■2004/04/16 Renewal

ヴァンヌ−カルナック


1994.04.27 ヴァンヌ

トゥールからナントを経由してヴァンヌへ。
トゥールを出た時は快晴だったのに西へ向かうにつれて天気が崩れはじめ、ヴァンヌに着いたときは冷たい雨が降っていた。
市街地までは駅から10分くらい歩く。
雨の中、荷物を抱えて移動するのも面倒なので、駅の近くのホテルに泊まることにした。
ホテルの名前は「アンヌ・ド・ブルターニュ」。アンヌはブルターニュの守護聖女の名前だ。
英語はほとんど通じなかったが、優しそうな奥さんとその娘さんらしい女性が丁寧に対応してくれて、印象のよいホテルだった。

バスターミナルで明日のカルナック行きのバスの時刻を調べた後、旧市街を散策する。
旧市街の中心はサン・ピエール大聖堂。
ゴシック風の石造りの聖堂の内部は薄暗く、荘厳な雰囲気が漂う。
聖堂の周りには土産物屋が並んでいた。
その向こう側にある15世紀のガイヤール城の内部は考古学博物館になっている。
聖ピエール寺院

この辺りは木組みの古い民家が多い。
雨に濡れた石畳を歩いていると、中世の町に迷い込んでしまったような気分になる。
ヴァンヌの町の東半分には城壁が残っていて、周辺は公園のようにきれいな庭園になっていた。
城壁沿いに歩くと、やがて小さな港に突き当たった。この向こうには細長いモレビワン湾が続いている。
ここで旧市街が途切れる。
雨の中の散歩も悪くはないが、とにかく寒い。
もっと歩いてみたい気もしたが、早々にホテルに戻ることにした。


1994.04.28 カルナック

この日も雨。
朝、チェックアウトしてホテルに荷物を預かってもらう。
カルナックから帰ってきたら、そのままレンヌに移動する予定だ。
9時にヴァンヌの町を出発したバスは、この辺りでは大きな町オーレイを経由してカルナックに向かう。
10時半頃、カルナックに到着した。

ブルターニュ地方には巨石遺跡が多いが、その中で最も有名なのがこのカルナックの巨石群だ。
カルナックと一括りにされることが多いが、3つの地域から成っている。
ル・メネック、ケルマリオ、ケルレスカン。これらを併せた全長は約3Km。
この間、数千を越える石が幅百メートルの範囲にまっすぐ数列に並んでいる。
これらの石が何を表すものなのかはまだ分っていない。
天文学的な意味があるという説もあるが、列の方角がそれほど一定でないことから、むしろ儀式か祭りの場であったという説が有力らしい。
巨石文明は紀元前4600年〜2000年の間に発達したという。
エジプト最古のピラミッドより1000年も古く「世界最古の記念建造物」とみなされているそうだ。

インフォーメーションで地図をもらい教えられた道を辿ると、まずル・メネックの列石群にたどり着いた。
ル・メネックは巨石群と呼ぶには石が小さい。
腰のあたりまでの高さの石がほとんどだが、まっすぐに並ぶ石は超自然的な感じがして、どことなく神秘的だ。
雨にけぶる黄色いエニシダの花が印象的だった。
<注:現在はル・メネックは外からしか見られないそうです。>
カルナック

やがて休憩所が見えてきた。
ここにはカルナックの模型や説明のパネルなどがあった。
売店もあったので、絵葉書を何枚か買った。
この先にはケルマリオの巨石群が続くのだが、あまりに寒かったのと天気がいまひとつということで、そろそろ戻ることにした。
ケルマリオには「マニオの巨人」と呼ばれる巨石があるので行きたかったのだが…。

地図を見ると町の中心へ戻る近道があった。
同じ道を帰るのもおもしろくないし、今度はそちらの道へ行ってみる。
雨は小降りになっていたが、この道には人っ子一人いない。
雑木林に雨上がりの霧が立ち上り、なかなかいい雰囲気なのだが、ほんとにこの道でいいのかちょっと心配だ。
途中、近くに農家を見つけたので、庭にいたご夫婦に聞いてみた。
私のフランス語が下手なせいか最初は首を傾げていたが、やがてうなずくと「tout droit(真っ直ぐ)」と指差してくれた。
道が正しかったことも嬉しかったが、ちゃんと言葉が通じたことがもっと嬉しかった。

バス停のある広場まで戻ると、バスを待ちながら遅目の昼食を取る。
ブルターニュ地方はそば粉のクレープが名物だ。
土地が貧しいこの土地ではそばくらいしか育たなかったらしいが、そんなそば粉で作ったクレープはとても美味しかった。

バスがなかなか来ない。やがてやってきたバスはオーレイ行き。
バスの運転手にヴァンヌ行きのバスはいつ来るかと聞いてみると、夕方までないと言う。
「そんな!時刻表に書いてあるのに。」と昨日バスターミナルでもらった時刻表を見せると、それは古い時刻表だという。
確かによく見てみると「3月」と書いてある。
わざわざオフィスの窓口まで行って手に入れたのに…と愚痴ってみても始まらない。
とにかくそのバスでオーレイの町まで戻ることにした。
オーレイからヴァンヌまでは鉄道があるから、なんとかなるだろう。

オーレイの駅に着くと窓口に飛び込み、すぐ次のTGVの切符を買おうとした。が、満席。
フランスバカンスパス(フランス国鉄に乗り放題のパス)を持っているので乗車券はいらないが、TGVは全席指定なのだ。
これに乗らないと次のレンヌ行きの列車に間に合わない。
必死に頼みこむと、車掌に頼んでみろと言われた。
不安に思いながらもホームに向かう。
やがてTGVがオーレイの駅に入ってきた。
ホームにいた駅員にパスを見せ、ヴァンヌまで乗りたいと訴えると、あっさり「乗れ」と手で示される。
慌しく列車に乗り込みデッキに座り込んでほっと一息。
オーレイからヴァンヌまでは一駅、ほんの数分がとても長く感じられた。

ヴァンヌに着くと、大急ぎでホテルで荷物を受け取り、また駅に引き返す。
なんとか無事に予定の列車に乗れた。
いつのまにか空は晴れていた。
このブルターニュ地方では天気に恵まれなかったし、いろいろトラブルもあったけれど、人々の素朴さと温かさが気に入った。
「またいつか訪れて、ゆっくり小さな村を廻ってみたい。」
車窓を流れて行く景色を眺めながら、そう思った。

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