呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
袖すり合うも・・・
さて、気がつけば最近とんとBARに顔を出していないことを想い出した。さては、『K』さんの鮎のおかげで少しは余裕というものが産まれたのだろうか? 仕事の量に自棄になっただけという話もあるが。
ともかく、早速、BAR『CE』(なんかMSのウインドウズみたいである。約してしまうと)に顔を出すことにする。できるだけ隅っこで静かにアイリッシュ系のモルトとショートカクテルを何杯かを飲んで帰る。これがいつものパターンである。
しかし、今回は勝手が違っていた。しばらくして隣に座ったのは土木関係の会社のご同業のようだった。ただ、びっくりしたのは、若く見えるのに、もうすぐ四十郎だということだ。(向こうもこちらが四捨五入で四十郎だと言うことにびっくりしていたようだったが・・・)
発端は私の持っていた『ザ・ビッグオー』のLDだった。
「今時LDですか?」
「ええ、DVDはいまいち信用がおけなくて」
私が答える。
「そうですよね。あれ、技術的にはPDでしょう」
そこで、彼も同業と知れた。
「ま、スペースの問題か、DVDばかりで、最近はLDがとんと減りましたからねえ」
「まったく、『宇宙戦艦ヤマト』とか『ウルトラマン』だとかDVDで出てくれるのはいいんですが・・・」
「リアルタイムで『ヤマト』はご覧になった?」
「ええ。小学校5年生でした」
「ほう、私は高校生でしたよ。小学生で『ヤマト』とは」
その言葉に少しびっくりする。だから丸顔の男は年が解らないのだ。
「いやあ、戦記物は好きでジャガーブックスや少年少女講談社文庫はよく読んでましたから」
本棚をあされば少年少女講談社文庫の『図解 世界の戦車』や『図解 世界の戦艦』などがごろごろ出てくるに違いない。だいたい私は沈んだ軍艦が宇宙戦艦や宇宙巡洋艦、宇宙駆逐艦になるのなら、『連合艦隊』がまるまんま再建できると狂喜乱舞した小学生である。
某フォーラムで『軍国主義』『右翼』『戦争狂(ウォーモンガー)』と、「戦争には蓋」のオストリッチ症候群達に罵られたSよりも更に右に位置する自信はある。が、前にも言ったがこのサイト、特に『呆冗記』では政治と犯罪等は可能な限り避けるという不文律を自らに課しているため、言わないだけだ。なにせこの『呆冗記』、『人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ』なのだから。
が、だ。今回こういう話題になったのは、彼の口から恐ろしいアニメ作品の名が飛び出したからである。
解る人だけ解って欲しい、その作品の名は・・・。
『アニメンタリー 決断』
何をトチ狂ったか、太平洋戦争(この言い方はSに言わせると誤っているそうな。『戦場は、中国と東南アジアであった』というのがその理由らしいが今はこの言い方をさせてもらう)をドキュメンタリーで最後まで追っかけた迷作。である。
おそらく、今だったら非難囂々雨霰で早速うち切られたであろうが、1時間フォーマットで13回、真珠湾から菊水作戦までしっかりフォローした名作だ。たしかLDボックスが発売されたはずだが、異様な高値と、十年近い昔と言うことで購入の機会がなかった。
しかし、まさか、BARで見ず知らずの方とそんなマイナーアニメネタで盛り上がれるとは思いもよらなかった。私は予定の酒量を過ごし、(締めのマティーニのあとでギムレットを頼むという暴挙に出た)1時間弱を楽しく過ごし、彼の連れが来店すると同時に一礼して席を立った。
やっぱり人間、どんなに忙しくても酒を飲む余裕だけは失ってはならないのだろう。人生は一期一会。袖すり合うもなんとやらなのだ。 (00,6,21)