1.神さまからいただいている「自然の光」 | 2.聖書はおもに何を教えているか? | 3.天動説から最近の宇宙論まで |
4.宇宙の広さが2倍になった出来事 | 5.時間の問題 | 6.宇宙とは何だろう?(時間と空間) |
7.科学技術について | 8.天動説と地動説・雑感 | 9.天地創造のお話 |
10.人間(アダム)の責任 | 11. 再び・宇宙とは何だろう? | 12.ヒッグス粒子ついに発見か? |
13.重力波の初観測 ・・・ | ・・・ | ★.世界の終末について |
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日曜学校向けのお話から始めましょう。天地創造の第6日目に最初の人間がつくられました。アダムとエバでしたね。神さまは、この人間がこれから先は、全く自由に、自分の責任で生きていくようにしてくださいました。良いことをすれば神さまの恵みが与えられて、ほんとうに幸せになるように。また悪いこと(罪)をすれば、これも自分の責任で、神さまの罰を受けることになることも・・・
最初の人間アダムは、エデンの園という、とてもすばらしい国で暮らすようになりました。アダムは神さまに似せて造られたので、何でも自由にできる力を持っていました。神さまはアダムに、大切な命令をなさいました。 「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」 「善悪の知識の木」は、神さまの命令に従うか①、従わないか②、というしるしなのです。 アダムは、何でも自由にできる力を与えられているのですから、①だけを守り②は絶対にしないことが自分の責任で十分にできるはずなのですが、さて、どうしたでしょうか? 結果は、創世記3章に書いてありますね。残念ながらアダムは(エバと一緒に)「園の中央にある木」の実を食べ、②の神さまに従わない方の事をやってしまったのです。 後で、神さまからお咎めを受けた時、アダムとエバは、責任逃れの言い訳をしました。 アダム:「エバが木から取ってくれたから・・・」 エバ:「へび(サタン)がだましたので・・・」 しかし、なんといってもこれは他人事ではなく、人間の責任なのです。この結果、人間は自分の責任で、悪い「罪」が入り、次々と悪いことをするようになり、そのために苦しみ、しまいには死んでしまうようになりました。アダムは人間の代表ですから、その後で生まれた人間(私たち)はみな、生まれつき、罪の性質を持っているのです。私たちも「アダムが勝手にやったことだから、私には責任がない」とは言えないのです。 神さまは、このみじめな人間を憐れんで、大切な「救いの道」を与えてくださいました。それが、イエス・キリストの十字架による出来事ですね。 (今日はここまで、続きはまた・・) (続き) 今度は日曜学校ではなく、私たち大人の理屈や議論として考えてみましょう。「人間の罪の責任」、もっと露骨に言えば、「人間の創造者である神は、罪の創造者でもあるのか」という問題です。アダムが罪の責任を他の者のせいにして言い逃れをしようとしたように、子供が悪いことをして親に叱られた時、「こんな悪い俺を産んだのは親の責任ではないか」と反論するように、言うことができるのだろうか? 私たちの教会で、聖書全体の真理を系統的にまとめた書物としての、「ウエストミンスター信仰基準」に基づいて考えてみます。第一に、神は永遠の計画(神ご自身のみ旨=神の「聖定」という)をお持ちになっておられ、この「聖定」に基づいて、起こってくるすべての事が「予定」されています。第二に、この「予定」が「創造」と「摂理」という形で実現して、今の世界として存在するようになったのです。 人間の罪は第一原因の「聖定」によるのではなく、第二原因の中の、創造された人間の「自由意思」によるものとして、100%人間の責任なのであります。「聖定」については、エフェソ1:11、ローマ11:33、他、新約聖書の多くの個所に記されています。それは疑いようのない最も基本的な、私たちの論評を超えた、神の永遠のみ旨であると考えられますので、罪の責任を神に帰することなど、とんでもない思い上がりということになりましょう。 人よ、神に口答えするとは、あなたは何者か。造られた物が造った者に、「どうしてわたしをこのように造ったのか」といえるでしょうか。(ローマの信徒への手紙9:20) この言葉に尽くされます。 (以下は蛇足です) ここで、「聖定」と「予定」について我流に考えてみます。 ベルコフの「改革派神学通論」で、「聖定」(decree)の特色が次のように記されています。 ①それは神的知恵を基礎とする。 ②それは永遠である。 ③それは有効的である。 ④それは不変である。 ⑤それは無条件的である。 ⑥それは全包括的である。 ⑦罪に関連したものは、許容的(permissive)である。 と書かれています。 この中の「永遠」とは、無限に長い時間という意味ではなく、時間の長さや前後関係(あるいは空間も)を超越していることをいいます。もちろん、人間の理性で把握することはできません。 これが、時間の軸に沿って、空間的な出来事や、人間の心的な現象として、次々に現れ、変化していく成り行きが「予定」(predestination)であって、これは、人間の理性(時間、空間、範疇など)で納得することのできるような形の啓示です。これが実現した姿が、「創造」と「摂理」ということになるでしょう。 ここでも、人間の罪の問題に関連して、「堕落前予定説」と「堕落後予定説」があて、改革派関係でも、両論併存のようですが、私どもにとっては立ち入ることの許されない事柄ではないでしょうか。
