2000年04月の徒然草紙


「徒然草紙」2000年04月版です。
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2000/04/29

駆け込みではないですが、4月(おそらく)最後の一冊。
GW進行というやつですか。通常なら1日とか末日に出る本がすでに出てる。
(購入したのは結構前だったりする。)
コバルト文庫刊、前田 珠子著「女神さまのお気の向くまま 3
タイトルからして軽い。
確かに軽いんだが・・・この人の作品ってば、主人公(通常は女性)がどうにもこうにもいぢめられる傾向がある。
私だけじゃなくて皆からも言われるようで(苦笑)。
コバルト文庫を主に活躍している作家で、いくつかシリーズを抱えている。
この話はそのシリーズの中でもほとんど唯一と言って言いコメディーもの。
ほかはみんなシリアスだし、雰囲気もやや暗め。
そらまぁ、ヒロインがいじめられていじめられてその決着がまだ見えてないしな。
この話とてヒロインは普通の生活を望んでいるのに否応がなく騒ぎの渦中に入るという
ある意味作者お得意のパターン。

この話の設定がなかなか気に入ったもので、そういった部分をしっかり見せてくれると いうのは嬉しいところ。
ほかのシリーズもあるので、この話の続編はしばらく後になるだろうけど。


2000/04/28

朝日ソノラマ刊行、岡本 賢一著「傭兵グラント ゴーストエリアQ
岡本賢一といえばゴキ使いの女の子・・・よりも、銀河聖船のシリーズを書いた人なわけで、
アレのエンディングを彷彿とさせる話ではありましたな。
でも正直それだけだった。
なんか、こう・・・ソノラマ文庫って、ここまで軽かったかなぁ?という疑問が出てきたのも確か。
最後、主人公と(多分)ヒロインが宇宙船の噴射炎に巻き込まれるエリア内で(一応避難はしてるが)光につつまれる・・・。
で終わってるので、なかなか後を引いてよろしげなんですが、後書きで続編あるって言っちゃうとなぁ。(苦笑)
生き延びたことがバレバレで。

ちと印象に薄い話ではありました。
この人の作品は「ディアス〜」のエンディングが印象強すぎたのかも。


2000/04/24

久しぶりの地上は太陽が眩しいかも(苦笑)
しばしの間地下に潜伏してMAPを書いていたのですが、ようやく忍者もつくれたので 一休みしてここの更新となります。
別にウィザードリィなどというRPGをやっているせいではないですが、RPGがらみの小説を一冊。
富士見ファンタジア文庫刊行、水野 良著「魔法戦士リウイ5

ソードワールドRPGというスタンダードなライトファンタジーRPGを基盤にした小説の一編。
ちょっと前までは短編なんかも結構たくさん出ていたのだけれども、最近、とんと聞かないねぇ。
山本 弘の「サーラの冒険」なんて結構お気に入りなのだけれども。

この話は月刊誌であるドラゴンマガジンで連載されていたものをまとめたもの。加筆修正はあるんだろうか?
そもそもそのシリーズからして「鏡の国の魔法戦士」「湖畔の国の魔法戦士」という昔出た小説の過去の話、というのがある意味すごい。
スターウォーズじゃないけれど、整合性をとるのが大変そう。
が、いきなり過去の話で主役にからむ登場人物が出てきてたりしてさて、これが「鏡〜」につながる話だとすると、
彼女はいったいどうするのだろう?
とか、いたらんことを考えてしまうのは性だろうか?(苦笑)

後書きによると、このシリーズ(過去話)がおおよそ10巻ほどで終了し、「湖畔〜」の続編となる「砂塵の国の魔法戦士(仮)」に続き、
そして舞台となる大陸の最大最後の冒険とつながるそうである。
そもそも「魔法戦士」という設定からして「アレ」なわけだが・・・。
そういや「アレ」もとんと話しをききませんなぁ。
そもそもその設定知っているRPGプレイヤーっていまどのくらいいるんだろ?(苦笑)
小説とはなんか別のところで興味の出てきた話ではあったりする。


2000/04/19

懐かしい本もこれがシリーズ最終作である。
ハルキ文庫刊行、清水 義範著「宇宙史シリーズ5 楽園宇宙の伝説

もう20年も昔の作品だけあって、雰囲気が古い。懐古主義に浸るわけではないが、たまにはこういうのもよいものだ。
あえて古い名作を読むことがあるのはこのためだろう。・・・タブン。

20年ほど前、当時少ないこづかいで朝日ソノラマは買いあさったものである。
高千穂遙の「クラッシャージョウシリーズ」から今で言うライトノベルにはまり、おそらくそのままいけば、
別の意味で道を踏み外していただろう事が想像に難くない。
今?今はSF者とは別の意味でしっかりと道を踏み外してるよ(苦笑)
(社会認知度からいけば今のほうが酷いかもしれん・・・)
思えば菊地 秀行や夢枕 獏に出会ったのも朝日ソノラマであった。

古き良きSF。しかもジュブナイル(ライトノベルにアラズ)。
昨今なかなかこういう作品に巡り合えないものである。


2000/04/18

これは・・・なんといったらよいのだろうか?
ディリア・マーシャル・ターナー作、「半熟マルカ魔剣修行!
刊行はハヤカワ文庫FT。つまり、ファンタジーの系列に入る。訳者も井辻 朱美というその筋ではわりと名のしれた人。
確かに魔法じみたものは出るし、剣を使っている。
でも宇宙船がある。・・・?広義ではSFに類されるのかもしれない。

