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-Harlock in ComicsWorld-
1975年秋田書店「プリンセス」5月号掲載。
講談社KCマガジン「Queenエメラルダス」第4巻(現在絶版)に収録されている。
STORY |
女ばかりの乗組員を乗せた飛行海賊船の艦長、エメラルダスは半分に千切れた宝の地図を前に、残り半分をいかに手に入れるかを考えていた。 そこへ、その地図の持ち主であるライバルのハーロックが乗る船、男ばかりの乗組員を乗せた飛行海賊船デス・ハーロック号が近くを飛行しているのを発見する。 エメラルダスは早速宝の地図を奪うべくデス・ハーロック号へ先制攻撃をしかけ、彼女の命令で男ばかりの船を意識してオシャレした女海賊達は敵の船へ乗り移る。しかし男達の着替え中の裸を見て逃げ帰ってしまう。 今度は逆に、ハーロックの命令でデス・ハーロック号の男達はクイーン・エメラルダス号へ乗り移る。だが全くモテないのときれい好きな女達に口うるさく注意され早く自分の船へ帰りたいと願う始末。 丁度その頃、キャプテン同士だけはシリアスにエメラルダスの艦長室で相手の宝の地図を奪うべく、銃を構えるのだった。 その時、突如異風気流に巻き込まれ、決着をつけずにハーロック達は自分の船へと帰っていってしまう。 なんとか異風気流を切りぬけたエメラルダスは、イギリス国旗をつけた多数の飛行船に攻撃される。 一方、ハーロックの船では副長ヤッタランの飛ばした模型飛行機をトリが食べてしまい、男達はそのトリを捕まえて焼いて食べてしまうが、ハーロックは自分の分のトリのモモ肉に宝の地図が巻きつけてあるのを発見し、事情を悟り、窮地のエメラルダスを救うのであった。 両方の地図を得たハーロックは宝の場所をエメラルダスに教える。だが、もうそこにはイギリスの大艦隊が待ちうけていたのだった。 しかし、ハーロック達は宝がなくなっていたとしても俺は行く、と言って大艦隊に向かって進んでいくのであった。 エメラルダス達も、「さらば、私の生まれ育った世界よ。」と別れを告げて、そういうハーロック達についていくのであった。 |
この作品は嫌いじゃないという人は割と多いのではないだろうか?
何と言っても単純に面白い(やはり漫画はそれが大事。)のである。ラストはしんみりする終わり方だが、全体的にコメディタッチで読みやすく楽しい内容になっている。
また、登場してくるキャラクターも主役だけでなく全てが味わい深く個性的なキャラばかりなので物語をとても魅力的なものにしていることも外せない点だ。
そして、中世風のアンティークな内装や武装のクイーンエメラルダス号の女性陣と、派手な装飾はないがシンプルで近代的な内装や武装を施したデス・ハーロック号の男性陣と、対照的でよく似た両者の戦いという設定等もとても面白い。
更に、短編ながら内容が非常に充実しており、コメディであっても決して軽くはなっていないところが、傑作といえるところでもあるかもしれない。◆単純ではない作品
実は、最初読んだ時、小学生か中学生の頃だったと思うが、当時はこの作品のラストが私にはかなり不満だったのでした。
何故かと言うと、タイトルは、「エメラルダス」である。その見開きにバーンと登場するのもエメラルダスである。主人公も当然エメラルダスである。
当然、私は彼女の活躍を期待していたわけです。ライバルが登場となれば、女海賊であるエメラルダスがハーロックを打ち破って(当時はまだそれほどハーロックのファンではなかったような気がする。)最後は主人公が宝の地図を手に入れる、ということを単純に望んでいたのでした。
ところがどっこい、ハーロックとの決闘のシーンという見せ場でも決着つかないし、ハーロックに助けられちゃうし、最後はハーロックについて行く〜?! 何だかハーロック側の方が最後は目立ってしまってるぞ〜!と予想外の成り行きに納得出来なかったのでありました。
ところが面白いもので、時が経ってこの作品を読み返してみると、感じ方が以前と変わってきていて、昔何でこうなの〜?と不満に思っていた部分が、割となるほどと納得できるようになっていたのですよ。
ハーロックとエメラルダスの心の交流みたいなのは奥が深くって、単純な子供の頃は、そういうのは理解できなかったのですね。
まず、ライバルがいるからこそ人生は楽しい…とは、旧999の原作のエメラルダス登場の巻でメーテルが言っていた言葉ですが、この作品のライバル二人を見ていると、正にこの言葉があてはまってくるのでは、とも思いましたしね。
最初にエメラルダスがデス・ハーロック号を攻撃する際も、気のうに穴を開ける攻撃をしなかったことからもライバルには簡単に死んで欲しくないという気持ちもあったからではないでしょうか。
(昔は敵だったら単純にも早くやっつけちゃえばいいのにと結構じれったかったのだが。)
だからライバルなんだけど憎しみを持っていたわけではなく戦っている(?)両者というのが結構どろどろしてなくて爽やかに気持ちよく映ってくるのです。
で、このエメラルダスとハーロックの微妙な関係の描かれ方もまた面白いんですよ〜。
両者、最初は互いの宝の地図を奪うことを考えていたわけだが、いざ、相手を目の前にして殺してまで奪うとなるとさすがにそれはできなかった。(というか零士氏もそうはしなかった。)ところが今読めば非常に理解できるところだし、やはりそれでよかったと思う。
そして決闘を免れた二人はどうしたかというと、宝の地図を前にして、モンスーンに襲われたことを幸い、ハーロックはとっとと自分の船へ帰ってしまうし、エメラルダスは何故か嬉しそうに「いいわよ、あんな男ども」と言っている〜。
そして、窮地に立ったエメラルダスは、自分の愛鳥ハーハーに大事な宝の地図を巻きつけて手放してしまうのである。
ライバルには死んでも渡すもんか、っていうのじゃないんですよね。意地を張らずに、遺言状みたいな形でライバルに宝をプレゼントしたのか、SOSのつもりでそうしたのか(彼女は誇り高いからそういうつもりはなかったのかもしれないが)、ともかくそういうエメラルダスは、私はすごく大人に感じました。
もしかしたら、ある種のラブレター代わりだったのかな。(なんて…コンピュータに石投げないようにっ!)
