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SF小説
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パット・マーフィー
Pat Murphy
ノービットの冒険

訳:幹 遙子

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  • J・R・R・トールキンの名作『ホビットの冒険』をSFに仕立てたら、、、というのが本書。かといって下敷きの作品を読まなくとも、十分に楽しめる筋書きである。あらすじはアステロイドベルトで生活する無軌道生活者(ノービット)のベイリーが、メッセージポッドを偶然拾ったことから想像もしない冒険に巻き込まれてゆくというもの。原題は"There and Back Again"で、原作の副題をそのままとったものである
  • 「ファンタジーが下敷き」と聞いて敬遠する方もいるだろうが、それは読まず嫌いというもの。読み口こそ「堅く」ないが、SF小説としての科学的設定はきちんとしており、「スタートレック」好きの方なら「ワームホール」(宇宙に空いている一方通行の穴。一瞬にして別の場所へ行ける)ときいてニヤリとされるはず。そして何より「SFが嫌い」という方にぜひお勧めしたい。訳文の妙もあるかと思うが、実に「分かりやすい」のだ。クローニングや宇宙船、コールドスリープ、相対性理論による主観年齢と実年齢の差など、SF特有のガジェットが盛り沢山なのに、それが消化不良を起こしていないのは、著者が『落ちゆく女』などハードSFを手掛ける実力派だからだろう
  • また、各章にルイス・キャロルの「スナーク狩り」の一部が配されているのも、物語の謎解きの楽しみである。文字通り「大人から子供まで」楽しめる本であり、そして何より「サイエンス・ファンタジー」である本書をファンタジー好きな方に読んでいただきたい。フィクションとファンタジーの境がいかにあいまいであるかが、お分かりいただけると思う。そしてどんなSF小説にもサイエンスという衣をまとったファンタジーが潜んでいることに気付いたなら、あなたの本棚に新たなジャンルが加わる事になるはずである
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