2001.6.13  屋根の上のヴァイオリン弾き


 このお芝居を観るのは2度目です。フィドラー役の駒田はじめさん目当てで観たので、2度目を観る気はなかったんですが(だって、駒田さん、顔は白塗りだし、歌も台詞もないし……そりゃあ動きだけでも充分魅せてくれる方ではありますけど)、母の希望で観に行くことになりました。
 なので経費節減のため、JCBの割引チケットを取りました。そしたらS席だけど2階でしたわ。役者さんをじっくり観たい舞台なら2階席なんて詐欺だ!と思うところですが、この舞台ならいいかな、と。2階席だけど前から2番目、舞台向かって右側の端の方でした。舞台全体が見えるし、オーケストラピットの中も一部見える位置。
 しかしまた運の悪いことに、2階席の後方には何処ぞの中学の団体が! 始まる前と休憩時間、うるさくてうるさくて。上演中はさすがに静かでしたが、笑い声たてすぎ。拍手で盛り上げてくれるはいいけど、ちょっとやりすぎ。
 まあ、そんな感じの状況でした。

 「屋根の上のヴァイオリン弾き」はロシアの小さな村に住むユダヤ人一家の物語。
 一家の主人テヴィエに西田敏行さん、妻ゴールデに順みつきさん、長女ツァイデルに島田歌穂さん、次女ホーデルに堀内敬子さん(初見のときは本田美奈子さんでした。可憐で、歌声も美しくて好きだったんですけどねぇ)、三女チャヴァに小林さやかさん。娘は後2人いて5人姉妹なのですが、子役でチラシに名前が出てこないのでわかりません(^^;)  その他、「ラ・マンチャ」で牢名主をやってらした上條恒彦さんが、ツァイデルに結婚を申し込む肉屋役で出てらっしゃいました。そして、もちろんフィドラーは駒田はじめさん。

 ストーリーとしては単純で、ユダヤ人迫害を背景に、年頃になった娘達に振り回される父親を描いています。(何だかまるで橋田ドラマのよう。娘もちょうど5人だし)
 長女は父の決めた結婚相手を断って幼なじみと一緒になり、次女は革命を志す学生と結婚の約束をし、シベリア送りになった彼を追っていってしまう。三女は大反対されるもロシア人と結婚してしまう。そしてロシアのユダヤ人迫害が激しくなり、テヴィエ達の住むアナテフカにもユダヤ人立ち退きの命令が出され、一家は親戚を頼ってアメリカへと旅立っていく……
 「屋根の上のヴァイオリン弾き」という題名は、冒頭のテヴィエの台詞から。「俺達ユダヤ人は屋根の上のヴァイオリン弾きのようなものだ。必死にバランスをとって生きている」といった感じのもの。それを象徴するフィドラーは舞台の要所要所に登場します。冒頭ではもちろんテヴィエの家の屋根の上でヴァイオリンを奏でていますし、居酒屋や婚礼の祝いの席にさりげなくいたり、テヴィエのショックを表す音を奏でたり。ラストシーンでは、旅立つテヴィエ達の傍らでヴァイオリンを奏でていると、テヴィエが付いて来いというように顎をしゃくるので、身を屈めて荷車のずっと後ろから付いて行くのです。彼らユダヤ人の苦しみはまだ続いていくという暗示とも取れますし、つらい運命でも受け入れる強さとも取れます。このちょっと不思議な感じのラストが好きです。

 他に気に入っているのはロシア人の巡査部長とテヴィエの友情や、村の人々とテヴィエ一家の別れのシーンなど。全体的に喜劇調ですが、要所要所で泣かせるのがなかなかにくいです。
 ミュージカルですが歌や踊りで魅せるという感じではないですね。島田歌穂さんがせっかく出ていらっしゃるのに彼女のソロがないのがもったいない……

 そんな感じで、なかなかに楽しめた舞台でした。


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