1日目(関空〜バンコク)

 

出発の日がきた。Mと関空で待ち合わせをする。日頃のMは時間通りにあまりこないので、すこし不安が募る。案の定、約束時刻を30分過ぎても現れない。やっぱり1人 旅になるのかと思いつつもMの家に電話してみることにする。電話にでないので、こちらに 向かっているのは確かだ。すこし安心。間もなく、Mがなにもなかったように現れた。10:10発シンガポ−ル航空983便で無事バンコクに向け脱出成功。  


ほぼ予定通り現地時間13:30にバンコク・ドンムアン空港に到着。早速、空港で帰り の便のリコンファ−ム(予約確認)をしなければならない。シンガポ−ル航空は確か リコンファ−ムの必要がないと聞いていたけど、航空券を買った旅行会社の人は必ず してくださいと言っていたし、予約取り消されたらたまらないのですることにした。 しかし、シンガポ−ル航空のカウンタ−を探すが見当たらない。乏しい英語力で人に聞くと4階にあるらしい。行ってみるとカウンタ−はあったが閉まっている。はり紙が貼っていて確かに4階だがタ−ミナルが違うらしい。それから、さんざん探してやっとみつけた。開いていたが今度は人がいない。中では、白人の男性客が1人、貧乏揺すりをしながら待って いた。奥で声はするのだが、なかなか出てこない。昼ごはんでも食っているのだろうか。実は、こちらは結構あせっているのだ。明日に乗る
マレ−鉄道の切符を今日中に買っておかなくてはならない。その切符売り場は空港から列車で40〜50分のところにあり16時に閉まってしまう。今はすでに15時。しばらくして、ようやく人が出てきて無事リコンファ−ム終了。時間が全然ないので列車で行くのはあきらめタクシ−で行くことにする。でも、旅行者はカモられると聞いていたので警戒してタクシー乗り場に向かった。案の定、タクシ−乗り場に着くと怖そうなおじさんが手招きをしている。でもメ−タ−タクシ−だったので、ボラれることはないかと思い乗ることにした。ところが、しばらく走ってもメ−タ−が動いてない。と思った矢先、運転手が値段の交渉をしてきたのだ。タイ語が全然わからなくて返事ができないでいると運転手が勝手に値段を決めて1人で納得しているではないか。降りる時、いくら請求されるのか心配しつつガイドブ ックで相場を調べ、その金額だけ財布に残し、あとはカバンに隠した。高額を請求されたら、金がないというつもりだった。


タクシ−は高速を140kmでとばし20分ほどでついた。降り際、恐る恐る紙に金額を書いてもらった。相場通りだった。  タクシ−がとばしてくれたおかげで切符売り場はまだ開いていた。早速、切符を買うことにする。今回、持ってきたガイドブックは『マレ−半島モンス−ン・エキスプレス』というやつで、簡単に切符が買えるように必要事項が書き込める
シ−トにな っている。これは便利だと思い、活用して窓口に出すと、すんなり買えた。しかし、窓口の人が数人で爆笑している。こんなところに書いて出したからか、それともこの本を活用する日本人が多いからなのか。とりあえず、これで明日はマレ−シアに向けて出発できる。こんどの目標は今日の宿探しにうつった。このマレ−鉄道の始発駅であるホアランポ−ン駅か ら安宿街で有名なカオサン通りに行くことにする。どうやって行こうかとウロチョロ していると、トゥクトゥクという三輪のタクシ−が寄ってきた。目がうつろなオッサンですこしビビるが、「カオサン、O.K.」というと「60B(200円)」といってきた。相場はわからなっかたが、暑かったし、疲れてきていたので乗ってみることにした。


不安定なトゥクトゥクは爆音をたてながら排気ガスでスモックのかかったバンコクの街をスっ飛ばした。かなり肺が黒くなった気分だ。オッサンはチャッカりマスクをしている。15分程でカオサン通りについた。さすがに賑やかな通りだ。通りを歩いているほとんどが旅行者だ。その中でも白人が多く、日本人もいた。カオサン通りをブラブラしていると、以前テレビでやっていたドラマ「深夜特急」で大沢たかおが泊まっていた
Khosan Privacy という安宿をみつける。泊まることにした。ここカオサンではシングル60B(200円)くらいからあることを考えるとKhosan Privacyのツイン380B(1280円)はちょっと高めだがそれでも1人190B(640円)は安い。これで設備もエアコン、トイレ、シャワー付ときたら大満足。宿が決まってからまた、カオサン通りに出てみた。相変わらず賑やかだ。みやげ物屋はもちろん、旅行代理店、コンビニ、Eメールなんかも送れるところもある。偽学生証を作ってくれるところまであった。広いカフェには多くの人がいたので奥のほうをのぞくと映画「タイタニック」を上映していた。それから、ふと、お腹がすいていることに気がつき、妙に人が少ないレストランのようなところに入った。広い店内に客はパラパラと単独で3人。2人は日本人らしく、1人は白人だった。その日本人はかなり長い間ここに住みついているというオーラのようなものを放っていた。ここではなんだかよくわからない映画を上映している。客の数のわりに多い店員は暇そうに映画をみている。かなり時間がたって注文していたハンバーガーがやってきた。そしてMが注文していたピザはすでにさめていた。早速ハンバーガーにかぶりついたが、味がない。よくみると中になにもぬっていないではないか。テーブルにケチャップとあと1つよくわからない容器がある。なめると、かなり辛い。Mはそれを容赦なくピザにぶちまけ、平気で食べている。それをみていた店員の1人が映画をみるのをやめ、ずっとこちらをうかがっている。 空腹を満たして、 部屋に帰り、シャワーを浴び今日のお互いの健闘をたたえあいビールで乾杯した。ベッドに横になりMに話しかけようとしたら、すでにMは失神したように眠っていた。

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