたとたん,速攻でやったことはお風呂にはいること。とにかく,汗くさくてたまらない!タオルも服も異臭を放っています。でも,まずは自分からということで,すぐにお風呂に入りました。その後,登山で使ったグッズをまとめて袋詰めにして封印。ようやくお食事となりました。

 食事から戻ると,なぜか床が濡れています。しかも,わたしの荷物も一部濡れています。ぐりちゃんが「洗面所に変なタオルがあるよ。」と言ってきました。これはどういうことなんだろうと,フロントに行ってみると,クーラーから水漏れしたとのこと。すぐ修理をしてくれたそうなのですが…。修理に使ったものをそのまま部屋に置き去りにしたり,荷物や床が濡れたりしても何の説明もなし。ちょっとそれはないんじゃないの?ということで,しっかりお話させていただきました。

 その後は宴会トリオの部屋へ行き,くつろいでいました。携帯メールのアドレスを教えあったり,テレビを見たり。ビールを飲んでいる方もおられました。マッサージをしてくれる人もいて,極楽極楽〜。この時,宴会トリオの朝っぱら宴会の理由が分かりました。お菓子を食べまくっていたのですが,それは胃腸の働きを活発にしようということだったのです。どうも旅行先だとダメという人が多いようです。ついでに,わたしの左足首の調子がどうもおかしいと気づいたのもこの頃。そう,トロッコ道での足カクンが原因です。帰りのバスから降りた時に異常は感じていたのですが,大したことはないと思っていたのです。でも,時間が経つにつれ,だんだん痛みが増していきました。明日の朝の様子で病院に行くかどうか決めようということになりました。

 タッキーの出ているドラマを見て,その後それぞれの部屋に引き上げました。「あ,明日の起床時間決めなかったね。」「うん,でも,朝食は7時だからそれまでに起きればいいんじゃないの?」ぐりちゃんとそんな会話をしていたところ,隣の部屋からメールが…。『何時に起きる?』「…わざわざメールできくかね?」でも,ちゃんと返信メールを出しました。ぐりちゃんのおやじギャグ付きで。宴会トリオは,その後スマスマを見ていたようですが,肩こりコンビはひたすらおしゃべり。またも,寝たのはこっちが遅かったかもしれない…。 


屋久島ツアー顛末記 その4 (8月12日)

 いよいよ最終日です。起床時刻前に目が覚めてしまいました。なんのことはない,出勤日と同じ時間に起きたのです。習慣とは恐ろしい…。隣の部屋でも,起き出している声がします。すると,怪しい紙が,ふすまの隙間から入ってくるではありませんか。それは,ニワトリマークの切手が書かれたお手紙でした。「足,だいじょーぶ?」そして,下には返信欄が…。ちゃんとニワトリの切手に花丸の消印を書き,返信欄にお返事を書いてまた隙間から入れました。それにしても,何で昨日メールアドレスを教えたのに使わないんだ?結局,病院には行かないことにしました。時間がもったいないし,どうやら骨には異常がなさそうだったので。Hさんに冷えピタをもらい,湿布代わりにして貼っておきました。でも,ちゃんと病院に行けば良かったと,午前中の活動中何度も思う羽目になったのです。

 隣の部屋に行くと,みんなだーらだーらと過ごしています。Hさんは,寝ています。「どうしたんすか?」「Hさんは頭が痛いんだって。」「え?大丈夫なんすか?」「うん,大丈夫だよー。」とHさんは言いますが,あまり元気そうではありません。しばらくして,T姐さんが「ねえ,ソーイングセット持ってない?」と言い出しました。ぐりちゃんは「持ってないよ。」わたしは「うん,あるよ。」と答えたところ,「えー!!予想外!」との反応…。「それってどういう意味っすか?」「だってROYがそんな女の子らしいものを持っているなんて…。もしかして,ママが持たせたんじゃないの?アーミーは自分の意思でもっているんだろうけど,ふふふ。」「うちのママはねえ,『お裁縫はしっかり学校で教わっていらっしゃい。ママは絶対に教えないし,やってあげません。自分でやんなさい。』って言ったんですよ!だから,裁縫はできるんです。できないのは料理だけ!子どものかっぽう着の修繕だってやりますよ。」「えーっ!ほんと〜?」「ママの教育の賜だねえ。」「姐さん,容赦なさ過ぎ!!」……本当に失礼な人たちです。

 「今日は,港を目指すよ。靴買って,パン屋に行って,観光センターに行って…。」T姐さんは地図をしっかりと見て行き先を確認しています。T姐さんは,地図を見るのが得意。まず間違えません。「ところで,靴って何よ?」「Hさんが買うの。昨日のトレッキングでビショビショになって乾かなかったんだって。」「え?わたしの乾いたよ。」「うん,わたしも大丈夫。」「T姐さんの靴だって買った方がいいよ!臭いもん!」「そんなことないよー。」何だか論点のずれた会話でしたが,結局靴を買うのはHさんだけということになりました。