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2015年10月7日 追記 (ニュートリノの質量についての証明) 戸塚洋二先生は、08年夏に亡くなられ、ニュートリノの研究は小柴先生の門下生・梶田隆章先生に引き継がれました。そして2015年10月6日スエーデンの王立科学アカデミーによってノーベル物理学賞が贈られることになりました。 |
暗黒物質は、もちろん目に見えませんが、周囲の天体の運動の様子から、これが質量を持った物質であることがわかりました。はじめ、暗黒物質の正体はニュートリノではないかと考えられたが、ニュートリノは、光速とほぼ同じ速さで動き、質量がきわめて小さいので、全部集めても暗黒物質の一部にも満たない程度です。
暗黒物質の粒子は質量が大きく、電荷も持たず、他の物質とは殆ど反応せず、ほかの天体とぶつかっても、それをすり抜けて動くという幽霊のような物質で、その正体はまだまだ未知の要素が多いようす。そこで、これは異次元からやった来たのではないかという説も起こったわけです。
最近の研究によると、誕生した直後の宇宙に存在した暗黒物質の分布にちょっとしたムラがあったために、宇宙の大規模構造ができたといわれます。(この理論は筆者にはよくわかりませんが、)もし、暗黒物質がニュートリノのような速度の速いホットな粒子であれば、早く動き回ってムラをならしてしまうので、陽子も中性子も発生せず、すべての元素ができないので、当然、現在のような地球もなく人類も生まれなかったということになります。
仮に多元宇宙という考えで、宇宙が多くあったとしても、上記のバランスがうまくとれていて、人間が存在できるように宇宙の条件がそろっていなければ、宇宙を観測する人間は存在せず、このような宇宙も存在しないのと同じです。ここから先は宇宙論とともに「人間原理」がからまってくることになります。ここで、宇宙論の著者の村山斉先生の言葉を紹介して、一旦このBlogを閉じましょう。
「・・・宇宙が『できすぎ』なのは、神のような超越的な存在が宇宙を創ったため、初めからうまくデザインされているのだという考え方もあり得ます。宇宙は試行錯誤の『たまたま』うまくいったものなのか、超越者が非常にうまく考えてつくったものなのか。・・・ここまで来ると科学なのか、哲学なのか、その境界があいまいになってきます。・・・」 (今日はここまで)
2.の暗黒エネルギーの問題と、3.の「ニュートリノ速度が光よりも速い」については、またあとで
(続き)(2011/11/18) 暗黒エネルギー<暗黒物質ではない>は、まだ正体がわかっていないものです。
宇宙は、生成以来膨張を続け、現在でも以前に増して、膨張速度が加速していることが、観測結果から確かめられています。このように膨張すれば中身(構成物質)が薄れてくるはずですが、その気配もないのは、宇宙の真空だと思われていた所に、斥力を働かせるようなエネルギーが存在すると考えなければなりません。これが暗黒エネルギーで、その量は、全宇宙の73%ぐらいないとつじつまが合わない計算になるのです。
3.の「ニュートリノ速度が光よりも速い」については、2011年9月、スイス・ジュネーブの欧州合同原子核研究所(CERN)から発射したニュートリノビームを、約730キロ離れたイタリア中部のグランサッソ国立研究所まで飛ばしての到達時刻が光(秒速約30万キロ)より約60ナノ秒(1億分の6秒)速いとという結果を得たというニュースです。
これは測定上の誤差ではないかと一応は考えられるのですが、その後、11月18日(金)22時6分、再試験でも変わらなかったというのです。(時事通信11月18日による)
もしこれが事実だとすれば、アインシュタインの「相対性理論」を塗り替え、現代物理学の枠組みを覆すような出来事だということになります。
この結果から想像を飛躍させれば、現在から過去に向かって進行する時間の流れもあり得るという「タイムマシン」も、空想科学小説だけの話ではなく、存在可能となってしまうのです。
「超光速」撤回へ ニュートリノ 再実験で誤り確認 (2012/6/2<土>朝日新聞) 欧州原子核研究機関(CERN)で、今年(2012年)2月に、二つの問題が判明し、再実験が5月にに実施され、超光速は再現されなかったため、「撤回」宣言がなされることになった。 |
