花雨夜


monologue...昨夜夢を見た どこかの、紅葉した森林の牧場で
       だれかが、雨夜花という名の歌を吹いているのがかすかに聞えていた
       もうこの歌は忘れてしまった それはいったいなんと言ったらいいのだろう
       雨は美しく、夜は涼しく、花は芳しかった

       (あれは花粉舞う林の中...)

山風 小川 犬 炊事の煙 熱いスープ 木のテーブル いないのは誰?
鳥が鳴く 虫が鳴く うぐいすの声 つばめのお話 なにをもめているの
山風 小川 犬 炊事の煙 熱いスープ 木のテーブル 酔っ払わないでね
たとえ酔っても わたしがいる もっと陶酔していい

あなたは私を馬鹿だと言う 人生はもともと慌ただしいもの
花を体に挿して 衣の袖を振りましょう
私は移ろう世を経験し尽くしたくないの
夢に陶酔して しっかり掴んで放さない 私といっしょにいてくれますか

山風 小川 犬 炊事の煙 熱いスープ 木のテーブル いないのは誰?
私を笑わないで とても美しい夢を見たの
夢であなたが寄り添ってくれるのを待っているの
山風 小川 犬 炊事の煙 熱いスープ 木のテーブル 酔っ払わないでね
たとえ酔っても わたしがいる もっと陶酔していい

昨夜見た夢は、どこかの、紅葉した森林の牧場
だれかが、雨夜花という名の歌を吹いているのがかすかに聞えていた
雨夜花 花雨夜 夜に花は目もあやに乱れ墜ちる
なんて涼しげ なんて芳しい なんて美しいのだろう

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