Roofing Filter(for IC756PRO)レポート

2005年12月にIC775DXIIへINRAD社製ROOFING FILTERの搭載をレポートしましたが、最近IC756PROシリーズ用モデルと帯域幅約5kHzタイプが同社からリリースされました。

JR8VSE

IC756PROシリーズのROOFING FILTER搭載について

ICOM社756PROシリーズのリグは、PRO⇒PRO2⇒PRO3と進化しました。また、ROOFING FILTERの搭載はPRO3のみ15KHzタイプが搭載されております。
INRAD社からの同モデルのリリースは初期ロットからアンプ部品の定数を一部変更した様ですが、現在はシリーズ3機種共フィルターキット自体同じ物の様です。

ICOM社製無線機のDUAL WATCHと775/756PRO用モデル

ICOM社製HF無線機のDUAL WATCHの仕組みは、IC7800を除きMAIN/SUB用にIFを独立して持っているのでなく、第一ミキサー部をMAIN/SUB独立させてその出力を混合しています。
また、この混合比を変更する事によってDUAL WATCH時のMAIN/SUBの音量バランスの調整をしています。

  • IC775DXの挿入箇所
    1stIFと2ndIFの回路基板が異なりその間を同軸ケーブルジャンパーする構造であり、その間に入れる。但し、AM/FM等広帯域モードでは、このフィルターで帯域制限をうけてしまう事となるため、使用モードにより、フィルターをバイパスする回路をフィルター回路上に設けられている。
  • IC756PROの挿入箇所
    1stIFと2ndIFが同一基板(RF-A ユニット)上にあるため、回路基板の加工及び直接割り入れの半田付けなどの作業が必要です。具体的な挿入箇所は、第一ミキサーA(MAIN側)出力後のミキサーBとの混合前です。広帯域モードへの対応は、DUAL WATCHのSUB側で受信する事で可能としており、775DXIIの様なフィルターバイパス回路はありません。

フィルター基板と部品

フィルター基板のほか必要パーツが入っています。

無線機に装着

改造基板の取り出し
今回改造を行うのは、RF-Aユニットです。本体裏側に取り付けられており、同軸ケーブルをはじめとして接続されているケーブルが多いので忘れない様に、且つ壊さないように注意してはずします。
マニュアルには、はずす前にカメラで撮影しておく事が推奨されています。
第一ミキサーのシールドカバーの加工
シールドカバーをはずし、裾の一部をカットし、同軸ケーブルを通す隙間をつくります。
基盤パターンの一部カット
IF信号を外付けROOFING FILTER経由とするため、C537とR551間の受信信号が通る部分のパターンを切断します。
実際には、カッターの刃がギリギリ入る程度の非常に狭い隙間で、丁寧にパターンを削り、切り離します。
ケース上面、下面から必要ケーブルを通したところ
同軸ケーブルのRF-Aユニットのへの同軸ケーブルの接続
RF-AユニットからIF信号の取り出し、及び戻す為に同軸ケーブルの半田付けを行います。
グランド側を先に半田付けした方が全体の作業後の芯線部へのストレスが少ないと思います。
同軸ケーブルの芯線をチップ部品の足に半田付けします。芯線の半田付け先は、チップ部品の足なので非常に細かい作業です。
背面のシールドカバーを外しフィルター本体を装着
加工済みのシールドケースを取り付けします
 
電源線の接続
MAINユニットから、+7.7VとGND取得の為接続します。

フィルター本体の搭載・接続
フィルター本体に入出力の同軸ケーブル、及び電源線を接続しリグ本体上面VFO裏側付近の隙間に添付の絶縁用の紙に包み挿入だけです。

特に固定する様にはなっていません。装着後、シールド盤、及びケースを取り付け作業完了です。

使用感

ARRL DX PHONEの7メガの受信に使ってみました。
残念ながら、ROOFING FILTERの入/切(DUAL WATCHのMAIN/SUBの受信比較)で明確にこれだというところまでを感じる事はできませんでしたが、今後慣れた環境下、且つCW等他のモードの運用も含めてしばらく使い込んでみようと思います。


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QRZ RADIO CLUB Last Updated 2008/3/9
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