「クリスマス・キャロル」と言えば、言わずと知れたクリスマスの物語の定番ですね。(とは言ったものの、原作を読んだことはありませんが……大学の恩師がディケンズは読むべきだとおっしゃっていたけどなぁ)
私が初めて観た駒田はじめさんのミュージカルがこれでした。97年の12月のことです。そのときから私のミュージカルにハマる日々が始まったんですね。(しみじみ……)
今回は初日です。席も前から3列めのやや左側と、なかなかよい位置でした。傾斜が緩くて、前の人の頭が邪魔になるのが玉に瑕なんですが。ちなみに東京芸術劇場中ホール。
駒田さんは3つの役で登場していました。まず、偏屈な金貸しスクルージ(主人公。市村正親さんの役)に6ポンドの借金があるトム・ジェンキンズ。そして、過去のクリスマスの場面でのフェッジウィッグの店員さん。もう一つが、現在のクリスマスの精霊のお付きのピエロ(ジャック・イン・ザ・ボックス)。どれも軽快な駒田さんらしい動きが出せる役所なのです。特にジャック・イン・ザ・ボックスはまさに駒田さんのためにあるという感じ。(今回は席が前過ぎて、あんまり動きは堪能できませんでしたが) 表情豊かで、小悪党だけど憎めない感じのトム・ジェンキンズもはまってます。未来のクリスマスでスクルージの棺桶の上で踊るトム・ジェンキンズは凶悪でかわいくていいです。
それと、今回のもう一つの楽しみ。あのレミゼのマリウス、戸井勝海さんがスクルージの甥のハリーと、若き日のスクルージ役で出ていらっしゃったのです。このことに関しては、前の方の席でよかったかも(^^)
相変わらず戸井さんはよい男でいらっしゃいました。背高くて体格いいですしね。以前観た時は、ハリーも若き日のスクルージも全然注目してなかったくせに(駒田さんばかり観てました)、今日はしっかり目で追ってました。
ポイント高かったのは、若き日のスクルージが金儲けに夢中になって恋人に去られてしまうシーンですね。眼鏡をかけた戸井さんはインテリくさくてかっこよかったです。それに、やっぱりこの方はお声がいいですね。よく通る若々しい声で、何かひたれる感じのお声なのです。(ハリーはかわいかったけど、イマイチ馬鹿っぽさが足りなかったかも。馬鹿な子ほどかわいい、というのがハリーなんですよね)
ストーリー的には単純ですよね。意地悪で金の亡者だったスクルージが、過去・現在・未来のクリスマスの精霊に会うことによって、もう一度人生を愛して生きていこうと決心する。クライマックスのクリスマスの朝では、自分の事務所の従業員のボブ・クラチットの家に行って贈り物をし、借金を全部帳消しにし、甥のハリーにクリスマスを一緒に過ごすことを約束するのです。
いろいろといいシーンがありますが、私が好きなのはクラチット家の現在のクリスマスのシーン。足の悪いティム少年が泣かせるんですよね。もう今年は、ティムくんが最初に登場したところから目が潤んできてしまいました。歌うところではまたしんみり。未来のクリスマスのお墓の場面ではもう目がうるうるでした。(前観たときの方がティム役はよかったけど。その子は今回はスクルージの子供時代をやっていたそうです)
あと、現在のクリスマスのおもちゃが踊る場面。駒田さんがいろいろ動いてくれるし、ゼンマイ仕掛けの若き日のスクルージと恋人イザベルの人形が踊るところが好きなんです。かわいいですよね。
舞台装置もいいです。スクルージの部屋がいい味出してるんですよ。スクルージの姉のジェニーの幽霊が鏡の中に現れるとか、装置を使った演出が好きですね。地獄の場面のせり上がりも。
今回はかなり前だったので場面転換が見えちゃったのが残念でしたが。
何か、最初観たときと比べると、ひどく時間が短く感じられました。どんどん進んでしまって、追いかけきれなかった気がします。これも前だったせいでしょうか?
役者さんの顔がはっきり見えるっていう点はうれしいんですけどね。カーテンコールも盛り上がれるし。
カーテンコールでは、スクルージと現在と過去のクリスマスの精霊が肩をくんで歩いて行ったり、最後に一人去るスクルージが曲に合わせてステップを踏んでいたり、いろいろ楽しかったです。一番最後に、子供達と紙吹雪をわぁっと散らし、舞台の上に寝そべって、幕が閉まりきる直前まで手を振ってくれていたのがよかったです。
駒田さんは、ちょっとカーテンコールはテンション低かったかも。戸井さんはにこにこしてました。
うん。こういうことが観られるのは前の席ならではですよね。
追記 そう言えば、パンフレットに挟まっている番号で、抽選で役者さんのサイン入りのポスターをプレゼ
ントという企画がありました。残念ながら私も同行のA.Tさまもダメでした。
駒田さんのサインのものはなかったんですが、戸井さんのはあったからほしかったなぁ……