ピアズ・アンソニイ
Piers Anthony
キルリアンの戦士
訳:浅羽 莢子
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- 早川文庫FTで日本に紹介されたピアズ・アンソニイのSF。生命体の持つオーラを「キルリアン値」として定義しているところが新発想でしょう。第1作目から続編を思わせる終わり方をするので必ず長編になると思っていたら、やはり三部作でした。(日本未発表ながら続編・外伝もある様子。翻訳が待たれる。)
- スペースオペラとしても楽しめますけど、なんといっても地球(ソル)を中心とする星圏が「発展途上星圏」として描かれているところがミソ。(しかし天の川銀河の危機を救うのはソル星圏の出身者)「無知と無能は違う」「外見と能力は違う」と、まるで現在私達の抱える偏見を揶揄するようなストーリーは考えさせられるものがあります
- 今回のテーマは文明の維持におけるエネルギー問題と文化の衝突・相互理解です。でもその相互理解の取っ掛かりが生殖活動って言うのがねぇ・・・。(生命体が共通して認識できる行為というのには賛成しますけど。)
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タローの乙女
訳:浅羽 莢子
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- 第2次銀河間エネルギー戦争勃発!というわけで、今回の舞台は前作の1,000年後です。今回も文明の維持におけるエネルギー確保がキーワードなんですが、それに主人公のアイデンティティー再生が絡んできます
- 地道(?)な外交活動の多かった前作に比べ、今回は血沸き肉踊る(おいおい)宇宙戦艦戦が山場。出身星の身体的特徴に合わせてデザインされた戦艦のフォルムに注目です
- 前作でも重要な謎解きのヒントとなったタローカードが、今回は物語の中核を成すキーワードとなりました。戦艦のフォルムも実はこれに因んでます
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オーラの王者
訳:浅羽 莢子
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- 前作からさらに1,000年後、銀河間闘争には幕が引かれたものの今度は外宇宙からの侵略の危機!?対抗手段は古代種の謎を手に入れることだけ!とはいいつつも、前半のピークは中世騎士文化に則った攻城戦ですし、後半は失った恋人を再び手に入れるため物語の鍵を握ってきた古代種の謎を探求する主人公の旅がメインなので、スペースオペラというよりはSFラブロマンスといったほうが良いかも
- 前作で思わせぶりに書かれていた古代種の正体が明らかになるのも今回の読みどころ。その意外さには驚くこと請け合い。さすがはアンソニイです
- 作品全体がギリシャ神話の「キューピッドとプシュケ」になぞらえられているので、知らない方は予習しておくと作中の隠喩が分かりやすいでしょう
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