湖北の観音菩薩

江州伊香三十三所十五番札所赤後寺の千手観音菩薩・聖観音菩薩

 千手観音菩薩     聖観音菩薩

(奥びわ湖観光連盟パンフレット写真)                (奥びわ湖観光連盟パンフレット写真) 

湧出山という古墳のような山すその日吉神社の境内に絵馬堂を兼ねた赤後寺観音堂がある。無宗派で村人が共同で管理している。桃山時代彦根の伊井家が寄進したという立派な須弥壇と厨子内に、千手観音菩薩と聖観音菩薩が同居している。賎ヶ岳合戦の災害に村人が180センチを超すこれらの観音を背負い出し、近くの赤川に沈め難を免れたという。この時千手観音の頭上の仏面は全部失われている、また左手7本右手5本の肘から先は全部失われており、聖観音菩薩も両手を失っているなど凄惨な過去である。

お堂を守っている村人が言うには、昭和44年重要文化財に指定されるまでは秘仏として年1回節句に村人の前しかお出ましにはならなかった。厨子開扉の時、村人以外の人がいると、観音がこの姿を恥かしがって絶対扉が開かなかったという。

千手観音は十一面観音の頭上仏が失われたもので十一面千手観音であるといわれている。ふっくらとした顔立ちの千手観音と、ややほほの締まった聖観音でそれぞれ端麗な容姿を残している。

村では「コロリ観音」といわれコロリと極楽往生できる観音として信仰されている。

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