東京物欲見物欲日録 2004.9-12

A Yamagatan in TOKYO


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9月某日 仕事帰り京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターに立ち寄り、特集「映画女優 高峰秀子(1)」のうち、成瀬巳喜男監督の「稲妻」を観る。二度目なるが、傑作なることをあらためて感じる。
9月某日 午前中のうちにラピュタ阿佐ヶ谷に行って、15時からの「渡り鳥いつ帰る」のチケットを購う。雨が強かったため、アーケード商店街の阿佐ヶ谷パールセンターをぶらつく。ブックオフ阿佐ヶ谷南店。およびブックギルド。はなまるうどんで昼食の後、雨が小降りになってきたので、隣町の荻窪まで往復散歩。ささま書店にて収穫あり。
15時から待望の「渡り鳥いつ帰る」を観る。登場人物ほとんど皆が哀しい人間ばかりなのだが、実にいい映画なり。
9月某日 仕事帰り京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターに立ち寄り、特集「映画女優 高峰秀子(1)」のうち、エノケン主演・山本嘉次郎監督の「孫悟空」を観る。
9月某日 木挽町に行き、九月大歌舞伎昼の部を観る。芝翫を中心にした成駒屋一門の繁栄を寿ぐ。
9月某日 仕事帰り妻と待ち合わせ、京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターに立ち寄り、特集「映画女優 高峰秀子(1)」のうち、「銀座カンカン娘」を観る。二度目。観終えたあとハッピーになるいい映画だ。
私はそのまま東京駅に向かい、新幹線で帰省する。
9月某日 山形にて法事。真夏のような暑さ。
9月某日 東京に戻る。
9月某日 東京国立近代美術館で開催中の「RIMPA展」および常設展を観る。その後神保町まで歩き、帰宅。
9月某日 西武池袋線中村橋駅前にある練馬区立美術館に行き、特別展「小熊秀雄と画家たちの青春」展を観る。好企画なり。その後歩いて豊島園近くの向山辺を散策。ここは「城南住宅」と言って米沢の人間が大正末期に開発した住宅地。
9月某日 仕事帰り京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターに立ち寄り、特集「映画女優 高峰秀子(1)」のうち、五所平之助監督の「花籠の歌」を観る。
9月某日 木挽町に行き、九月大歌舞伎夜の部を観る。
10月某日 仙台の出身大学で開催される会合に出席。昼は天下一品こむらさき。山形の実家に宿泊す。帰途仙山線愛子駅で途中下車し、愛子開成堂書店に立ち寄る。
10月某日 朝から仙台。昼は後輩に連れられて国分町のラーメン国技場に行くも、どの店も行列していたので断念。東京に戻る。
10月某日 仕事帰り京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターに立ち寄り、特集「映画女優 高峰秀子(1)」のうち、中村登監督の「我が家は楽し」を観る。二度目であったが、ハッピーになる映画であること「銀座カンカン娘」と同じ。
10月某日 長男の幼稚園の運動会。前日・前々日と台風が大雨を降らせたのに、グラウンドはまったく大丈夫。親子三人でおみこしリレーに出場。長男はかけっこ三着。「練習ではいつも一着なのに…」と言い訳していた。
10月某日 長男が五歳なので、近くの香取神社に七五三のお参りにいく。その前に、このときのために買ってあげた羽織袴を着せ、近くの写真館で記念写真撮影。和服は窮屈で不機嫌そうである。
