2000.7.2  エリザベート


 ただ今帝国劇場で大絶賛上演中のこのミュージカル。実はルドルフ皇太子ファンの私としては、是非とも観たいミュージカルだったのですよ。でもJCBの予約で席が取れなかったのであきらめてたんですが、おなじみA.T嬢が誘ってくださいまして、観に行けることになりました。(いつもありがとぉ!)

 本日はA席、T列の真ん中辺りでした。後ろの方ですけど、通路がすぐ近くで前が邪魔にならず、舞台全体がよく見えました。今回は役者狙いで観る舞台ではないので、これいいんです!
 主なキャストは、主演エリザベートにはもちろん一路真輝さん、死の王トート(ドイツ語で「死」)に内野聖陽さん、フランツ・ヨーゼフに鈴木綜馬さん、暗殺者ルキーニに高島政宏さん(今回でかなり見直しました)、ルドルフ皇太子に井上芳雄さん(20歳の新人!)。

 一言で言うと感想は……思ったよりも暗くなかった。
 死に魅入られた皇妃エリザベートの物語なんですから、もっとこう暗〜く重々しいものを想像していたんですけどね。結構コメディタッチのところはあるし、暗殺者ルキーニが狂言回しっぽく全編に渡って登場してちゃかしまくってるし、死の王トートは何かワイルド系で重厚さに欠けるし。
 いや、おもしろかったですよ。エリザベート役の一路真輝さんはやっぱり魅力的ですし。ルキーニの役回りは(さっきは文句言ってしまいましたが)なかなかおもしろかったですし。フランツ・ヨーゼフはすごくらしいし。
 そして、私が一番うれしかったのはルドルフ皇太子の扱い! ちゃんと国の未来を憂え、リベラルな思想を持つ皇太子として描いてくれてましたもんね。ちょっと弱々しすぎるのはナンですが、死の王トートに翻弄される様はなかなかよかったですよ、ええ。自殺のシーンが女性との心中になってなかったのも秀逸。(私は「ルドルフ皇太子は自殺なんかじゃない、あれは暗殺よ!」と信じている人間ですから)

 舞台のつくりは……派手ですね。
 レミゼのような、考え抜かれたうえで抑えた舞台を最良と思う私にとっては、あれはちょっとうるさく感じられてしまう……照明も一部くどかったですねぇ。鏡を使った演出は美しくて好みでしたが。(鏡に空の情景が映し出されるのを背景にエリザベートが胸中を歌うシーンは美しかったです)

 ラストも何かわかったようなわからないような……
 最後にエリザベートは死を受け入れた訳ですが、死に手を取られて黄泉の国へ行くのではなく、逆に死の手を引いて進んで行きます。それは、彼女が自分の意志を最後まで貫いたということなのか……? でも、それじゃあ死って彼女にとって何なの? 自由を求め続けた彼女にとって……
 うーん。結論として、このミュージカルで描かれている「死」は私の好みに合わない、ということのようです。

 ああ、でも本当に観て楽しかったですよ。見応えはほんとあります。人気があるのはほんとよくわかります。
 でも私はリピーターにはならないかな。1度観れば充分。好みの役者さんが出ていないということも大きいですね。

 おまけ。3回目のカーテンコールで、トートとエリザベートの二人だけが登場。
 トートはエリザベートの手に何度もキスしてたしなめられてました。
 なんておちゃめな死の王!

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