呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
さ・や・う・た
いやあ、流石ニトロプラス。恐ろしいものを作ってくれたものである。
それは何か。12月26日発売の新作『沙耶の唄』のことである。
なあ、最初は医学部を舞台にした純愛ロマンスではなかったのではないか。そういう話だったのである。ところがどっっこい、笑っちゃうぜの現状である。
『燃えません。凍えます』
思わず絶句である。あははははは。
何なのだ。この肉塊蠢く壁は。肉塊蠢く街の風景は。
しかし、虚淵おマニアをなめてはいけない。おそらくほとんどの人間は、絶対に当初の広告を信じていなかったに違いない。だって、だって、仮面ライダーが『ヴェドゴニア』である。学園ハートフルADVが『ハロワ』である。18禁のゲームをコンシュマーに移植するのに一番増やした画像が野郎とメカの『デモベ』である。
少なくとも、私はかけらも信じてはいなかった。
以下、ぼろぼろネタばれ故に、未プレイ、もしくはプレイ予定の方はご注意ください。
というわけで、26日発売と同時に、手に入れた武田と朱雀と早速プレイしたのだ。
しかし、しかし、しかし。ここまで凄い代物にしてくださるとは。虚渕氏。イイ意味で莫迦野郎様である。
ある日突然主人公を襲う怪異。それを親身に介抱するこちら側の美少女・・・。このセオリーがゲーム開始5分で崩壊するのだ。最初から怪異のど真ん中なのである。わはははは。
当初、主人公の彼女ということで、医学部純愛ロマンスADVの頃のヒロインと目された女の子が肉塊である。主人公の高校時代からの友人。も粘液飛ばしまくっている肉塊である。ヒロインの友達で高校時代の友人の彼女も肉塊である。
ぶよぶよぐちょぐちょ。
わははははは。いや生理的嫌悪感を催す場合は画像の明度を落としてそれが見えないようにできる機能がついているのだが、そんなもの使うものか。といった感じでぐちょぐちょの世界が続く。
そんななかで唯一主人公がまともに見ることができる存在。それが沙耶だった。
このあたりの展開は実に何というか、武田の言うところの3大シナリオライターの一人虚淵氏である。うまい。(ちなみに他の二人は丸谷秀人氏と、リバ原あき氏だそうな)持って行き方が半端ではない。異様な肉塊との会話を主人公視点で捉えた後、同じものを3人称視点で描写する。おそらくは小説的手法としてはほめられたものではないが、しかし、主人公がいかに異常な状況に存在するかが非常に良く解るのだ。こりゃただごとじゃねえ。となるのだ。
そして、沙耶とともに過ごすことでだんだんと人ならざるものに精神が変貌していく主人公。このあたり、本来ならば凄まじく怖いところなのだろうが、人外ロリにはあはあしてきたニトロファンを舐めてはいけない。ダンピールの少女に、分解された妹に、ロボットの妹に、魔導書少女にはあはあしてきた我々にとっては、至福の時間かもしれない。(しかし、昼のお料理番組を必死になって見ていた沙耶ちゃんに萌えるのは異常か否か)そして、遂に人として超えてはならない一線を越えてしまった主人公。
それは、熟れた果物の味がした・・・。
さすがはどこかのサイトさんで『腐っちゃった姫』(ライアーの『腐り姫』のパロと思われる)といわれた作品である。わははははは。いや、これはもう、逝っちゃった方が幸せという書き方なのだ。
このあたりは文才のない私が百万遍語ったとしても理解してはいただけまい。18歳以上の方は即座にGO! である。そんなにお高くないし。ただ、こういうのが嫌いな人は要注意であるが。
ともかく、なんとも。物語は進み、ヒロインの友達で高校時代の友人の彼女は退場し、ヒロインと目された女の子は主人公達の世界に沙耶によって連れてこられてしまう。そして高校時代からの親友同士の対決。
ま、エンディングはホラーに良くある3大パターンである。
1 こちら側への生還と隔離。
2 主人公は人外の存在として処分される。
3 人外が世界を蔓延してエンド。
いや、根性なしの1は論外としても、3はひたすら美しいし、2はこういった人外ハンターとなった主人公の友人の物語。そのプロローグ的ストーリーとして相応しいのではないだろうか。
ただ、個人的には街の片隅。光の差さない闇の世界で、主人公と沙耶が二人でぬくぬくというエンドが、ニトロ的ではないにしても、あっても良かったのではないかなあ。そう思うのだが。(04,1,8)