一応このBlogを終わらせることにしましょう。前述の「人間原理」については、もし「観測する人間が存在しなければ、このような宇宙は存在しないも同様だ」という論は、仏教の「唯識論」<ゆいしきろん>に通じるところがありますし、「神のような超越者が非常にうまく考えて創ったたものなのか・・」という論は、キリスト者にとっては「わが意を得たり」と言いたいところですが、私としては、科学的な宇宙の発生の部分に「神」を安易に登場させることは、かつてキリスト教が「天動説」を教義の中に取り込んだと同様に、「神」を限定的に捉えてしまうことになるのでは・・・と恐れます。
「神」は、人知をはるかに超えた、偉大なお方ですから。
聖書の言葉
「天は神の栄光を物語り、大空は御手の業を示す。」(詩編19編2節)
「あなたの天を、あなたの指の業をわたしは仰ぎます。月も、星も、あなたが配置なさったもの。
そのあなたが御心に留めてくださるとは 人間は何ものなのでしょう。
人の子は何ものなのでしょう。あなたがかえりみてくださるとは。・・・ 」 (詩編8篇4-5節)
(2011年12月末) もう一つ、最近の話題を付け加えておきましょう。
①ヒッグス粒子の探索---
これは、1960年代にイギリスのピーター・ヒッグス博士が、予告した理論で、ビッグバン直後に、光速で飛び回る多くの質量0(ゼロ)の素粒子に作用して、抵抗を与えて動きを弱め、質量を与え、物質生成の起源となったものと考えられています。最近、スイスにある欧州合同原子核研究機関の(CERN)の大型粒子加速器で陽子と陽子を光速近くに加速、衝突させ、その痕跡からヒッグス粒子の存在を確かめようとする探求が進んでいます。この装置には5000億円もの、莫大な費用がかかるそうですが、天地創造・すべての物質の創造の起源を探るものとして「神の粒子」とも呼ばれています。
②太陽系外惑星の存在---
最近は、太陽以外の他の恒星にも地球や木星のような惑星の存在が発見されています。もちろん、非常に遠方なので直接、望遠鏡で見ることはできませんが、惑星が親星である恒星の周囲を回ることによる、親星の運動の影響やスペクトルの変化などから、このような惑星が多数存在することがわかっています。
そのような惑星の一つ、「ケプラー22b」と名付けられた星がオリオン座で見つかり、大きさは地球の2.4倍、公転周期290日、表面温度22°Cで、もしその星に水があれば液体の形で存在するであろうから、地球のような生命が存在する可能性も考えられるとか。
これらもまた、天地創造の深奥が明かされる問題として、興味が持たれるところです。
クオーク | アップ | チャーム | トップ |
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ダウン | ストレンジ | ボトム | |||||||||
レプトン | 電子ニュートリノ | ミューニュ-トリノ | タウニュートリノ | ||||||||
電子 | ミューオン | タウ | |||||||||
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ボソン | 光子 | zボソン | wボソン | グルーオン |
・・・・・・・・ | ヒッグス粒子 |
東京大学、高エネルギー加速器研究機構などの国際研究チーム「 ヒッグス粒子は、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関( |
スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2013年のノーベル物理学賞を、物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」の存在を理論的に予言した英エディンバラ大名誉教授のピーター・ヒッグス氏(84)と、ブリュッセル自由大名誉教授のフランソワ・アングレール氏(80)に授与すると発表した。素粒子物理学の大きな謎を解明した功績が評価された。 ヒッグス粒子は全部で17種類ある素粒子のうち唯一、未発見だった最後の粒子。1964年、ヒッグス氏はこの粒子の存在を予言し、アングレール氏は物質に質量が生じる仕組みを説明する理論を発表。極微の世界の基本法則である素粒子の標準理論を完成に導いた。 スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究所(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使った国際チームの実験で昨年7月、ヒッグス粒子とみられる新粒子が見つかり、今年3月に発見が確定。わずか半年後の異例のスピード受賞は、科学史に残る大発見を裏付けるものとなった。 ヒッグス粒子の性質を詳しく解明すれば、現在の標準理論を超える新たな物理学が生まれ、物質や宇宙誕生の理解が飛躍的に進むと期待されている。 LHCは各国から計数千人の研究者が参加した巨大プロジェクトで、日本も東大チームなどがデータ解析や装置建設で貢献した。 授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金計800万スウェーデンクローナ(約1億2200万円)が贈られる。 |