フランス(パリ)

 

 

パリは世界の都市の中で、もっとも清掃のシステムが整備された都市であろう。拙著「まちづくりにはトイレが大事」のなかでも書いているが、そもそもヨーロッパの都市は不衛生だった。その結果として、パリは大下水道を整備するなど、都市の衛生の維持に大変な時間とエネルギーを費やしてきたのである。パリのごみ箱も清掃システムもこのような背景からできあがってきたものである。

 

パリ市には約3,000名の清掃作業員がいる。清掃作業員の仕事はごみの収集と街の美化であるが、このうち2,000人が美化清掃に従事しているという。日本ではごみの収集と道路の掃除は別の仕事であるが、パリでは「街の美化と清潔の保持」という点で一体的な仕事とされている。清掃の頻度は、車道はおおむる週に1〜3回、中心市街地は毎日である。いろいろな清掃車が500台もある。落書きやポスターを高圧の熱湯ではがす車や、犬の糞を回収するためのバイクまである。

 

 

 

 

シャンゼリゼ通などの主要な繁華街に設置されている大型ごみ箱。おおむ50メートルに1つ設置されている。景観とマッチしたデザインである。

パリは人口より犬の方が多いと言われる。犬の糞公害はヨーロッパの都市はどこでも問題である。パリでは犬の糞を回収するバイク部隊がある。アームの先のお椀を糞の上に置いて、引き金を引くと荷台に吸引される。

以前にパリ市を訪れた際、「魔法のように町をきれいにする」というキャッチフレーズを聴いたことがある。そのためにいろいろな清掃機械を開発した。この車両もその一つで、小型三輪車で狭い路地をくるくる回ることができる。ホースからは高圧の熱水が噴射されて、落書きやポスターーはがしなどに活躍する。細かいごみは側溝に流し込んでしまうのだ。

 

街路の清掃風景。清掃車による機械清掃と人力の清掃が行われる。戦車と歩兵みたいである。ごみは車道側に落とされる。道路脇は間歇的に水が流され、所々に空いている口から下水道に落とされていく。

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