血圧が高い人にマッサージや鍼灸をすると、血圧は下がります。血圧が低い人にマッサージや鍼灸をすると、血圧は上がります。
人間の身体は、少し正常な状態からはずれた状況(なんとなく調子が悪い、または軽い病気)の場合に、外から軽い刺激(マッサージや鍼灸)をすると、身体が勝手に判断して正常な状態(健康)に戻す反応が現れます。
そんなに都合の良いことがあってよいのかなあと思っているのですが・・・。実際に本当にあるんです。これをホメオスタシス (恒常性維持) といいます。「生体では、その状態が乱されようとするときには、もとの状態に戻すような生理的機序が常に働く」のです。
体温の調節 = 気温の変化に応じて、寒いときには鳥肌が立ち、体温の放散を抑制します。暑いときには汗をかき、体温の放散を促進します。
血流量の調節 = 運動時には心臓の拍動が早くなり、心臓から送り出す血液の量が増加します。休息時には心臓の拍動が遅くなり、心臓から送り出す血液の量が減少します。
血糖値の調節 = 食後は血糖値が上昇しますが、それに応じて、血糖値を減少させるホルモンであるインシュリンが膵臓から分泌されます。
他にもいろいろあります。これらはホルモン系の調節、自律神経系の調節などによって行われています。 これがうまくいっているときが「健康」であり、うまくいっていないときが「病気」になります。
マッサージや鍼灸療法は、ホメオスタシスを活用できる療法であり、これが東洋医学の特徴でもあります。
西洋医学で使われている薬を考えてみましょう。血圧を下げる薬を与えると、血圧が高い人は下がり、低い人も下がって、危険な状態になってしまうこともあります。血圧が高い人にも低い人にも与えて、丁度よい値になる薬はいまだ作られていないのです。