3.調査の結果及び考察

<本調査区域内でこれまで(1993年10月〜現在)に観察された鳥類リスト>
●セキレイ科    セグロセキレイ,ハクセキレイ,キセキレイ,タヒバリ,ビンズ イ
●ホオジロ科    ホオジロ,カシラダカ,アオジ,オオジュリン,ミヤマホオジロ、クロジ
●ヒバリ科     ヒバリ
●カイツブリ科   カイツブリ,カンムリカイツブリ,ハジロカイツブリ
●キジ科      キジ,コジュケイ、ウズラ
●カワセミ科    カワセミ,ヤマセミ
●キツツキ科    アカゲラ,アオゲラ,コゲラ,アリスイ
●ムクドリ科    ムクドリ,コムクドリ
●ハト科      キジバト、アオバト
●メジロ科     メジロ
●ハタオリドリ科  スズメ、ニュウナイスズメ
●チドリ科     イカルチドリ,コチドリ,タゲリ
●ウ科       カワウ
●ヒタキ科     キビタキ,エゾビタキ,コサメビタキ,サメビタキ,オオルリ,オジロビタキ
●ウグイス科    ウグイス,エゾセンニュウ,オオヨシキリ,エゾムシクイ,センダイムシクイ,キクイタダキ,
          セッカ,コヨシキリ、メボソムシクイ
●ツグミ科     コルリ,ルリビタキ,ジョウビタキ,ノビタキ,トラツグミ,クロツグミ,アカハラ,シロハラ,ツグミ、マ          ミチャジナイ
●ハヤブサ科    ハヤブサ,チョウゲンボウ
●シギ科      イソシギ,クサシギ,キアシシギ,アカエリヒレアシシギ,タシギ,ハマシギ,ヤマシギ
●アトリ科     シメ,カワラヒワ,ベニマシコ,ウソ,イカル,コイカル,マヒワ,アトリ、オオマシコ
●モズ科      モズ,オオモズ
●ヒヨドリ科    ヒヨドリ
●タカ科      オオタカ,ハイタカ,ツミ,トビ,ノスリ,サシバ,ミサゴ,ハチクマ、ハイイロチュウヒ
●サギ科      ダイサギ,チュウサギ,コサギ,ゴイサギ,アオサギ,ササゴイ,アマサギ
●クイナ科     バン,クイナ
●カラス科     ハシボソガラス,ハシブトガラス,オナガ,カケス
●カモ科      コガモ,マガモ,オナガガモ,ヒドリガモ,カワアイサ,ウミアイサ,カルガモ,オシドリ,トモエガモ,
          ホオジロガモ,キンクロハジロ、オカヨシガモ,ヨシガモ,ミコアイサ、スズガモ
●シジュウカラ科  シジュウカラ,ヒガラ,ヤマガラ,コガラ
●ゴジュウカラ科  ゴジュウカラ,
●イワヒバリ科   カヤクグリ
●アマツバメ科   アマツバメ
●エナガ科     エナガ
●カッコウ科    カッコウ,ツツドリ,ホトトギス,ジュウイチ
●フクロウ科    フクロウ,アオバヅ ク
●ツバメ科     ツバメ,イワツバメ,コシアカツバメ,ショウドウツバメ
●カモメ科     コアジサシ,セグロカモメ、ユリカモメ
●ヨタカ科     ヨタカ
●レンジャク科   ヒレンジャク,キレンジャク
●カササギヒタキ科 サンコウチョウ
●サンショウクイ科 サンショウクイ
●チメドリ科    カオジロガビチョウ,ガビチョウ
●ミソサザイ科   ミソサザイ
注:改正前の旧分類法に従って表示してあることをご了承下さい。 
 

以上、1993年10月から現在までに、上記の鳥類が観察された。本調査区域の渡良瀬川では、いわゆる珍鳥、固有種の類いは見られないが、それでも、川の両サイドが低山帯であるため、山地性の鳥と平野部の鳥とが混在して観察される、なかなか貴重なエリアである。例えば、夏鳥では、コムクドリ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、キビタキが渡りの途中、毎春、本調査区域に立ち寄ってくれるし、冬期には、カシラダカ、オオジュリン、ミヤマホオジロなどのホオジロ類とコガモ、マガモ、カワアイサなどの水鳥達が一冬を過ごしていく。また、留鳥の中では、ゴジュウカラやヤマセミが観察できる。特に、ゴジュウカラは、比較的標高の高いところで見られる鳥であるが、ここでは、公園内の平地林で毎冬観察されている。ヤマセミも元来は山地性の鳥であるが、本調査区域内の河川敷きでは比較的容易に観察できる。恐らく、ここは、渡良瀬川でヤマセミを観察できる最も下流のポイントといってもよいかもしれない。(ここよりもっと下流に位置する足利市付近で目撃したと言う人もいるが)次に、春秋の通過鳥についてであるが、本調査区域内で見られる旅鳥は、残念ながら、大変種数が少ない。これは、一つには、この近辺の渡良瀬川は、多くのシギ・チドリ類にとって、渡りのコース外に位置しているためと考えられる。実際、本調査区域から約13キロメートル程離れた利根川では、毎年各種のシギ・チドリ類が観察されている。また、シギ・チドリ類が少ない、もう一つの原因としては、水量が一定しない、干潟が少ない、餌が十分に手に入らないなど、本調査区域一帯がシギ・チドリ類が滞在するための必要かつ十分な条件を備えた環境になっていないことが考えられる。
現在、本調査区域の渡良瀬川には河川敷きの有効利用と称して、運動場やゴルフ場が建設され、川そのものが窒息寸前の状態にある。おまけに最近は、堤防の延長工事だ、企業の拡張工事だといって、周辺の貴重な雑木林までもがどんどん伐採されている。事実、本調査区域の調査を開始してから5年の間だけでもかなりの面責の雑木林が消失してしまった。雑木林の減少が今後、鳥たち、特に夏鳥たちにどの程度の影響を及ぼしていくのか注意深く見守っていく必要がある。平成11年から12年にかけて実施された護岸工事のため、本調査区域から遂にヤマセミが姿を消してしまった。最終確認は平成12年3月19日‥‥‥。)
ヤマセミ
ゴジュウカラ


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