急に真顔で言われた言葉が、心と身体に染み込んで行く。
ヴァン・ヘルシングの唇は、瞼から頬、首筋へと降りて行く。
「…はぁ…」
心臓が飛び出しそうになる程、鼓動が激しくなり、熱い息が漏れる。
「んっ…」
身体の奥底から沸き上がる感覚が、何物なのか判らず、ヴァン・ヘルシングを引き剥がそうと肩を掴むが、すぐに力が抜けてしまい身体を委ねてしまう。
「…ァン・ヘルシング…」
名を呼ばれ、ヴァン・ヘルシングはカールの胸元から唇を離し、恋人となった人の顔を見る。
その目には今にも零れ落ちそうな程の涙で濡れ、朱に染まった顔はとても不安気だった。
愛しくて、可愛らしくて、堪らずキスをする。
カールの閉じた目から、涙が零れ落ち、頬を伝う。その涙をヴァン・ヘルシングは、優しく唇で掬い取った。
「…ウソみたい…」
カールは一生懸命に笑顔を作ってみせる。
「ウソなもんか」
そう言うと、ヴァン・ヘルシングは、カールの膝裏に腕を入れると、彼を軽々と抱き上げた。
「ぅわっ!?」
不意に身体が浮き上がり、驚いて咄嗟にヴァン・ヘルシングの首に腕を回し、落ちない様にしがみつく。
「――なに?」
「俺はいつだって、お前に触れたくて堪らなかったよ」
そう言って、カールを抱き抱えたまま寝室へと向かう。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
カールの心臓は再び跳ね上がり、これから起こる事に対する不安に駆られる。
彼の戸惑いの混ざった抵抗の言葉を無視して、ヴァン・ヘルシングはカールを寝台に横たえた。
「怖い?」
「う…ん、怖いです…」
カールの不安を取り除く為に、僅かに震える唇に、自分の唇を落とす。
「大丈夫。優しくするから」
そう言いながら今度は深く口付け、両手首を掴み寝台に押さえ付け、自由を奪う。
魂まで吸い込まれる様な口付けに、カールはたどたどしく答える。
ヴァン・ヘルシングの唇は、零れ落ちた唾液を追って頬から首筋へ移動する。
「…はぁ…んっ」
思わず零れ出た自分の声に赤面する。
いつの間にか拘束を解いていたヴァン・ヘルシングの手は、僧依の背中の結び目を解(ほど)いていた。
今から何をされるのか、また、何をするのか判らない不安の中で、カールの頭に、聖書にある受胎告知の一説が浮かんだ。
《おめでとう、貴女は神の子を身籠もられた》
《そんな! 私は男の人を知りませんのに》
これが“男の人を知る”行為なのか。
そう思っている間に、頭と腕は僧依から抜かれ、上半身が露わにされていた。
再び恐怖に駆られ、ヴァン・ヘルシングから逃れる為に後ずさる。
「…や…だ」
上体を上げて、尚も逃げようとするカールに構わず、腰まで下げた僧依の中に、下から右手を潜らせる。
「あっ…」
中心に触れられると、カールは反射的に腰を引く。
身体が固まって、動けなかった。
ヴァン・ヘルシングの指の動きに感じて、自分のモノが膨らみ硬くなって行くのが判る。
固く目を閉じ、声が漏れそうになるのをジッと耐える。
「カール、楽にして」
ヴァン・ヘルシングの言葉に、カールは左右に大きく首を振る。が、ヴァン・ヘルシングの手はカールの中心を扱き続ける。
左手の指先を、腰から胸へと滑らせる。堅くなりかけた胸の突起に、親指の腹を押しつける様に回す。
「あっ…ん」
頬を赤く染めて、唇を噛み締める。
みるみる立ち上がった乳首を、ヴァン・ヘルシングは指先に摘み弄ぶ。
「――ダ…メっ!」
耐え切れず、カールはヴァン・ヘルシングの手の中に、白濁を吐き出した。
「感じ易いんだな」
ヴァン・ヘルシングは愛撫を止め、苦笑しながら上体を上げた。
肩で大きく呼吸を繰り返しながらも、快楽から開放された安堵の表情を浮かべるカールの前で、ヴァン・ヘルシングは汚れた手を舐めた。
「――お前の味がする」
ニンマリと笑い、恥ずかしい言葉ばかりを口にする目の前の男が信じられなくて、カールは手で視界を遮った。
「バカー…」
それ以上の抵抗の言葉が出て来なくて、その代わり膝を折って身体を丸める。
しかし、しっかり閉じた足の間に、射精したばかりの自身が当たって、どうしても意識してしまう。
「まだこれからだよ」
上半身の衣服を脱いだヴァン・ヘルシングは、カールの足首を掴むと左右に広げ、自分の両肩に掛けた。
そんな所を人目に曝した事のないカールは、羞恥で顔を真っ赤に染める。
「…やっ!」
心臓の鼓動は更に激しさを増す。
目からは大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。