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-Harlock in ComicsWorld-
Space battle ship DEATH-SHADOW
■1975年プレイコミック11月13日号 掲載。「帰らざる時の物語」シリーズの中に収録されている。
SSTORY |
赤い惑星と化した地球に近づく女ばかりを乗せた異星人の宇宙船を、突然正体不明の黒艦が襲う。 黒艦と同じく全身黒づくめで胸に白いドクロが描かれている姿の、キャプテンハーロックと名乗る謎の男とその仲間が無情にも船ごと女達を抹殺してしまう。 彼らは悪魔の艦と恐れられる宇宙戦艦デスシャドーに乗り地球に影響を与えるものを全て排除するという使命を忠実に守っていたのだ。 しかし死の世界と化した地球上に生き残った男達をレーダーで発見した彼らは、地球を蘇らせ未来の子孫を増やす為、救援信号を聞いて次々と到着する女だけを乗せた船団を破壊せず地球へ降ろしてしまう。 デスシャドウの乗組員もハーロック以外全て地球で女達と暮らす道を選び、ハーロックは一人,自分の恋人(?)か妻(?)の心が生きて艦となっているデスシャドウ号と共に宇宙の彼方へ去ってゆく。 |
●「デスシャドー」のハーロック
前のページの数々の原作の中で登場したハーロックの中でも、この「デスシャドー」で描かれたキャプテンハーロックは私が個人的に気に入っているハーロックの一人だ。
(…ということでページを組んでみました。)
傍若無人でワイルドな登場の仕方もよかったし、やってることは結構冷酷だが任務一筋でまじめ、でも地球の未来、仲間のことを思いやる情の深い人物としてよく伝わってくる。ちょっと不器用な生き方をしているところもハーロックの人間的な面が感じられて、とても魅力的なのだ。
(しかし彼はいつも報われないのだが…)
また、このキャラクターは、それ迄の歴史があるとはいえ、この短編の中だけの登場というのに、物凄い存在感と奥深さを感じさせている。
いかにハーロックが只者ではない、ありきたりのキャラクターではない、ということがよくわかる。
●「宇宙海賊キャプテンハーロック」の原点
この作品を読んだのは当然のことながら「宇宙海賊キャプテンハーロック」や「999」を知った後だったので、作品中のいろんな部分がそれらの作品の原点になっているのが発見できてとても面白かった。
例えば、冒頭で異星人の女性の前に突如あらわれたハーロックは、
「俺は俺だけの世界に生きている。どこの生命体とも関わりはない」
と言っていたり、ラストでデスシャドーの乗組員を全員地球へ降ろし、自分はデスシャドー号と共に宇宙へ去っていくところがあったり、デスシャドーを動かしているのが、昔生きた体があった心で、ハーロックの最も親しい人物だったり(トチローではないが)…。
同じ年の1975年に連載された、「ダイバー0」にもほぼ同じことが言えるのだが、もしまだ未読で興味のある人がいたら、是非読んでみられては…?●デスシャドー号
この作品のタイトルともなっている「デスシャドー号」は今現在でも松本零士作品の中に登場しているが、何をかくそう(?)私はこのデスシャドーが緑のアルカディア号より個人的に割と好きな艦だったりするのだ。
アルカディア号はこの艦に比べたらどちらかというと明るいイメージで有名、知名度も圧倒的に高いが、その影にいるデスシャドーの存在も忘れてはいけない。
全身黒ずくめで(アニメ版は灰色だが)いかにも悪魔的なデザイン、謎、かつ不気味な戦艦というイメージで、海賊の艦としては正にピッタリ。
ハーロックといえばアルカディア号は定番だが、同時にハーロックといえばデスシャドーでもあるのである。
松本零士氏もこの戦艦は気に入っているのか、その後様々なハーロック系の原作やアニメーションにも多々登場している。(アルカディア号のセカンド、という立場がやはり多いのだが。)●謎の多い物語
「999」は長編だからなのか、スタートは謎だらけだったが次第にメーテルの正体、終着駅の正体などいろんな謎が徐々に解明されていったし、「宇宙海賊キャプテンハーロック」はアニメーションのスタッフのおかげで原作が未完でもマゾーンとは何者か等、当初の謎が多々明らかにされていったのだが、この作品は短編にも関わらず謎を多く含んでおり、あまり明らかにされない内にドラマが終わってしまうという不思議な物語である。
地球に一体何があったのか?
何故デスシャドーに乗っている人間だけが生き残り、地球に住んでいた人間は地中深く潜っていなければならなかったのか?
ハーロック達は何故地球人から悪魔と言われながらも地球を守ってきたのか?
ハーロック達は昔何をしていたのか?
デスシャドーの心となった女性は一体何者か? どうしてその姿になってしまったのか?…などなど。
ハテナマークが飛び交っている間にデスシャドー号は宇宙の彼方へ去って行ってしまった…という感じだ。
有無を言わせず勢い、雰囲気、ハーロックの迫力に圧倒されて、…そういうことだったんですね、と納得させられてしまうのである。それでいてどこかの作品のようにあまり中途半端に終わったというイメージがないのだ。
これもまたこの作品の謎なのかもしれない。
(1998.12/ Illustrated by Maja)
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