魔力によって宇宙船が飛ぶ世界で、主人公は「主人」から逃げる旅の途中、ハンサムなアンドロイド
と出会い、彼の乗る宇宙船に乗るハメに。
彼が魔力者矯正機関との戦いを繰り広げていたため、主人公も否応がなく動乱の中に飛び込むハメになってしまった。
というのが大筋。
問題はこの作品の最大の謎(また世界そのものの謎はおいとくとして)が主人公自身にあり、
この作品が主人公の一人称で語られていること。
得体のしれない主人公が、徐々に正体をあかしてゆく様というのはどことなくホラーチックな部分ではあるんだけれども
それ以上に語らずひたすら行動で己を表現していた主人公が変わっていくところはなかなかよかったね。

少々変わった点といえば、「剣」の部分
見慣れない技を使っており、それがきちんとした技法として成立している。
イブラー・コーヒムだとか第四アーナンダーニ・ヴァリエーションだとか。
作者が考えたのかなぁ?とおもいきや、なんでもフェンシングの技らしい。
一応”ファンタジー”と名のつく作品でフェンシングというのは珍しいと思ったが。
問題はイメージがわきづらい、というところ。
TRPGもしくはライトファンタジーの弊害かもやしれん。

いやしかし、原題"Of Swords and Spells"がどうやったら上記の表題に・・・(苦笑)


2000/04/14

基本中の基本に立ち返る。たまには必要な事だろう。
ハヤカワSF文庫刊、アイザック・アシモフ著、「銀河帝国興亡史1ファウンデーション
再読ではない。おそろしいことに初読である。
ってゆーか、何で今まで読んでなかったんだろ?(苦笑)

天才心理歴史学者ハリィ・セルダンが計算の結果導き出した銀河帝国の滅亡とそれに続く数千年に及ぶ暗黒時代。
暗黒時代を1000年でおわらせるために、数々の手法を用いてセルダンはファウンデーションを作り上げる。
物語はそのファウンデーションが、数々の危機を迎え、体制を変化させながら時代を乗り越えてゆく話が主体となる。
それはあたかもかつての中世ヨーロッパの時代を未来においてなぞらえているようで。

後書きには「日本の現状を示しているかのようだ」と書かれているが、自分的にはそれよりも、かつて人類が歩んできた道を思い起こさせた。
ああ、歴史は巡るのだな、と。
まだ最初の一冊しか読んでいないので、なんともいえないのだけれども。


2000/04/08

角川スニーカー文庫の新刊、茅田 砂胡著「レディ・ガンナーの冒険
アナザーレイスといわれる・・・狼人間や蛇人間、つまりはシェイプシフターと人間が違いに反目しあい、
理解しあいながら生活をしている世界が舞台である。
作品の過去においては強い反発や差別もあったらしいが、作中ではその差別も過去の事 となり、とはいえ、
根強く差別の残る、深読みしようとおもえばとことんまで深く読める作品であった。

そのアナザーレイスは狼や蛇ばかりであく、茅田 砂胡らしく、反則すれすれ -- あるいは反則そのもの -- の業を
見せてくれるのが笑えるといえば笑える。

正直、タイトルにもなった主人公の少女の設定は反則に近いかな、などとも思ったが、まぁかわいいもので。
大技なんかは読めてしまったのだけれども、逆にいえばちゃんと伏線があったということ。
デルフィニア戦記の主人公に比べればまぁかわいいかな、と。
最近ではシリアスな話のくせしてれぇざぁを斬った主人公なんかもいたし(苦笑)
(って、これは全然別の作者の本でしたな)

そういえば。この作者「かやた さこ」とばかり思ってた(苦笑)
この作品が作者の初スニーカー文庫ということもあってあとがきに自己紹介じみたもの があった
ただしくは「かやた すなこ」と読むそうで。


2000/04/06

うあああ。なんて終わり方だ。
電撃文庫の新刊、秋山 瑞人の著「猫の地球儀その2 ・・・幽の章・・・

結局最後まで「人類」は出てこない、猫とロボットの作品だった。
でもやはりいい味だしている。

主人公の猫は三十七番目のスカイウォーカーとして宇宙ステーションから地球を目指し、飛び立ち、海を見て・・・
残された相棒は秘密を守るために一人隠れ、半壊した故に相棒のことを忘れそうになり
それでも「約束」は覚えていて、そのためにひたすら地球を見続ける。
「約束」は、果たされたのか。
「約束」は、果たされなかったのか。

なんか、こー・・・つぼにはまった、っていうか。
これで主人公の猫が「約束」を果たした描写があったら、それはそれでライトノベルな終わり方
だったのだろうけれども、その描写がないところがまたなんとも。

似て非なる作品で思い出したのが「星の大地」。
あの作品とは違うけれども、似たような感覚を残してくれた。


2000/04/05

本当は3月に読み終わった本。PCの故障により更新できなかったので、遡及しての更新。
朝日ソノラマ文庫刊行。笹本 裕一著「エリアル(15)
前の方の巻になかったわけではないけれども、主人公メカであるエリアルのエの字も出てこない巻。
しゅやくってゆーか、主人公3人娘のうち、活躍したのはひとりとしていない、というある意味とんでもない巻であった。
主役をはったのは宇宙人たちと、主人公の(ひとりの)友人である女子こーせー(苦笑)
こーゆー話も好きなんだけれども、昔の巻でやったような科学の巣くつである科学研究所の裏手で
魔術合戦やるような破天荒なのももいちど読みたいと思うこのごろ。

エリアルもいいんだけどねー。小娘オーヴァードライブの続編がなんか読みたいんだけど。


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