きっかけは何だったっけ? とにかく、夏休みに家族でどっかに行きたいねぇなんて話になって、なんか思っていたよりもすんなりと北海道に行くことが決まっちゃったような気がする。でも、オレとしてはそれは願ったりかなったりってとこだよね。だって、行くのが一番難しいと思っていたところに親の金で行けちゃうんだもん。しかも、特に行ってみたかった宗谷岬も考慮してくれてるし。今のうちに知床や稚内を押さえとけば札幌や函館はいつでも行かれるよってことになった。どっかの旅行会社のパンフにちょうどいいプランがあって、知床〜稚内〜旭川〜富良野という具合に回っていかれる。それからは旅行雑誌やWebで途中で寄るところなんかを探した。
7月22日木曜日。8時40分発女満別空港行きのANA411便に乗るために朝7時に家を出発し、車で羽田空港に向かった。帰ってくるまで車は羽田空港の駐車場に預けちまう。やっぱ車を使うと荷物の運搬が楽やね。北海道でもレンタカーを借りるから多少荷物が大きくなってもお構いなしだし。
羽田空港ビッグバードの中。朝も早いのに人が多い。夏休みに入っているだけあって、小学生の団体もいた。この中のいったい誰が次の日この羽田空港でハイジャック事件が起こると予想しただろうか。いや、そんなやつは実際に警備している警備員の中にだっていないだろう。亡くなった機長さんには申し訳ないけど、宗谷岬でこの事件のことを知ったときには出発が22日でよかったと思ったよ。ゲートでは金属探知器に引っかかるも特に問題もなく中に入る。そういえばオレって、某ゲーム会社のバイトのときもよく引っかかってたね。
飛行機に乗るのはこれが2回目。前に乗ったのは友達の実家に行ったときだから、3年か4年くらい前じゃないかな? そんなわけで、飛行機の中の様子や窓から見える風景は普段なじみのない新鮮なもの。のしかかる重力、小さくなる町並み、まるで触れそうな雲、ひたすら献身的なスチュワーデスさん。う〜ん、この楽しさはけっこうハマるかも。しっかし、スチュワーデスの人ってなんであそこまで献身的になれるかね? 嫌だとか思わないのかな? いや、思ってるんだろうなぁ。給料いくらくらいもらってんだろ? 並の給料じゃできないよ。
と、そんなバカ話を隣に座っている母親としているうちに、飛行機は太平洋を通過し、釧路の近くからいよいよ北海道の上空へ到達。左に阿寒湖(写真)、右に屈斜路湖を臨みつつ、最後に網走湖の上空を旋回して女満別空港に着陸した。しかしまあ、羽田に比べるとやっぱり小さい空港だね。当たり前か、飛行機の本数だって少ないんだし。出るとき、預けた荷物を照合するための紙を1枚なくしちゃったみたいなんだけど、(妹1号が)何かの書類に住所と名前を書いただけで、これまたさしたる問題もなく空港を後にした。
レンタカー会社の送迎バスに乗って車を借りるところまで行く。事務的な説明を受けた後、今度は親父がカーナビの使い方を詳しく聞いていた。しかし、係りの人もそんなに詳しくカーナビについて知らない様子。そうこうしているうちに同じ送迎バスで来た人たちはどんどんと出発して、残っているのはうちらだけになっちまった。おいおい、親父殿。その人に聞かなくてもオレや妹2号の方がそういうのは慣れてるって。案の定、出発してからしばらくいじってるうちにだいたいの使い方はわかったよ。しっかし、このナビ、使えねぇなぁ。うちの車に着いてるカーナビの方がよっぽど使い勝手がいいよ。3000円よけいに払ってレンタカー会社のオプションがついてるやつにしたらしいけど、そのオプションは結局1度も使わずに終わっちまった。
北海道って言うのはやっぱり広いんだね。畑のひとつひとつをとっても関東のそれと何か違う気がするもん。ある意味、カルチャーショックのようなものを受ける。育てているのはジャガイモ? それから麦? …あとはよくわからん。
それから、信号があんましないから車で走ってて気持ちいいの。一般道なんだけどだいたい時速80kmくらいで走ってられる。北海道には道央自動車道と道東自動車道しか高速道路がないらしいけど、それも当たり前だよね。あれだけのスピードで走ってられるんだから必要ないもん。やっぱ東京とは大違いだわ。
そんなわけで、走る、走る、ひたすら走る。知床に向けて。そう、まずはこの日、親父の希望で知床の遊覧船に乗ることになっていた。遊覧船に乗って海から知床半島を見たかったんだと。だけど、その前に2ヶ所、まずは日本の滝100選のひとつ、オシンコシンの滝に寄った。なるほど、100選に選ばれるのもわかる。遊歩道を上っていくと滝のすぐ目の前まで行くことができる。
そして、次に行ったのはウトロと羅臼を結ぶ知床横断道路の頂点、知床峠。旅行雑誌によると紅葉がきれいらしいけど、さすがにこの時期は無理。それでも羅臼岳の眺めはなかなかのもの。峠から戻るときにはなんと道路脇にエゾシカが!
いよいよ観光船へ。ところが、乗り場の近くで危うく変な客引きにだまされそうになった。そいつ曰く、小さな船で行くから観光船では行かれないところまで入れるとか。でも、料金のこととか肝心なことをぜんぜん言わないんだよね。オレらみたいに観光船のことをよく知らない観光客は下手するとだまされちゃうんじゃないかな? オレらは親父が強引にかわしたから大丈夫だったけど。
観光船での遊覧は…ちょっとオレの趣味とは合わなかったかなぁ。カモメと戯れるのは観光船に乗る目的じゃないような気がするし、知床半島はなんだか横穴ばっかであんまり面白くもない。あっ、でもひとつだけ。カムイワッカの滝とかいう海の方からしか見られないという滝は見ていてよかった。この滝の上の方には有名なカムイワッカの湯の滝というのがあって、その温泉質がこの滝にも流れ込んでいるから岩が白くだか茶色くなっちゃうんだとか、観光船の中で老人相手にガイドさんが説明しているのを盗み聞きしてしまった。
遊覧船を下りたあと、時間があったのでもう1ヶ所まわってからホテルに行くことになった。そんなわけで知床五湖に行くことに。五湖全部をまわると90分くらいかかるらしい。これにはさすがに親父も嫌な顔をした。ホテルに行く時間が遅くなるからね。しかし、なんとこの日、ヒグマが出たとかで三、四、五湖の方は立入禁止になっていた。一湖&二湖だけなら40分くらいで歩けるらしい。それならいいかと行ってみることに。
鬱蒼とした森の中をひたすら歩いていく。別のグループには観光船の中にもいたガイドさんと同じ格好をした人たちが要所要所でいろいろ説明したりしている。あの人たちはいったい何なんだろね?
知床五湖からの帰り際、今度は鹿の群を発見してしまった。発見したと言っても、その脇の道路に車が何台か止まっていたから「何だろな?」と見ていたら鹿がいたわけよ。
とまあ、こんな具合に見るところを見てあとはホテルへ。今日泊まったのはホテル知床というところ。親父たちに言わせると二流のホテルらしいけど、この旅行の中で泊まったどのホテルよりもホテルの人たちの挨拶とかがちゃんとしてて、オレはけっこう気に入った。料理はボリュームだけで普通程度の味だったけど。それから、増築を重ねたせいか、1,2,3号館、東館、北館、別館と6棟の建物が複雑につながってるのもオレ好み。ホテルの中を歩き回るのって好きなんだよねぇ、オレ。
ま、そんなこんなで1日目は終了。