18年度廃棄物工学試験問題と解答例(山本出題分)

 

問1 現行法における廃棄物の区分を簡潔に説明しなさい

廃掃法では、廃棄物を「一般廃棄物」、「産業廃棄物」に区分している。産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される廃棄物の内、法律と政令で指定するもので、産業廃棄物に指定されない廃棄物はすべて一般廃棄物である。法律に明確な区分はないが、一般廃棄物のうち事業活動に伴って排出されるものは事業系一般廃棄物といわれ、原則として自己処理責任かず求められている。  

また、爆発性、毒性、感染性その他人の健康や生活環境に被害を生ずる可能性のある性状を有する廃棄物は、それぞれ特別管理一般廃棄物、特別管理産業廃棄物として、通常の廃棄物より厳しい規制が適用され、処理業者も特別の許可を要する。

一般廃棄物、産業廃棄物の区分について適切に説明してあれば5点、産業廃棄物の定義5点、 特別管理廃棄物の説明5点。

※みなさん、このページを見ていたようで、ほぼ全員が満点でした。

珍答例 

●法律に定める廃棄物の区分は、まず大まかに分けると可燃であるか、不燃であるか・・・次にサイズによる区分がある・・ (→さすがに点数はあげられません)

●・・・一般廃棄物と産業廃棄物に区分される。・・・産業廃棄物はさらに事業系一般廃棄物と事業系産業廃棄物に分けられる・・・(→産業廃棄物の中になぜ一般廃棄物が入るの?)

 

2 ペットボトルリサイクルの主要な二つの方法(技術)と、ペットボトルリサイクルの課題を説明しなさい

ペットボトルは、主としてマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの二つの方法でリサイクルされている。マテリアルリサイクルとは、粉砕・洗浄したあと溶解してペレット状に加工し、プラスチック製品の原料として利用するものである。主にシャツや毛布、カーペットなどの化学繊維製品として利用されることが多い。ケミカルリサイクルとは、ペットボトルを化学的に分解して、それを重合させてペット樹脂に再生する技術で、ペットボトルをペットボトルに再生する(ボトルtoボトル)ことができる。この方法では、ペットボトルからペットボトルへの再生が繰り返されることになり、省資源効果が大きいとされている。

 ペットボトルの回収量が増大するにつれて、原材料としての需要も高まっている。特に、中国での需要が旺盛で、輸出が増加している。資源価値が高まることは望ましいことであるが、国内のリサイクル事業者にとっては原料確保が困難になりつつある。ボトルtoボトルの方法は技術的に優れているものの、コスト面で競争力が低いために、せっかくの技術が十分活用されないという事態におちいっている。国内のリサイクル業者を育成するために、輸出に歯止めをかけようという議論が行われている。

(出来が悪かったので、大甘の採点。マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルについて書いてあれば10点。課題については課題らしきことがなんとかまっとうに書いてあれば5点。マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルという言葉は使っていても、説明が逆になっていたり、説明が間違っていたりしていたらそこから減点。課題については無理矢理こじつけたものもあったが、内容によって減点。)

※マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルという初歩的な言葉くらいはちゃんと説明できるようにしてくださいね。授業中に寝ていた人は書けなかったかも。

 [課題の部分についてのその他の回答例]

●容リ法によってペットボトルのリサイクルは進んでいるが、一方ではリターナブル(リユース)びんのシェアが低下し、結果的には使い捨てが進んでいる。リサイクルを進めることも重要であるが、ペットボトルの利用の抑制(発生抑制)やリターナブルびんの拡充を図っていくべきである。

 ペットボトルのリサイクルは進んでいるというものの、「大量消費・大量リサイクル」が進展し、資源やエネルギーの面からは問題が大きい。循環型社会の理念からは、発生抑制や再使用に重点を置くべきで、ペットボトルを洗って使う(再使用)についても考えていくべきである。

 

▲17年度以前の解答例