10月某日 昼休み、さんらいずでタイ風カレーでも食べようと思ったら、あいにく売り切れ。仕方ないのでそのままぶらぶらと切通坂を下り、上野仲町に入って店を物色するも、池之端藪も蓮玉庵も気がひけ、不忍池畔に出てしまった。池端では骨董市開催中で、出店がいろいろ並んでいたので、それを冷やかしながら結局天神下まで戻り、大喜に並ぶ。幸い秋冬昼夜各15食限定のみそラーメンがまだ残っていたので、初めてみそラーメンを食す。中太ちぢれ麺、みそスープに魚介のだしがきいていて絶品。
10月某日 東京ステーションギャラリーで開催中の「佐藤哲三展」を観る。その後八重洲地下街を通り八重洲方面に出ようとしたところ、地下街を走る間寛平とすれ違う。サングラスをかけ、脇目もふらずゆっくりしたペースで走っていた。あれは何だったのだろう? 新幹線の時間に間に合わないのだとしたら悠然としすぎるし、まさか人の往来が激しい地下街をランニングしているのでもあるまい。八重洲古書店・八重洲ブックセンターに立ち寄ったあと、フィルムセンターにて、「映画女優 高峰秀子(2)」中の「雁」を観る。310席が満席になる大盛況。そうなるだけのいい映画だった。
10月某日 昼過ぎ神保町に出、東京古書会館で始まった「アンダーグラウンド・ブック・カフェ―地下室の古書展」に行く。会場を出たとき、石塚公昭さんとばったり。その後東京堂書店や小宮山書店のガレージセール・サワグチ書店などをのぞき、丸ノ内線で銀座に出、ぶらぶら木挽町まで歩く。「芸術祭十月大歌舞伎」夜の部を観劇。
10月某日 仕事帰り、フィルムセンターに立ち寄り、「映画女優 高峰秀子(2)」中の「子供の眼」を観る。
10月某日 京都出張。帰る時、京都駅で野中広務自民党元幹事長を見かけた。秘書らしい若い男性と二人でエスカレーターを軽快に登っていき、グリーン車に一人で乗車していた。
11月某日 竹橋の東京国立近代美術館にて、「木村伊兵衛展」および常設展を見る。その足で神保町に立ち寄り、青空古本市をぶらぶらひやかす。
11月某日 仕事帰り、フィルムセンターにて、「映画女優 高峰秀子(2)」中の「浮雲」を観ようとするも、満席にならんとする大行列にて断念。失意のまま帰宅する。来年の成瀬巳喜男特集にて再見せん。
11月某日 木挽町に行き、顔見世大歌舞伎・昼の部を観る。帰途都営浅草線に乗って立石に出、そのまま歩いて帰宅。立石から歩いて45分程度。自転車なら散策がてら悠々遊びに行ける距離であることを実感。
11月某日 フィルムセンターにて、「映画女優 高峰秀子(2)」中の「笛吹川」を観る。圧巻。まだ10代だった松本幸四郎・中村吉右衛門兄弟が出演(当時市川染五郎・中村萬之助)。若々しい。
11月某日 木挽町に行き、顔見世大歌舞伎夜の部を観る。
11月某日 昼休み、小石川蒟蒻閻魔辺まで散歩。大亞堂書店をのぞく。また、本郷通りの棚澤書店に立ち寄ったところ、『洲之内徹小説全集』という大掘出物あり。
11月某日 下谷警察署にて免許更新。東京に来てから更新は二度目。前回も下谷警察署だった。前回は来てまもないころだったから、それから今年までの五年間は純粋に東京暮らしで、車の運転ができるのは年に数回だけ。それゆえか、講習を聴きながら自分が歩行者の立場になって聴いていることに途中で気がついて驚いた。運転者の立場で聴かなければならないのだ。それと、免許証の写真を見て、生え際が後退していることに愕然とする。近い将来禿げてしまうのか。個人的には頭頂部から薄くなるよりはまだましか。自分は富士額でもともと額が広いのだという言い訳がだんだん通用しなくなってきそうだ。
11月某日 休日出勤。帰途、千駄木に新しく開店したブックオフ千駄木店に立ち寄る。古書ほうろうから一、二分の場所。収穫なし。
