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塩野 七生
Nanami Shiono
愛の年代記
  • イタリアの中世末期からルネサンスにかけての時代における、様々な「愛のかたち」を描き出した9編の短編集
  • イタリア史といえば、フィレンツェやヴェネツィア、ローマなどが中心になりがちであるが、著者は同時代の小国の資料にもあたって、政治的取引に利用された女達の「愛のかたち」にも光を当てている。その歴史資料の断片を巧みな想像力でつなぎ合わせた物語は、ともすれば退屈になりがちな歴史を色鮮やかに再現してくれている
  • 特に興味深いのが「女法王ジョヴァンナ」である。この話は九世紀において「女法王」が在位したという、伝説か史実か真に判別し難い話の紹介である。ヴァチカンにはこの事件ゆえに「法王が男であることを証明するため」の椅子さえあったのだという。(この逸話は澁澤龍彦氏の作品にも取り上げられている)
  • いかに歴史とはいえそれが人間の生活の集積である以上、事件の背景には人間同志のせめぎ合いが必ずあったはずである。世界史の先生方もこのような「行間を読む」教え方をしてくれれば、もう少し歴史の授業が面白くなっただろうにと、思わずにはいられない
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