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-THE MUSIC WORLD OF HARLOCK-

無限軌道SSX

1982年10月13日〜1983年3月30日TBS系放映・全22話
東急エージェンシー・東映動画

 

★「無限軌道SSX」のオーディオソフト一覧はこちら。

 

 TVアニメのハーロック作品としては1978年「宇宙海賊キャプテンハーロック」に続き第2弾めとなるこの作品、毎週ブラウン管でハーロック達の若い頃の活躍が見れるとあって、当時、ファンには大いに注目、期待されたものでした。
 ところが、実際放映が始まってみるとその期待は一挙に失望へ…と変わっていった人も少なくなかったようです。
内容、設定、演出、キャラクターの魅力など、いろんな要素を見ても前作とはかなりの違いがありましたが、あまりにも前作のイメージが強かったせいでしょうか。
まあよく言えばとっても判り易い内容…だったと思いますが、本当のところ判り易いを通り越してどうも安っぽいといった方が的を得てる印象でしたね。(この作品好きな方がいらっしゃったらごめんなさい!)

 そしてその内容をことさら強調してくれたのが、音楽。
前回のBGMがあまりにも素晴らし過ぎたのか、この落差がひときわ際立って見える…。
今回は確かに前回のような華々しく壮大なオーケストラではありませんでしたが、いくらそうではないといえ、この出来はあまりにも冴えなさ過ぎる気がしますねぇ。
これが他の実写TV番組とかだったらそれほど文句も出ない気がするんですが、これがハーロックのBGMかと思うと、余計に落胆も大きいというんでしょうか。
宇宙の海を舞台にし、かつハーロックが活躍する音楽にしては私から見たら、…あんまりじゃないの〜?と憤慨する程薄っぺらい内容に思えました。
違和感を感じたのはやっぱり音楽のセンスでしょうか。ハーロックを表現する音楽のセンスがどうも合っていなかったという感が非常に強いです。(ただこの作品全体の出来、コンセプトというんでしょうか、それにはとても合っていたように思います。…というか、それ以上でした〜。)
 本編の内容が安易になっていたけれどせめて音楽で救われたらまだよかったんですけどね。
それどころか更に輪をかけて音楽がそれを強調するものだから、もうSSXの印象「安っぽい!」を決定的にしたという感じです。
そういえば、このBGMだけのLPかCDって当時出てたんでしょうか?
(「無限軌道SSX」のLDや、「松本零士音楽大全」のCDにはBGM収録されているそうです。)

 

■主題歌・挿入歌■

 今回も全曲「宇宙海賊キャプテンハーロック」に引き続き作詞は保富康午氏(プロフィール)が担当し、作曲は本作品の音楽も担当した菊池俊輔氏(プロフィールはこちら)が全曲担当。

無限軌道SSX・ソングコレクション(CD)

 

◆日本コロムビアから出ていた、SSXの主題歌、挿入歌を集めたソングコレクションのCDの内容。

 1.おれたちの船出<オープニングソング> (編曲/菊池俊輔)  ♪水木一郎、こおろぎ'73
 2.アルカディア号の舟唄 (編曲/菊池俊輔)  ♪日本合唱協会
 3.おれはハーロック (編曲/筒井広志)  ♪水木一郎
 4.レビの子守唄 (編曲/いちひさし)  ♪山野さと子
 5.正のバラード (編曲/いちひさし)  ♪水木一郎、こおろぎ'73
 6.星の涙 (編曲/田中公平)  ♪山野さと子
 7.愛のエレジー (編曲/いちひさし)  ♪水木一郎
 8.旗はあがった (編曲/筒井広志)  ♪水木一郎、こおろぎ'73
 9.花の別れ (編曲/筒井広志)  ♪山野さと子
 10.宇宙の船乗り (編曲/いちひさし)  ♪こおろぎ'73
 11.ハーロックのバラード<エンディングソング> (編曲/菊池俊輔)  ♪水木一郎

 