11月某日 自転車で京成お花茶屋駅まで行き、京成電車を乗りついで京成千葉中央に出、千葉市美術館に行く。「伝説の浮世絵開祖 岩佐又兵衛展」を見る。千葉市美術館は千葉市中央区役所と同じ建物の上の階にある。建物が変わっていて、石造ゴシック風の重厚な建物を覆うように新しいビルが建てられている。昭和2年に建てられた旧川崎銀行千葉支店だという。
帰りは京成千葉駅まで歩く。千葉市内を初めて歩いた。私が歩いた範囲が千葉市の繁華街と考えていいのかわからないし、休日だからかもしれないが、その寂れかたが地方の中心都市と似ている。首都圏とはいえ、やはり千葉も「地方」だということだろう。美術館の裏側に家具の根本商店という文字が書かれた風変わりな建物あり。帰途堀切菖蒲園まで足を伸ばし、青木書店・「講談社書店」に立ち寄る。
11月某日 家族で海浜幕張にあるアウトレットモールに行きお買い物。
11月某日 書友二人と小石川の遠州屋で飲む。安くて美味い!職場近辺で飲むという話になったら、今度からここで飲むことにしよう。焼酎ボトル一本ですっかり酔っ払う。
11月某日 横須賀線西大井駅から、品川区ののんき通り・戸越公園通り・戸越銀座の商店街を歩く。ブックオフ戸越駅前店。帰途都営浅草線から京成線直通の電車に乗り立石下車。駅前からバスで帰途につく。
最寄駅前の中華定食屋で食事をとったあと、腹ごなしのため、ふだんはめったに立ち寄らない駅前の新古本屋に立ち寄ったところ、小林信彦『監禁』(角川文庫、100円)の大収穫あり。
12月某日 所用があって小石川植物園辺を徘徊。根津からバスを乗り継いで小石川三丁目下車。あのあたりは共同印刷の企業町という雰囲気。帰りは小石川から台地ひとつ越えて根津まで歩く。小石川の千川通り沿いに古い看板建築の建物があり、ここをバスで通るたびに楽しみにしていた。しかしどうも取り壊されるらしい。記念に写真を撮っておく。またせっかくきたので小石川の坂道をのぼり、幸田露伴旧邸(現青木邸)まで散歩。
12月某日 横手まで日帰り出張。昼はいつものごとく焼きそばのふじわらにて「豚玉ダブル」。ブックオフ13号横手店ではこれまたいつものごとく収穫あり。嬉し楽し出張。
12月某日 仕事帰り、京橋のフィルムセンターに立ち寄り、特集「逝ける映画人を偲んで2002-2003」のうち「麻雀放浪記」を見る。
12月某日 午前中、京橋のフィルムセンターにて特集「逝ける映画人を偲んで2002-2003」のうち「特急にっぽん」を見る。午後、電車で千駄ヶ谷まで移動。国立能楽堂で開催された「東京大学観世会・東大観世OB会合同自演会」を見る。同僚が能の「敦盛」に出演。国立能楽堂はしばらくぶり。能を見るのは毎年この時期の自演会だけになってしまっているので、もう少し活発に見たいものである。
12月某日 帰途、ブックオフ千駄木店・古書ほうろうに立ち寄る。
12月某日 妻と二人で十二月大歌舞伎・夜の部を観る。何と言っても勘九郎の名跡では最後の興行。勘九郎の芝居を楽しませてもらった者としても「かんしゃかんしゃ」(切りの芝居の題名)なのである。
その前に、歌舞伎座の建物の向かって右手に入っているベトナム料理店で食事。前々から気になっていたのだ。食べたかったフォーを注文する。まあこんなものかな、という印象。素晴らしく美味しくて感動したというほどでもない。
12月某日 午前中、京橋のフィルムセンターにて特集「逝ける映画人を偲んで2002-2003」のうち「獄門島(総集篇)」を見る。その後上野に出る。「上野古書のまち」をぶらついたあと、家族と合流。上野動物園へ。ジャイアント・パンダは久しぶりにちゃんと見ることができた。子供はなぜこうも動物園好きなのだろう。