ハヤカワ文庫刊行、ダン・シモンズ著「ハイペリオンの没落」
以前に紹介した「ハイペリオン」の続編である。
前作は連作中編であったが、今作はスタイルを変えて「長編」となっている。
わけありで登場人物の一人が見る「夢」の形態をとってはいるのだが、
まぁ、第三者視点というか、神様視点というか。
タイムパラドックスって知ってますか?的な内容ではあったけれども、それよりも何よりも
ひどく映像的な文章だったのが印象的だった。
ビジュアル派SFとでもいおうか(苦笑)
最後にいたる怒涛のクライマックスも場面転換をうまく使っているのか、そんなに
息切れをしたとは感じられないし、これは作者の腕か、翻訳者の腕か、あるいは読むのに
時間をかけすぎてとびとびに読んだ私の成果か。
いや、あまりにも時間をかけたせいで、最初の辺りなんて記憶に残ってないんですけどね、正直。
とまれ、内容よりもその映像的な文章・・・っていうのもなんかヘンではあるが・・・に圧巻されたのは確か。
ライトノベル読みからしても、とっつきやすい海外SFのひとつではないだろうか。
くせのある電撃文庫の中でも独特の世界観をつくっている都市シリーズの最新刊。
川上 稔著「都市シリーズ 機甲都市 伯林 パンツァーポリス1943」
終局も間近、ということで物語は加速する。
第二次世界大戦を母体に置きながらも、遺伝詞という独特の概念とともに、
空中戦艦やロボットを取り入れることで異世界を書いた代物。
物語も大詰めとなり、巴里との関連はまだわからないが、ぶっちゃけた話、
巴里でやったことをスケールをでかくしてやったようなもの。
タイムパラドックスってなに?てな話になっているけど。
おそらくは巴里と同じような終わり方をするのではないだろうかと思えるのだけれども、
そうなるとますます他の都市なんかとの整合性がねぇ・・・。
気にしないほうがいいのだろうか。
電撃文庫刊行、三雲 岳斗著「コールド・ゲヘナC」
FSSもどき、といっては失礼かもしれんが、そう感じてしまう作品の最新刊。
この作者、今月2冊同時刊行か。執筆の早い人だ。
前巻まででキレイにまとまっているので、どうするのかとおもいきや、新キャラ導入でテコ入れ。
なんかいろいろと思う所はあるのだが・・・
敵キャラがあっさりとやられすぎ、という感じがあるし、なんとも言えないところ。
まぁ、第二部の宿命か。
その点「星くず英雄伝」はすっぱりと大きなことしてくれて感心もしたのだが。
角川スニーカー文庫刊行、鷹野 良仁著「聖なるヴァレリー 神さまにバックドロップ!」
タイトルの意味が結局不明。
話は主人公(ヒロイン)に宿った「力」を求めて「守護者」+「銀河連盟内閣調部調査官」対「悪漢」の図式で争うもの。
ヒロインが結局無力なままだったのが新鮮といえば新鮮。最後の「奇蹟」はなかったほうがよかったかな。と。
この図式、きれいに3者のさんすくみにできたら面白いものにできていたかもしれない。
とはいえ、難しいか。
そうそう。ロボット同士の格闘では叫ばなかった必殺技がこっちでは調査官というのが叫んでいた。
「てつざんこぉぉ!」だとか「さまーそるときぃぃっく!」とか。
作中で「すぐに影響をうけた」といわれてたが(苦笑)
しかし、内閣調査部が犯罪者のとりしまりねぇ。
角川スニーカー文庫刊行、三雲 岳斗著「ランブルフィッシュ @ 新学期乱入編」
この人もロボットが好きだな。
近未来、不安定な技術とはいえ、人型のロボット兵器が実現した世界で、その技術の確立や
ロボットの熟成のために、ロボット同士の模擬戦闘が賭技として公認された世界。
その世界で唯一のロボットの技術者を育成する学校が舞台。
主人公がその学校に編入したときから話は始まる。
ひとことで言えば単純なBoy meets Girlの話。ロボット技術者育成学校という特殊な環境とはいえ、
一応は「学校」を舞台とした学園コメディが主。
技術そのものがオーバーテクノロジーじみた感があり、そこらにもなにやらあるのかもしれないし、
他にも色々と陰謀があるくさい。
とはいえ、そもそもの設定に無理がありありで、高い技術を使って作られたロボットがあり、
その設計から開発・整備・運用まで出来るほどの解析がなされているというのに、
その技術が民間に転用されている様子がないのは妙だな、と。
軍事機密の壁があるのならそもそも技術者養成学校とか公的な賭博が行われるとはおもいがたいし。
まぁ、無視するのが一番か。気になる人はとことんまで気になるんだろうねぇ、こういうの。
ということで、この話は素直に「ロボット格闘もの」として読むのがよいのかな、と。
ベタだし、そうなったら見捨てる可能性もあるけど。(笑い)
電撃文庫刊行、 高畑 京一郎著「Hyper Hybrid Organization]
久しぶりの氏の新作。前作までと異なり、いきなりの文庫。
知らなかった事だが、デビュー作の「クリス・クロス」もハードカバーで出たらしい。
アレがハードカバーはつらいものがあるのでは、とかおもってみたりもした。
「タイムリープ」とかよかったけどね。
で、今作。裏仮面ライダー。
孤独にひとり、戦いを繰り広げるかと楽しみにしていたのにな。
最初は確かに独力で、丹念に調査を行い、最後の最後でショッ○ーへと。
いや、そーゆー名前ではないし、幼稚園のバスジャックとかやる組織じゃないですが。
そーいう意味では善悪はっきりとはしていない。
確かに「組織」側は犯罪行為を繰り返していることは確かだし、その邪魔をする「改造人間」は作品世界中の世間では
「正義の味方」として認識されてはいるけれども。
違和感。
ま、主人公を露骨に悪の組織にいれるわけにはいかない、というのもあったのでしょうが。
っていうか、騒ぎのおきている現場にいつまでの残ってる手前らの自業自得では?
と、これは作中にも言ってたな。
長いシリーズの序章、という感じか。この作者、めちゃくちゃ遅筆なんだけどな。
電撃文庫刊行、三雲 「コールド・ゲヘナ B」
文明が崩壊し、砂漠と化した未来の地球を舞台に、ドラゴンと戦うロボット乗りの
話。
なんでおわらないかなー?
話的にもここで終わったほうがすっきりとしてるとおもうのだけれども。
スタイリッシュというと言い過ぎか。
ひどくアニメ的な話ではある。
ロボットの「オリジナル」なるものが出てきて、それがとんでもなく強いとか、どこかで聞いたようなネタ。
懐かしいなー、エルガイム。
あるいは搭乗者の脳に作用して破壊活動を強制する、というシステムとか。
をを。Wガンダムは私も好きだったぞ。
パロディ満載のこの作品、楽しめるかどうかはまぁ、ひとそれぞれか。
私は結構好きだけどね。
人気がある、とかで続編がそろそろ出るか、もうでているか。
どう続けるのか、楽しみでもあり、いいかげんにしてくれ、とうんざりだったりするのだけれども。
さてさて。