 宿を一歩出ると,異様に熱い!やはりここは南国なんだなと思いました。今まで日傘など使ったことがなかったのですが,あまりの暑さに傘を開きました。これだけでも,だいぶ違います。最初のうちは,足の痛みは気にならなかったのですが,坂道にさしかかってからどんどん痛みが増してきました。普通には歩けない状態になっていき,左足をひきずるような感じになってしまいました。でも,タクシーは出払っているので乗れません。とにかく,最終目的地の観光センターにたどり着かなくてはと,必死に歩きました。そこはおみやげ屋さんです。いろいろなものが置いてあって,来た甲斐がありました。その後,すぐそばの博物館風の建物に入り,屋久島の歴史や動植物についてお勉強してきました。「おっ,社会科巡検みたい!」と教員的発言も飛び出しました。

 大画面の映像で屋久島のお勉強をしつつ,涼んだり居眠りしたりしながら有意義(?)な時間を過ごしたわたしたちは,お昼ご飯をゲットしに来た道を引き返しました。「ねえ,パン屋ってあったっけ?」「うーん?そういえば見かけなかったよねえ。」「靴は買えたのにねえ。」そう,Hさんはめでたく新しい靴をゲットしていたのでした。あとは,パン屋だけなのです。「来る途中にさあ,有名なラーメン屋があったから,そこで食べよう!」ナイスな案が出て,早速その店に行きました。そこは,営業時間が非常に短いので,お客さんが殺到するようです。でも,わたしたちは開店直後に行ったので,待たずに食べることができました。帰る頃には,お客さんが長蛇の列を作って待っていました…。超人気のお店なのです。

 お腹もいっぱいになり,あとは宿に帰るだけ!途中で例の川を見てみると…なんと水位が思いっきり下がっている!少なくとも1m以上下がっていたと思います。川幅は100m近くあったと思うんだけど…。海の近くなので,潮の干満がしっかりと影響するのでしょうね。1日目に魚が泳いでいたところも,この日は歩けてしまいます。(『はまひるがおの小さな海』のように魚が取り残されちゃうんじゃないのかな…。)なんてことを考えながら眺めていました。

 宿に着くと,迎えの車がすでに来ていました。車に乗り込んでしばらくすると,雨が降ってきました。「あんなにいい天気だったのに…。」「山の方には真っ黒な雲があるよ。」すると,運転手さんが「屋久島はどんなにいい天気でも必ず雨が降ると思っていた方がいいんだよ。」と教えてくれました。確かに,陽差しがあるのに雨が降っているのです。何とも不思議な光景でした。

 屋久島空港に着きました。頭痛がおさまらないHさんは,冷えピタを貼ることにしました。…そういや,エジプトでも彼女は同じことをしたって言ってたっけ。帰りの飛行機はそんなに時間がかかるという感じはしませんでした。屋久島から鹿児島へ向かう空の上から海や地上を見ていて,戦争中のパイロットのことを思い出しました。あの戦争で,たくさんの兵士がこの空を飛んで命を散らしていった…。その空を,今わたしたちは楽しい旅行のために飛んでいく…。戦争のために,このきれいな空や海の風景を楽しめずに死んでいった多くの人たちのことを思うと,胸が痛みます。

