せたがやレポート

2001年10月 第3回定例会の報告

(2001年11月号)

世田谷区議会第3回定例会は、9月19日から10月19日までの会期で終了しました。
今回の議会では、介護保険や街づくりの他、税収入の減が続く中で都区財調の見直しなど税源移譲や自主財源確保を求める意見が多くだされました。
私も、一般質問に立ち、都立大学跡地利用の問題と公共交通の改善について質問しました

テロにも報復戦争にも反対

区議会では、9月11日アメリカで発生した同時多発テロの犠牲者への弔意とテロ撲滅について決議があげられました。
しかしその後、米英によるアフガニスタンへの空爆が開始され、日本政府はテロ対策特別措置法を成立させ、自衛隊の海外派遣の道を拡大しました。

テロは如何なる理由があろうと容認できるものではありません。
しかし、テロに対する報復は新たな暴力生むばかりか、テロを根絶する根本的解決にはなりません。

テロを生み出している背景には、中東和平の困難さがあります。
イスラエルとパレスチナの対立は、第2次大戦後のユダヤ人のイスラエル建国からはじまります。
イスラエルの地には、何世代も続くパレスチナ人が住んでいたからです。

イスラエルの建国によって土地を奪われ多くのパレスチナ難民が生み出されてきました。
中東戦争は、同じイスラム圏であるアラブ諸国がパレスチナ人を支援し、イスラエルと戦われた戦争でした。
アメリカは兵器を送り込むなど、イスラエルよりの政策をとりつづけてきました。

ブッシュ政権になってから一段と強まってきたといいます。
武力を背景にしたアメリカの強硬政策にもテロを生み出す背景となっています

アフガン難民への救援策は

日本政府は、テロ対策特別措置法を強行採決しましたが、その目的は米軍等への軍事活動への強力です。
戦争協力の色彩をぼかす為に人道的支援を強調しています。
しかし難民支援は、自衛隊でなければできないわけではありません。
国連や赤十字,NGO組織に委ねるべきです。

都立病院改革と母子保健院の廃止

都立病院の統廃合問題が浮上しています。
区内には、松沢病院、梅丘病院、母子保健院の都立の医療機関があります。
都の再編整備案によると、松沢病院は精神医療センターに、梅丘病院は5年を目途に清瀬小児病院,八王子小児病院ともに移転統合。
母子保健院は廃止という内容です。

議会では、当面緊急性のある母子保健院廃止の再検討を求める意見書を東京都へ提出することとなりました。

母子保健院は、産婦人科と小児科機能を備えた医療機関であり、母体の保護から子どもの成長、生育まで一貫した医療を受けられることもあり、区内在住者の利用が多い。
区内の小児科地域医療の要として、地域医療機関からもその役割が重要視されています。

すでに、国は国立小児病院を大蔵病院に移行するとしていますが、移行後は外来機能が約束されていません。
小児科医の不足が叫ばれる中で、小児科機能を持つ公的地域医療機関の存続は不可欠です。

大規模国公・民有地の処理と都立大学跡地利用

近年,大規模土地利用の問題に直面することが多くなりました。
一つは、国や都の国公有地が、公的機関に移行されることなく民間企業に売却された場合です。
もう一つは、民間企業の娯楽施設や社宅が他企業に売却された場合で、いずれもその後の跡地利用計画について周辺環境との関係から摩擦が生じています。

 今議会では、都立大学理工学部深沢校舎跡地問題がありました。
当該地は、目黒区八雲境に位置する世田谷区深沢2丁目。
住宅戸数791戸、駐車台数800台、最高19階,高さ約59㍍の大型マンション建設計画が浮上しました。
付近は、駒沢公園のすぐ脇という環境から低層住宅が多いこともあり、住民にとっては住環境にふさわしい建物とは到底思えないことから、深沢の環境を守る会が結成され、事業者側との話し合いが続いています。

 こうした問題が、民有地では成城丸紅社宅跡地、明治薬科大学跡地、成城グリーンプラザ跡地、祖師谷丸紅グランド跡地、国公有地では、小児病院,法務省跡地と矢継ぎ早に発生しています。
この背景には、国・都の財政不足と民間企業の事業再編による厚生施設の撤退があります。同時に見逃せないのが、この間の都市計画法や建築基準法の改正による規制緩和があります。

世田谷区は、他の自治体に先駆けて街づくり条例や環境基本条例を制定し、建築指導要綱によって一定の規制を加えてきました。
しかし、区民の環境を重視する関心の高まりとともに条例や要綱では規制しきれない問題が発生しているのです。
区は11月議会に、建築指導要綱を一つの条例にする提案をおこなうこととしました。

区民参加型の街づくりの前提条件は、計画初期段階からの情報公開・情報提供にあります。
情報を持つ企業や行政が、街づくりについて区民より優位にたつことでは、真の住民参加型の街づくりは得られません

介護保険制度の改善について

介護保険導入から1年半が経過しました。
今年3月末の統計では、65歳以上の第1号被保険者数は12万7千628人で、うち認定されているのが1万3千985人と報告されています。
この数は区が予想した人数を大幅に下回りました。

日本の介護保険制度は、介護する側の負担を取り除くことが中心に考えられてきたこともあり、居宅介護サービスが柱となっています。
区の、居宅サービスは介護保険導入以前から他の自治体から注目されてきました。
居宅サービスの拡充では、理容サービスに美容サービスが加えられたほどです。
ところが、要介護認定となっても手続きをとらずサービスを受けない方や、利用料の負担からサービスを控えめにとる傾向が未だあります。

議会では、ホームヘルパーやケア・マネージャーの処遇改善や特別養護老人ホームの待機者の増加などが指摘されました。

世田谷区内、特養ホームの申請者は、現在1千655名(9月現在)とされています。
この数を見て単純に施設が足りないとはいえないのは、申請者は要介護認定1~5が対象となることから、とりあえず申し込みだけ行っておこうという人が意外と多いからです。

しかし、同時に、都市部の核家族化と住宅事情から家族介護の負担軽減や施設介護の充実を求める声は多い。
今後、施設サービスの拡充が求められています。

低所得者対策として、利用料と保険料の減免の課題があります。
区はすでに利用料の減免は実施してきていたが、この10月から、保険料減免と利用料減免の拡充が図られることになりました。
低所得者対策としての利用料の減免は、国が訪問介護を以前から受けていた低所得者(生計維持者が所得税非課税)を対象に、訪問介護の利用料を3%軽減する 内容で実施し、区は、独自の軽減策として老齢福祉年金受給者で世帯非課税の者や生活保護同等水準の者等について訪問介護及び通所介護の利用料を3%軽減す る内容で実施してきました。

これらの制度に付け加え、介護保険料区独自減額が実施されることになりました。
また、利用料負担軽減の対象サービスに、訪問入浴介護、訪問介護、短期入所生活介護の新たなサービスが付け加えられました。

今後、制度全体の在り方も含め、各自治体、地域特性に見合った制度の検討が必要になっています。

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