タイトル | : 感想>「風は山河より」 |
投稿日 | : 2008/10/29(Wed) 19:06 |
投稿者 | : くれい爺 < > |
「風は山河より」
宮城谷 昌光
めずらしいというより初めてなのか、宮城谷昌光の日本の歴史物。
徳川三代、といっても家康、秀忠、家光でなく、これは松平のころの話で、家康の祖父・清康、広忠、家康の三代で、これと重ねて菅沼定則、定村、定盁の三代を主人公に据えて戦国時代の三河を描いている。
最初は宮城谷独特の細かさにしんどい面もあるが、面白いのでそう気にならなくなる。
むしろ描かれている人物の中で最初に登場する菅沼定則の話が一番面白いので、すぐ物語の中に入っていける。
宮城谷の作品では好きな作品の一つ「孟嘗君」でも、主人公・孟嘗君より、その義父・白圭の話が抜群に面白くてすぐに小説の中に入れた。
全編を通じて、宮城谷らしい清々しさにあふれているし、宮城谷の女性の描き方のうまさに感心させられる。
そして一番心に残ったのは付録についていた宮城谷の文章で「豊橋からの飯田線の沿線風景は日本でも十指に入る」という文だったりする。
いつか旅してみたいものだ。