呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
25 DDAY+2 PM9:30 調教飼育
「しかし、『調教』と『飼育』はどこが違うのだろうね」
わあ、危ない。久部さんの言葉に私は思わず対向車線に突っ込みそうになった。
「平常心が足りないニャ。何かイヤらしいことを考えていたのだニャ」
あのなあ、お前にだけは言われたくないぞ。T。お前だけには。
「『調教』というのは犬の調教のように調教師以外の人間にも仕えるようにするの目的で行う物なんだわ」
まじめに応じる冴速さん。
「すると、『飼育』は動物園の飼育係のように。特定個人が継続して行うものなのだろうかね」
「そうなると思うニャ」
「するとだ、光源氏が葵の上を育てたのは『飼育』ということになるのであろうか」
あのう・・・。あの名作をそういう風に捉えますか?
過去において、光源氏はかの川原泉氏の描かれる「笑うミカエル」のヒロインたちにこてんぱんにされたことがあるが、まさか、こんなところで自分が『飼育』したのか『調教』したのかを論じられているとは思うまい。
「先ほどのT君の男の甲斐性は遠く平安時代からしかも、女性に既に見抜かれていたんだわ」
それはそれで嫌かも知れない。
「すると、Sは高校生の『調教』師ということニャ」
なんか、可笑しい。しかし、学校の先生なぞそんなもんかも知れないなあ。と思ってしまったりもする。
やっぱり、Sがこの旅行に参加しなかったのは正解だったのかもしれない。
何はともあれ、閉鎖された空間で螺旋状に意識がぶっ飛んでいく我々は一路、新得に向かったのだった。