たまには、批判もしてみよう!

いつもいつも、お偉い先生の書いたものを引用して「お説ごもっとも!」と言うばっかりなので、たまには「そんなのイヤだ!」と反抗してみようと思います。なんて、ただ「出来ないことは、出来なーい!」というだけのことですが…。今日、槍玉にあげるのは、『ガイドブック・アスペルガー症候群』の以下のところです。

アスペルガー症候群の子どもの五〇パーセント近くは、話し言葉の発達が遅れるが五歳までにはよく話すようになるという研究報告があります(略)。しかし、自然な会話をすることはひどく苦手で、誰から見ても奇妙な話し方をするのです。音韻論(発音)、統語論的(文法)に関しては普通児と同様の発達をしますが、語用論(言語が社会的文脈の中でどのように用いられるか)、意味論(一つの言葉が複数の意味を持つことを理解しない)、そしてプロソディ(異常なピッチや強勢、リズム)などの特定の領域では、正常発達と根本的な差があります。〔P101:第三章 言語〕

ただし、未だに全く出来ていない訳ではありません。今ではかなり改善されて、一見「普通」にしていますが、実はこんな綱渡りをしているのだと思っていただければ、幸いです。


人と関わろうとするときに、状況とは無関係な話題から始めたり、社会的、文化的なきまりを無視することがあります。〔P103〕そりゃあ、状況が判らないから、仕方がないでしょう!? それに、人と関わること=自分の言いたいことを人に言って、自分のことを人に教えてあげることだと思ってますし…。

会話の相手は、子どもが自分の話を聞いていないと感じたり、対話中に相手の発言や感情、知識などを取り込んでいく方法を知らないのではと思ったりします。〔P103〕「心の理論」が分かったって、相手には相手の考えや感情や知識があることは十分に分かっていたって、相手は相手の言いたいことを言って私は私の言いたいことを言って、それで意気投合しなければ「おしまい」ですから。どうして、二人の間の意見を調整したり、折衷案を出したりしなければならないのか?そっちの方がワカラナイ! それから、何かしら言わねばという気持ちは有り過ぎるくらいあるのに、どう言っていいかワカラナイとか、もしそれに応えてしまって返事が返って来たらどうしよう、と思っている間に話題が流れて逝ってしまうこともあります。

何を言っていいかわからない時、アスペルガー症候群の人は長い間をおいてから答えたり話題を変える傾向があります。(中略)アスペルガー症候群の人は長時間かけてどう答えるべきかを考えるか、自分の好きな話題に変えるのです。〔P104〕何を言っていいかわからないから恣意的に話題を変えているなんて、人聞きの悪いことを言わないで下さい。何かしら言わねばならないと真剣に考えたり、今現在の「会話」には関係ないけどとっても重大な"真理"を掴んで有頂天になっているのですから。それから、いつもいつも興味の対象が極限していたり、何か一つのことに囚われていると他の事を考える余裕が全くなくなっているのですから、折に触れて"そのこと"を話したいのですよ!

もう一つの変わった特徴は話題とは無関係な発言をする傾向です。会話の焦点とは明らかに無関係なことを言ったり質問をしたりします。これらの発言は会話の中の単語から連想された言葉だったり、前の会話のやりとりの中の断片だったり、とても奇妙な言葉だったりします。それはまるで、その子が最初に心に浮かんだ考えをそのまま言ってしまうかのようで、他人をどんなに困惑させるか気づかないのです。〔P105〕確かに、私の脳ミソの稼動部分は人より少ないかもしれないけど、膨大なメモリーを内蔵しています。何かを想起してしまうと、プログラムが暴走して関連するファイルをたちまち開いてしまうので、それを排出してしまわないことにはいられないのです。なにしろ、一時記憶の為のスペースがほとんどないので。

たとえば、アスペルガー症候群の人が他人を怒らせる可能性がある理由の1つが、会話に割り込む傾向があることです。その人には、いつ話し始めるべきかの合図がわからないのです(すならち、ちょっとした間や、会話の中での話題の終わり、身振りやアイ・コンタクトが〈自分の順番〉を決めるということ)。〔P107〕さすがに、私はもうそれほどではないけれど、子供の頃は確かにひどかった。今、それを現役の息子がやっている。いちいち、今口を挟んで良いかどうか教えてあげないといけない。(アトウッド先生の名誉の為に一言。確かに、このレベルの子どもには、ご本に書かれている方法が有効です。)