 鹿児島空港に着き,しばらく待ち時間ができました。Hさんはまだ辛そうです。「ねえ,いい加減薬飲んだら?」とT姐さんが言うと,「やだ!」とHさんは即答。「?何でHさんは薬飲まないの?」「ううん,飲まないんじゃなくて,飲めないの。」「は?」「Hさんはね,錠剤も粉薬もダメ。飲めるのはシロップだけなの!」「はい〜?」「だって,水と一緒に飲んでも,どういうわけか薬だけ残っちゃうんだよ!で,どんどん苦くなっていって…。」どうやら,飲み込むのができないようです。「ねえ,お医者さんに行くと薬もらうでしょ。それってどうしてるの?」「薬はもらうけど,すぐに捨てる!」「……おーい,それじゃ何のために病院に行ったのかわからんじゃないの。」「だって,やなんだもん!」まったく話になりません。「でもさあ,バファリンだったらたぶん頭痛に効くはずだよ。飲んでみなよ。」「そんな大きいの,やだ!」もう,だだっ子状態です。「しょーがないなー。んじゃ,作戦考えるか。」T姐さんとぐらちゃんはひそひそ相談を始めました。「ねえ,お菓子の袋だったらきれいだよね。」「あ,空いているの,持っているよ。で,どーすんの?」「こーすんの!」T姐さんはお菓子の袋の中にバファリンを1錠入れました。「で,これを粉状にしたいわけ。」「なんか固いものない?」「アーミーがあれば一発なんですけど…。」「アーミー以外で固いもの!あ,ペットボトルのふたでやってみるか。」椅子の鉄の部分にバファリンをのせ,ふたでたたいたところ,見事に割ることができました。「よし,あとはこれを細かくして…。」「これにはさむ!」取り出したのは,オレオなどのクリームをサンドしたクッキー。2組持ってきて,片方のクリームの上に粉バファリンをのせ,もう片方のクリーム付きのクッキーをくっつける。これで,特製バファリン入りクッキーのできあがり!でも,1錠の半分,つまり,通常飲む分の4分の1しかないのです。「これで効くかなあ?」とぐらちゃんは心配そうでしたが,「普段薬を飲んでいない人なんだから,絶対効くって!」というT姐さんとわたしの意見でそのまま実行。「Hさん,これ食べない?」と特製クッキーを持っていったのですが,「クンクンクン,なんか怪しい…。薬入れたでしょ。やだ!」まだごねます。「だーいじょうぶだって。どこに薬があるかわかんないでしょ。クリームの味でわからないって!」「じゃ,一気に食べる…。」ようやくHさんは薬入りのクッキーを食べてくれました。そして,羽田におりる頃には「ウソみたいにスッキリしてる!頭痛いの治っちゃった♪」「……だったら,素直に早く薬飲めって!!」4分の1錠でも効果覿面。バッチリでした。

 羽田に向かう飛行機は,お客さんがあまり乗っていませんでした。しかも,行きとは違って画面付き。そう,飛行状態が分かったり,外の景色が見られたり,ゲームができたりするのです!最初のうちは外の景色を楽しんでいましたが,途中からはゲーマーと化しました。でも,ラストの30分は外の風景が非常に面白くてずっと見ていました。天気が悪かったので,雲がたくさん出ていたのです。雲海が広がっていて,雲の上をそのまま歩いていけるんじゃないかって思うくらいきれいに敷き詰められていたのです。色も太陽に照らされて白く輝いています。天上に神様が棲んでいるのだとしたら,こういう雲の中に隠れているんじゃないかって思うくらいきれいだったのです。樹の神様や空や風の神様…そういう存在があってもおかしくないと思うような,そんな風景をいっぱい楽しむことができました。羽田が近くなり,飛行機の高度が下がると,別の雲の層が見えてきます。色もまったく違い,ガラッと風景が変わります。さまざまな雲を見られたのも,飛行機の旅のよかったところです。天使の梯子も見られました。

 ようやく羽田に到着。荷物が出てくるのを待ちましたが,屋久島から引き継いだせいか,一番奥の方にあったようで,なかなか出てきませんでした。やっと出てきたので,荷物をとり,出口へ行ったのですが,わたし以外の人たちの荷物の札と引換券が合わないのです。これは,屋久島空港の職員のせいです。グループで一緒だからいいだろうと判断したのかもしれません。結局,偶然わたしのだけ番号があい,残りは全員入れ違い。でも,ちゃんと全員分ありました。

 長い旅も,あとは電車に乗るだけ。みんなで同じ電車に乗っていたのはわずかな時間だけ。それぞれ,乗り換えのため電車を降りていきました。わたしはぐらちゃんの家まで行きました。そこに置いてある車に乗り,さらに40分かけて自宅まで戻りました。

 それにしても,縄文杉トレッキングでは,よくあれだけの距離を歩き通せたなと自分でもビックリです。ちょっとだけ,自信がついたかも。姐さんたちと一緒に遊べたのもとても楽しかったな。帰りの電車の中で,Hさんは「今度は八ヶ岳に行きたいな。」などと言い出しました。すっかりはまったようです。でも,その前にちゃんと登山グッズをそろえないとね(笑)。さらに,来年の夏の旅行計画まで出てきました。モンゴルに行くそうな…。本当は今年行くはずだったのですが,諸事情がありまして屋久島になったのです。で,来年は前の日にうちに泊まって宴会をし,その後成田から出発するそうな。確かに,それが一番行きやすいでしょうね…。で,メンバーはすでに確定しているらしい。当然わたしの名前も「ご予約済み」として入っているそうだ…。姐さんたちの手際の良さには,相変わらず感心させられます。

 屋久島から帰った翌日,朝一番で整骨院へ行ってきました。左足の痛みは捻挫でした。足首からは少しはずれているのですが,捻挫であることには変わりないのだそうです。骨には異常がなさそうなので一安心。1週間ほど安静にすることになりました。ちょうど夏休みだから,ま,いいか。

(03/12/31)

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