コンタクトのとり方

−「自閉症」者に接近を試みる際のルール−

1、身体知覚の特異性を見極めること。

2、接触防衛反応の強弱を見極めること。

3、パニックの種類を識別すること。

4、コミュニケーション障害の原因を探ること。

5、「感情」の共感性や、物や人との関係性にも配慮すること。

6、視覚・聴覚の特異性を知ること。

7、自我基盤の脆弱性に配慮すること。


◎上記の項目の内どれをどの程度持っているかは、「自閉症」者一人一人によって異なります。

◎どういう「自閉症」者であるか解からなければ、接触する(コンタクトをとる)こともできません。


◎平和的に「かかわり」を持つためには、次のことを守ってください。

  1. 本人に理解可能な言葉やサインを使って、コミュニケーションを図ること。
  2. 本人が強く惹かれて興味を持っている事柄を、「おかしい」と否定しないこと。感覚・認知・感情の特異性を、「わがまま」と解釈しないこと。
  3. 侵入的な態度で接近すると、拒否されやすい。けれど、心理的に同調しながら並行的に係わり、見本や選択肢を示すようにすると、受け容れやすくなる。その際、身体的な特異性にも配慮すること。
  4. 社会的に価値があると認められる事柄に興味を向けさせるには、強制せずに「場」を共有するにとどめ、本人が自分から飛びついて来る時機を待った方が近道。
  5. 本人が意欲を示しているにもかかわらず、スキルを持っていないために上手くできないでいる事柄については、環境を構造化して手順を与えてやると良い。
  6. 他者の愛情が足りないからこうなったのでも、他者からの愛情を受け付けないのが悪いのでもなく、構造的な「かかわり方」が違っているので、愛情の受け容れ方と表出の仕方が異なっているということを理解すること。

外傷的にならずに人といられた経験を持っていなければ、他者との間に「関係」を結ぶことさえできません。現実的な"何か"に「愛着」を感じなければ、自己の存在を肯定的にとらえることはできません。愛着対象が物でしかなくても、生物学的に生命を維持することができれば存続できます。しかし、誰にも承認されずに生きているのは、決定的に不安です。


       

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