キャロルが発見したのは、アスペルガー症候群の子どもたちが、自分たちが考えていることと全く同じことを他人も考えていると思い込むことが多いこと、また子どもたちは他人が考えていることは、言葉に出して言った事と全く同じでそれ以外ではありえないとみなしていることです。〔P108〕私が経験したこと・知っていることは、もうみんなに知れ渡っているほど有名で注目を浴びているのだ!と思っているわけではないのです。それから、他人には他人の自由があることを知らないわけでもないのです。ただ、「言葉」をそのまま相手に投げかけてやれば、自分が考えているように他人も考えるものだし、自分の言いたいことは伝わっていると思っているのです。意見が食い違ったりするのは、相手が受け入れないだけだと思っています。つまり、理解は愚か相手が受け付けてさえもいないとは、これっぽっちも思わなかった。

ほかにも、会話の技術には次のような側面があります。人の意見や能力、経験について聴いたり、それに対する自分の意見を言ったりする、また同情、同意、感謝を伝える、さらに話題を面白くしようと努め、いつどのようにして相手を見て、聞き役にまわるべきかを知ることなどです。〔P109〕しかし、同情も同意もできず、感謝の念も起きないことには、始まらないと思いますが…。逆に、「どうしてそんな風に考えるのか!?」とか「それはオカシイ!!!」と思うことが多かったら、演技も何もしようがないのでは! 話題を面白くしようとは、いつも考えているんですけど…。センスが悪いのね〜♪地球人は。

もうひとつの活動は、会話を通して共通点を見つけようとすることです。〔P110〕共通点が無いのに、どうやって共通点を探すの???

アスペルガーの人は、他人が言った言葉をその言葉の表面的な意味、すなわち字義通りに解釈しがちです。〔P115〕こちらとしては、とっても真面目に正確を期しているだけなんですけど…。

アスペルガー症候群の子どもは、その土地の子どもと同じアクセントでしゃべらないことがあります。〔P121〕そりゃあね、周りの子供の言うことに価値なんか無いと思っていれば、当然、そうなるでしょう。

青年期になると話し方が非常に些細な点にこだわったり、過度に丁寧になることがあります。〔P123〕青年期にもなれば、状況に応じてふさわしいことを言わなければならないことぐらい分かります。だから、「○○用の言葉使い」のパターンをいっぱい蓄えます。たいていは誰かの言っていたことをそっくりそのまま記憶して真似します。頭の中で再生した記憶をなぞりながら音声に変換するので、そりゃあもう会話の範例集みたいなものです。

過度に形式ばった言葉を選ぶ子どももいます。〔P124〕どうやったら略せるのか、そっちの方が不思議でした。それを克服する時は、「よ〜し、今日は慣用表現を使うぞ!」と一大決心をしなければなりませんでした。

特定の単語が持つ発音や意味を非常に面白がって笑い出す子どももいます。〔P126〕だって、面白いんだも〜ん!

アスペルガーの子どもの場合、考え事を黙ってできるようになる年齢をはるかに過ぎても、自分の考えを口に出し続けることがあります。〔P127〕「心の理論」を獲得して(小学校高学年)も、自分の周りの人が私に向かって意見していることに気づくだけです。更に、そういう人たちに私は見られていて、私に関する何らかの印象や評価をしているものだということに気が付く(中学生年代)まで、自分がそんなことをしていることにさえ気づきませんでした。今でも、頭に浮かぶとすぐ、しゃべるか書くかしてしまいます。(「だって、言っちゃうんだもん!」と息子が言っている。・・・同感!)

アスペルガー症候群の人々の自伝でときどき触れられているのは、数人の人が話しているときに、一人の人の声に注意を向けることが難しく、また会話で混乱しやすい点です。〔P128〕私は、音そのものが混じるわけではないから軽い方だと思うけれど…。複数の人が会話していると、それが誰に向けられているものであっても、耳に入ってしまいます。つまり、音の指向性が除外されてしまうのです。それから、相手に話し掛けられると、自分が今から言おうとしている事柄が何だったか分からなくなります。というのは、音声の入口と出口が一緒の部屋にあって、しかもその容量がとっても小さいので、どちらか一つしか置いておけないからです。

アスペルガー症候群の子どもは、おしゃべりが過ぎることもあれば、無口過ぎることもあります。〔P132〕しかしなぁ、先生! これだけ「会話の不備」を指摘されたら、選択性場面緘黙にならざるを得ない?♪と、私は言いたい!

最後に一言。↑のことがぜ〜んぶ出来て、「普通」の人になっちゃったら、つまんなーい!!!と思いませんか〜!? なんか、私が私でなくなっちゃうような気がします。(と言いながら、ドーピングしないとやっていけなーい! でもそれは、こういうところをユニークな"個性"だと認めてくれる人が身近にいないからイケナイのであって、本当は"罪"でも"悪"でもないのだと、今でも本気で思っています。)

分かっちゃいるけど・・・蒔いても蒔いても出てくる鬼!


          

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