それでそれを受け取るハーロックの方も鋭くて、トリのもも肉に巻きつけてある宝の地図を見ただけで彼女の窮地を悟り、何のためらいもなくライバルの援護に向かうわけです。
(関係ないけど、この時のトリ肉くわえたハーロックはとてもいいですね〜!普段はのんびりしてて結構のん気なんだけど、さすが必要な時には頼りになるところがかっこいいなって思いましたよ。)
救援に駆けつけたハーロックを見て、エメラルダスもライバル、という気持ちから完全に信頼できる、尊敬できる相手として気持ちは固まったのかもしれない、と私は思ってみたりするのです。
「ハーロックは立派な海賊よ。…ハーロックとともにどこまでも行くわ。」
と最後に言うセリフからも伺い知ることができるし。
…というわけで、エメラルダスの心の動きなどを注目してみると、結構やはり単純な勝ち負けの話じゃないんだな、零士氏の描く漫画は恋愛恋愛したものはあまりないけど、ある種の深い愛情を感じさせる話なんじゃないかなと思えるようになったのでした。◆魅力ある脇役キャラクター達
〜メグ副長〜
クイーンエメラルダス号の副長を務めるメグは、美人だしかわいくてりりしかったですね。
副長という責任感からか、結構わがままな艦長と乗組員の間に立って、一番忙しく働いていたような…。
エメラルダスにトリを連れて来てと言われればトリに行き、ここはどこ?と聞かれれば一生懸命測定する…また、だらしな〜い女達を叱咤したり。
この作品のみの登場というのが非常に惜しいキャラクターだと思ってます。彼女こそどこかで登場させて欲しい〜!
〜女海賊達〜
また、女海賊たちもまた、普段は男性の目がないのでだらけまくって化粧もしないという有様。(これぞ女性の本来の姿かも。零士氏はスルドイ!)
中でも、一番ブスだけど一番美人だと思い込んでいる厚化粧の女がこの作品に必要不可欠、またイイ味だしてるんですよね。最初の方はメグやハーハーに向かって憎まれ口叩いているんだけど、最後にハーロックについていくというエメラルダスに「私も行きたい、私もよ。」と泣きながら言うところなんてとてもよかったです。〜ヤッタラン副長〜
デス・ハーロック号の副長は、この時既にあのプラモ狂のヤッタランである。
後の「宇宙海賊キャプテンハーロック」のハーロックとヤッタランの面白い関係が既にこの時出来ている点にも注目。
この副長がまた良くって、プラモを作っている最中はハーロックさえも口出ししないわけですが、最後にやはり決めるところは決めるというか、「海賊はやると決めたことはやりぬくものだぜ!!」とりりしく言うところはとってもかっこよかったですよ〜!
〜ヒゲ乗組員〜
それから、髭ヅラの乗組員。この人の声を声優の緒方賢一さんがやったらすごく似合いそうな感じ。
もしかしたら、「宇宙海賊キャプテンハーロック」の魔地機関長の原形か?〜トリとネコ〜
そして、両キャプテンのペット達。
エメラルダスは、何故かこのトリがいないと戦いの気分が盛り上がらない(?)というハーハー。
アニメなどでよく出てくるハーロックの肩にとまっている長身のトリさんの出来そこないという感じだが、彼女にとっては大事なトリらしい。デス・ハーロック号の乗組員達に食べられてしまったのが何とも哀れ〜。
ハーロックの方は、なんと猫を飼っている。トラジマなんで、名前は出てこなかったけど、多分、やはり「ミーくん」でしょう。間違いない!
(しかしハーロックが猫飼ってるのって正直いって個人的にあまりピンとこないんですが〜。)この作品の魅力はハーロックやエメラルダスだけでなくやはりこういった個性的な脇役の存在なくしては語れないかもしれませんね!
(1999.4.Illustrated by Maja)
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