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アナがヴェルカンに襲われている時、こんな事してたんだよ。
【 1 】
BY-Toshimi.H
╋╋╋╋╋╋╋「寒いな…」
一瞬身震いをし、文献のページを捲っていた指先に、息を吐き掛ける。一息付こうと、窓の外に目をやると、いつの間にか雪が降っていた。
トランシルバニアの冬は寒い。特にこんな山奥の山間地帯の小さな盆地は。
冬のヴァチカンの地下も寒いが、ここは窓からの隙間風が酷かった。強く吹き込む度に、明かり取りの蝋燭が消えそうになり、その炎が激しく歪んだ。
ヴァレリアス家の書庫には、自分の知らない事柄や知識の宝庫だった。世界一を誇る、ヴァチカンの蔵書には遥かに及ばないが、ここにはヴァレリアス家四百年の歴史があった。
そのヴァレリアス家の末裔に協力する為に、自分を半ば無理矢理ここへ連れて来た本人は、女主人と別室で酒でも呑んでいるのだろう。
彼の役に立つのは嬉しかったが、自分だけ除者にされて、彼が誰かと一緒に時間を過ごしているのは面白くなかった。それが恋人なら尚更。
だが、女主人は自分達を信用――いや信頼する気配は感じられなかった。それ故、間違いがあるとは思えないが…。
溜め息を一つ吐き、窓の外を舞い散る雪を眺める。
こんな雪を見るのは、ヴァチカンに来てから初めてだった。
「おい、カール」
突如名を呼ばれて、反射的に身体がビクリとなる。
振り返ると、そこに全身黒ずくめの長身の男が立っていた。
「ヴァン・ヘルシング!」
「どうだ、調子は?」
ヴァン・ヘルシングは革製の手袋を外しながら、近付いて来た。
「ここの本は、興味深いものばかりだよ。全く飽きないね」
男は外した手袋を、机の上に置き、カールの隣りの椅子に腰掛けた。
「――それより、彼女は?」
「自分の部屋に居るよ」
男の腕が伸びて来て、肩を抱かれる。
「酒をご馳走になってたんだろ?」
少し拗ねてみせるが、ヴァン・ヘルシングはそれに気付かないのか、顔を近付け、唇を寄せて来る。
「勝手にやれと、言われた」
強烈なアルコール臭のする息に顔をしかめた瞬間、唇を塞がれる。
「…んっ…」
噎せ返る様な、きついアルコールの臭いと味が、口の中に広がった。
カールは熱いヴァン・ヘルシングの唇から分け与えられる熱に、軽い目眩を覚える。
離された唇は、赤い痕を残し、首筋から胸元へと移動して行く。
「は…ぁ……、ん…。ダメだよ、ガブ…」
カールは二人きりの時のみに呼ぶ、彼のファーストネームを熱を持ち始めた吐息と共に漏らす。
ガブリエル・ヴァン・ヘルシング。それが七年前に、ジネット枢機卿から与えられた彼のフルネームだった。
カールはあまり知られていない、彼のファーストネームを呼ぶ事を許された、数少ない人間の内の一人だった。しかも、更に親しみを込めて「ガブ」と。
「なら、場所を変えよう」
長身で、しかも敵と闘う為に極限にまで鍛え上げられたヴァン・ヘルシングの腕は、頭脳派人間の見本の様なカールの華奢な身体を、軽々と担ぎ上げ、備え付けのカウチに放り投げた。
「…ぃった…。ちょっと待ってよ! ……!!」
羽織っていたロングコートを投げ捨て、革のベストを脱ぎ捨てたヴァン・ヘルシングは、カールの身体をカウチに押し付け、再び唇を塞ぐ。
舌でカールの歯列を割り、舌を絡め取りながら、羽織っているローブの止め金を外す。
熱に浮かされ、口付けの心地良さから、カールの身体から力が抜け、腕は恋人の首に回される。
それに気を良くしたヴァン・ヘルシングは、膝まで捲り上がったカールの僧依を、足に指先を這わせながら、更に捲り上げて行く。
「や…、ダメだ…よ。彼女が…来ちゃう…」
下着に手を掛けられ、無駄とは判っていても、細やかな抵抗を試みる。
「彼女なら眠っている」
その言葉に、カールは一瞬絶句する。
今からドラキュラ退治に行こうと武器を選んでいた彼女が、大人しく部屋で眠っているとは考えられない。と、なれば“眠らされた”と考えるのが妥当だ。それにカールには、その道具に心当たりがあった。
「あれはそんな風に使うものじゃないよ!」
自分の開発した武器を、予想外の使い方をされ、驚いて上体を上げる。
「想像力を働かせろと言ったのは、お前だ」
カールの言葉をサラリと躱し、起こされた上体を再びカウチに押し付ける。そして脱がし掛けの下着を足から抜くと、床へ放り投げた。
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