 このコーナーもこの作品の音楽や歌が好きな人には大変申し訳ないんですけど、私にとってはどれもやはりイマイチでした。
中には、編曲のセンスさえよければまだ救いようはあったかな…とかろうじて思わないでもない曲もありましたが、主題歌、エンディング含め、あくまでも私個人の感想ですが特に好きだと思った曲はないです。
 一応同じ松本アニメ系とされる「惑星ロボダンガードA」や「SF西遊記スタージンガー」の歌曲の方が同じ作曲者なのにセンスとしても断然いいな、素晴らしいなと思ってしまいます。(この違いは一体何なのか…?)
 でも、その毎回エンディングテーマで流れた『ハーロックのバラード』というのは、水木一郎氏はバラードの中では一番好きだとCD大全集の中のコメントに書いてあったんですよね。
また、菊池氏は去年出版された某書では水木一郎氏が歌う歌曲の中でこの主題歌『おれたちの船出』が好きだと書いてありました。

 今回オープニング・エンディングソング2曲以外の3曲だけ挿入歌が入ってるCDを探して聴いてみました。
『おれはハーロック』『正のバラード』『愛のエレジー』…、このタイトルからしてちょっと聴くのをためらう感もあったんですが、頑張って聴いてみました。
 で、まず3曲共通して思った感想は、やっぱり編曲のセンスが悪いということでしょうか。
何て言うのかな、どこかオヤジくさいというか、シケた演歌歌手が場末の飲み屋で歌う歌…といった雰囲気って言ったらいいんでしょうか。うーん…ダサい!の一言です。
 『愛のエレジー』はこれがSSXの挿入歌ということを忘れ、またアレンジもよければ結構いい歌なのではないでしょうか。
 そして『正のバラード』。これは、何故かバラードなのに歌詞の中に「エンジン全開!目標は理想!撃て!撃て!」と出てくる箇所があるんですけど、水木一郎氏もこういう元気いい歌詞の割にはさすがにバラードということを意識してか、元気よくというわけにもいかず、抑えて歌っているんですよね〜。
それがまた歌詞と照らし合わせて歌を聴いてるとなんとも奇妙。
本編もどこかチグハグなところがありましたが歌曲の方にもそういうものが反映されているようです。
それから「おれのハーロック おれの青春」ってありましたけどそんなに彼は”おれのハーロック”って感じでしたっけ?もっとも、この歌詞は見ている視聴者の若者にダブらせているという意味があるんでしょうけどね…。
そして最後の極めつけは「おれもハーロック!」…これって本当に正の”バラード”?
 『おれはハーロック』という歌は、何話か忘れましたが本作品に出てきたのを覚えています。
その時は、なんじゃこりゃ?!という印象だったですね。「おれはハーロック、ハーロック〜」って〜!
私からして見たらタイトルからしてギャグにしか見えないんですけど。
この詩の伝えたい意味というのは勿論マジメでとてもよくわかるんですが、こういう歌が作られるところからしてこの作品の微妙にずれたハーロックの扱われ方、感覚というのがよくわかる気がしましたね。

 

  この「無限軌道SSX」の音楽に関しては、私自身どうしても評価が低いものですから辛口ばっかりですね。
作品や音楽に対して気に入っている方には本当に申し訳ありません。
 ただ、一体この音楽を担当したのは誰なんだ?!と名前を見たら菊池俊輔氏になっていたのには結構驚きましたねぇ。
何と言ってもアニメや特撮の分野でも大御所中の大御所といった方ですから…。この方の作った曲で名曲も多いですし、このページではあまりいいことを書いてませんが、大好きな歌曲も大変多いんですよ。
決してこの方の音楽、嫌いな訳じゃありません。
また、あの歌は、この方の作ったものだったのかと最近になって知ったものも少なくないですね。
随分この方の曲で一緒に育ってきたんだなぁと感慨深く思いました。
アニメ、特撮、ドラマ、いろんな分野で心に残る歌曲がありますね。
アニメだけでもタイガーマスクのエンディングとか、バビル2世とかロボコンとかドカベンとかアラレちゃんとか…、もう挙げたらきりがないくらいです。
 だから大御所が今回のSSXの音楽を担当ということは、非常に光栄なことだったわけなのですが、この出来映えを見ますといかに名作曲家といえども音楽センス的にハーロックの世界とはいまいち合わなかったのかな…というのが正直、残念なところです。


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