陸軍輸送港域標石
 陸軍輸送港域第一区標石は西区鬼ヶ城山と柚木城山系で各一基と坂町市光山で一基確認することが出来た。また、大野地区の谷口行雄氏の写真撮影によると廿日市市と旧大野町境の山(標高108.2m元三角点ヶ所)にあったが、現在は住宅団地となっており所在は不明である。
 陸軍輸送港域第二区標石は安芸郡海田町と熊野町境の尾根筋で三基、安芸区蓮華寺山系で二基、廿日市市の極楽寺山系から野貝原山系にかけて八基確認することが出来た。また、東区の牛田山には半分に折れた上部が残されているが、位置関係から第二区標石とみられるのである。
 これらの標石は花崗岩製の15p角、70〜90pの高さで建立されており、第一区標石の銘文は一面に「陸軍輸送港域第一区標」、二面に「昭和十五年六月十日」、三面に「陸軍省」、四面に「第〇〇号」と通し番号が刻してある。また、第二区標石には一面に「陸軍輸送港域第二区標」とあり、二面、三面、四面は前者と同じ刻銘である。
 宇品港域軍事取締法が昭和15年(1940)4月2日に公布の改正法律で陸軍輸送港域軍事取締法と改称され、6月3日の陸軍省令同法施行規則で東は坂村から西は大野村に至る広島湾後背地とその付近の海面が陸軍輸送港域(広島港域)に制定された。
 陸軍輸送港域内は二区に分けられ一区は旧宇品港域とほぼ同区域と広島市南部の本川と天満川に挟まれた三菱重工業広島造船所の一帯及び廿日市町・五日市町周辺の陸地部とその海域が制定されており、その他の部分は二区とされた。
 宇品港域から広範囲に広がった陸軍輸送港域内では色々な禁止事項や制限などが行なわれており、詳細については陸軍輸送港域軍事取締法、同法施行規則や軍機保護法施行規則などを参照されたい。
 これらの標石の位置には当初は標木が建立されていたものとみられ、一ヶ月もしないうちに標石に建替えられているのである。廿日市市黒折の井出口宅にはこれを裏付ける標木が二本保存されている。 標木はいずれも11.5p角、全長は147pで一面に「陸軍輸送港域第二区標」、二面に「昭和十五年五月二十日」、三面に「陸軍省」、四面に「第五四号」ともう一本には「第五五号」と記してある。昭和15年(1940)5月20日にこの標木が建立され、21日後の6月10日には標石に建替えられているのである。なお、これらの標石の建立には井出口次郎吉氏が関わっていることからこの標木が保存されていたもののようである。
 陸軍輸送港域第一区標石(昭和15年6月10日)
標石番号 所 在 地 備 考
第3号  廿日市市・旧大野町境 元標高108.2mケ所 (現在 ふじタウン)
第15号  広島市西区 鬼ケ城山  標高282.5m三角点ケ所
第16号  広島市西区 柚木城山系 標高315mケ所
第4?号  広島市安芸区矢野町 矢野橋袂   情報提供より アスファルト舗装下部不明
第46号  広島市安芸区矢野町・安芸郡坂町境 茶臼山(高尾山)  標高230mケ所   御教示頂いたサイ  ニュータウン裏山探検記
第49号  安芸郡坂町 市光山  標高438mケ所
 陸軍輸送港域第ニ区標石(昭和15年6月10日)
第6号  安芸郡海田町・熊野町境 古峠
第7号  安芸郡海田町・熊野町境 新峠
第8号  安芸郡海田町・熊野町境 洞所山系 標高592m三角点ケ所
第11号  広島市安芸区 蓮華寺山 標高374m三角点ケ所
第12号  広島市安芸区 高城山 標高496.1m三角点ケ所
第?号  広島市東区・安芸区境 藤ケ城山 標高666.4m三角点ケ所  折損上部不明
第15号  広島市東区・安芸区境 呉娑々宇山 標高682.2m三角点ケ所
第2?号  広島市東区 牛田山 標高261mケ所  折損下部不明
第?号  広島市安佐南区 火山 標高488m三角点ケ所  折損下部不明
第41号  広島市佐伯区・安佐南区境 空山山系
第43号  広島市佐伯区・安佐南区境 窓ケ山系
第45号  広島市佐伯区大杉 標高568.2mケ所
第46号  廿日市市原後畑・下河内境 標高617mケ所
第47号  廿日市市原後畑 牛池山 標高663mケ所
第48号  廿日市市原後畑 通称茶臼岩山 
第49号  広島市佐伯区葛原 南峠山(通称汐見山) 標高635.4m三角点ケ所
第51号  廿日市市玖島 金尾松山 標高656.4m三角点ケ所
第53号  廿日市市宮内 野貝原山 標高733m旧三角点ケ所
第54号  廿日市市宮内 折敷畑山
第55号  廿日市市宮内黒折 元井手口宅前
第57号  廿日市市大野 標高529mケ所
第58号  廿日市市大野 馬の口山(中津岡山) 標高530.7m三角点ケ所   御教示頂いたサイト  廿日市市の山々
第59号  廿日市市大野 滝山   御教示頂いたサイト  廿日市市の山々

近代戦争制限区域標石