「町を自由に歩きたい」「みんなと同じように勉強や仕事をしたい」・・・そんな願いを実現するために様々な運動している会がある。
《茨城県視覚障害者の生活と権利を守る会》(略して視生会または茨城視生会)と言い、大里晃弘氏を会長に平成5年7月に設立された。
茨城県には茨城視覚障害者協会という団体もあるのだが、一人一人の細かい要望などに、応じることは難しかった。
徐々にそれらを個別に対応できる組織の必要性が高まりだしたため、盲学校の先生の意見や他県の状況を参考にして会は生まれた。同じ様な会として全国的には20数ヶ所あるそうだ。
障害を持って生活していく中、会員たちは福祉の立ち遅れや障害者への理解の少なさを痛烈に実感。
それはなぜなのか、どうしたらよいのかを基本的な軸に、県やJR、バス会社などへ要求として働きかけている。障害者が一人の人間として自立し、人間らしい暮らしが出来るための運動だ。例えば公共的な場所には弱視者用に色の識別を、肢体不自由者や高齢者にとって危険な階段をなくすなど交渉していく。
交渉相手にその場でよく言われるのは、「こんな事を言われたのは初めてです」「視覚障害者にはそんなことが必要だったのですか」という驚きの声であった。かつて茨城の地においては、自治体や公共機関に対し障害者として当然の要望を出したことがなかった証でもある。
当事者が動かなければサービスを提供する側も障害者を理解出来ない。そう実感した時、茨城の福祉を一歩でも進めるには障害者自身が大きな責任を担っていることに気付いたという。
全日本視覚障害者協議会(全視協)にも加盟している視生会の活動方針には、公共機関等への要望、会員個々にも要請があれば一緒に交渉を持つ、また街づくりに関する点検活動などがある。その成果が少しずつ表れてきた。平成9年度の県知事選から選挙のお知らせの点字発行、ペデストリアンデッキなど水戸駅周辺の点字ブロック・階段へ黄色表示、身体障害者手帳の一般事項についての点字・大活字の発行など確約を取りつけている。
バリアフリーの社会(障害を持つ人も持たない人も共に暮らせる社会)を目指す会ではあるが、運動だけで全ての願いが実現するものではないことも知っている。
自分たち障害者の本当のすがた−障害があること以外みんなと同じなのだということを知らせる−その必要性を感じた。
そこで障害者への理解を深めるひとつの方法として、第2回「障害者のことを知ってますか?コンサート〜バリアフリーの社会をめざして〜」の開催を予定している。その実行に当たり、コンサートの出演者、共催グループを広く募集しているので是非参加してほしい。
出演者の条件として@コンサート出場には障害者個人、または障害者と健常者が一緒に活動しているグループである。Aメッセージへの出場にはあるテーマについて視覚、聴覚、知的障害者、肢体不自由者などそれぞれの立場から『どんなことに困っていて、どうして欲しい』など発表する。
共催グループには、障害者団体、ボランティアなどの障害者をサポートする団体、障害者や健常者個人でコンサートの主旨に賛同して頂ける方等募集。
委員会を組織し、詳細を検討する。
視生会では、この企画は昨年より実施。成功を収めている。自分たちの周りのことばかりでなくみんなの声を集めた方が、各機関に届く力もより強く大きく響いていくだろうと考えているからだ。
一方、「眼が見えないと何もできない」という偏見を色々な面から破っていこうと、種々の障害者問題を学習したり、スポーツ・レクリエーションではマラソンやハイキングも行っている。
また会員だけでなくさまざまな相談も受け付けている。「中途で失明されて困っている方など、是非相談して下さい」とは会長の声である。
※コンサートについては下記の通り
場所…NHK水戸放送局スタジオ
日時…12月6日又は13日午後
各問い合わせは茨城視生会事務局
п@029−295−5508(村上)