『アスペルガー的人生』について。

「アスペルガー症候群」は、一般には聞きなれない言葉です。ましてや、 「アスペルガー的人生」なんて言われても何の事だか分からないかも しれません。

でもそれは、「アスペルガー症候群」と診断された本人にとっても同じなのです。 アスペの人たちには、普通の人と“違っている”ことを表わす「証拠」がありません。五体満足で、言葉も自在に操れる。何らかの障害があると証明されるような、データもない。不調を感じて病院に行って も、どこも悪くない・気のせいだと言われ続けます。 でも、確かに、何かがおかしいのです。それで、得てして、「すべては自分が悪い」「私は、生まれてはいけなかった」「この世に、居場所はない」という結論を出してしまうものです。

「アスペルガー症候群」という先天的な障害を持って生まれた人には、生まれながらにして自分自身を否定する道しか用意されていないなんて、やっぱりおかしい!

この著者の前向きな姿勢からは、学ぶべきことがたくさんあります。そして、全国にたくさんい る「アスペルガー症候群」の本人とその家族が、「アスペルガー的な人生」を肯定 し、こういう生き方をしていても良いんだ!と思えることを 願ってやみません。


著者は、診断を正式に受けていません。また、今後も診断を受けるつもりはないとのことです。というのは、診断を受けるために使うエネルギーを、自分らしく生きる工夫をすることに費やしたいと考えるからです。そして、この本を、医療の観点ではなく、現実の生活者としての観点から書いています。

ただし、未診断といっても医療機関にかかっていないだけで、『ガイドブック・アスペルガー症候群』の著者であるアトウッド先生には何度も会って、共同で仕事もしています。また、アスペルガー症候群のお子さんを診断した主治医の確認も得ています。また、ご本人自身が、発達障害児教育を専攻する専門の研究者(教育学博士)でもあります。そういう意味では、全くの自己診断ではありません。


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