[いばじん]ここが聞きたい/14


音楽会の指圧しんきゅう師、村上さん

◇音楽会を開く指圧・しんきゅう師、村上守さん・真理子さん

◇治療室を中心に心身癒す場に

那珂町の指圧・しんきゅう治療室で、フルートとギターによる音楽会「健康に聴くコンサート」が2カ月に1度、開かれている。音楽の合間に開く健康教室も好評で、今年1月に10回目を迎えた。視覚障害を乗り越えて演奏を続ける指圧・しんきゅう師の村上守さん、真理子さん夫妻に思いを聞いた。
【塚田健太】

――なぜ、治療室でコンサートを開こうと思ったんですか。
守さん指圧の仕事を知ってもらうきっかけになればと思い、一昨年の7月から始めました。さまざまな民間療法が街中でたくさん宣伝されているのに、国家資格の指圧・しんきゅう師は広告が規制されています。十分な訓練と医学知識に裏付けられた治療を受けてほしいと思いました。
真理子さん守は中学からギターを、私は音楽短大でフルートを専攻しました。結婚したのも、チャリティー番組が98年に企画した身障者200人によるコンサートに、茨城代表としてそれぞれ参加したのがきっかけです。音楽と切っても切れない関係にあるこの治療室を、指圧・しんきゅうで体を、音楽で心を癒やす場にできればと考えています。

――どのような曲を演奏していますか。
守さん子供が多ければディズニー音楽や童謡、年齢層が高ければ美空ひばりさんやクラシックなどを選曲しています。私は視力がないので楽譜を読めませんが、CDやテープでKiroroやユーミンなどのレパートリーも増やしています。

――コンサートの反響は?
守さん毎回、10人以上が集まってくれます。わずか16畳の治療室ですが、コンサートホールより間近に聴けるのも興味深いようです。神経痛や肩凝りなどをテーマに開く健康教室も、音楽の合間に話す形式で、聴きやすくなっていると思います。講義を長時間、聴き続けるのはつらいでしょう。
真理子さん田畑の中にぽつんと立つ治療室で、最初は「こんなところに人が来るのか」と思いました。でも、フルートに関心を持ってくれる人もいて、今月からは新たにフルートコンサートを始めることにしました。

――治療室の外でも演奏されていますね。
真理子さん障害者の気持ちを話してほしいという依頼を受け、学校などへ出向いています。子供に長時間、話をしても、ざわついてしまいますから、音楽との組み合わせが効果的です。
守さん視覚障害者が街へ出た時、どのような問題があるのかを話しています。例えば、食堂で熱いハンバーグを冷ましてから出されたり、電車から降りた時、何も言わずに腕やつえを引っ張られて改札口へ案内されたこともあります。いずれも親切心からとは思いますが。お互いがうまくコミュニケーションを取ることから始めるのが、何より大切なのではないでしょうか。

◇むらかみ・まもる
88年指圧師、89年しんきゅう師免許取得。91年9月、村上治療室開業。34歳。

◇むらかみ・まりこ
93年昭和音大短大部卒。98年指圧・しんきゅう師免許取得。昨年5月に結婚、村上治療室へ。29歳。次回コンサートは10日午後2時。要申し込み(電話029・295・5508)。無料。
[毎日新聞 2002年3月7日]


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