こんなにも青い空の下で(前編)

「ほぁーはっはっはっはふあああ、見たか。
 シリーズ終了以来10数年、王道復古で一度は主役になったかと
 思われたが、まだ残していたものがあった」
 本来の主役ロボは先週の放送で無残にも3悪トリオに倒されてしまった。

 コクピット内で愉悦に浸るナゲッキー(声:八奈見乗児)、頷くプルンジャ(声:小原乃梨子)と
ガンジャー(声:たてかべ和也)。
「ついにやったんだね、ナゲッキー、ガンジャー」
「うおおおお、感動ですたい」
 リアルタイプの表情になり渋く決めるナゲッキー。
「この日が来るのをどれほど待ちわびただろうか、あー、ははっはははっはは。
 今週から俺達が主役だあ、オープニング開始、ポチッとな」
(ここからOP開始。映像は今までの主役たちと3悪トリオが入れ替わっている。
 歌詞は2番を使用)
「はーははっはっははっは、悔しかったらいつでもかかってこい」
 高笑いするナゲッキーの後頭部をフライパンが直撃(毎週のパターンで)

(Aパート開始)

 轟音を残して飛び去る3悪トリオの巨大ロボット:キングジャマンダー。
 打ち捨てられたようにボロボロの本来の主役メカ:轟天王。
「そんな、そんな」
 目の前の惨状が信じられないミハル・アオイ(声:金月真美)。
 打倒され、破壊されていく光景を思い出す。(バンクシーン)
「……」
 唇を噛み締め、新たな決意をするアザリー・ボナパルノフ(声:久川綾)。
「ミハルちゃんは先に行ってプルンジャ達を阻止して」
「でも、アザリー先輩、怪我を」
「大丈夫、私なら、は、早く行って、歴史の改編を、阻止しないと、さあ、早く」
 負傷した左腕を押さえながら促すアザリー。
「分かりました。先輩も無理しないで下さいね」
 T.P.P.Dのパトロールウォーカーに乗りこみ、3悪トリオの後を追い飛び立つ。
 それを見送るとズタぼろの轟天王へ歩み寄っていく。
 胸部ハッチを開けて操縦席内部に入るがそこにラクチャックマン(声:子安武人)は居なかった。
「間一髪、基地に戻ったのね」
 シート横のスイッチを押し、ベルト横のボタンを押すとアザリーが消えた。

「よいか、今度の神殿を破壊することできゃつらの撲滅を図ることが出きる。
 きゃつらさえ居なくなれば伝説に近付くに造作は無い」(ドークロン首領:声:大平透)
「ははあ〜」(3悪トリオ)
「この機に乗じて一気に推し進めるのだ。勝利は我が手に在る」

 3悪トリオの後方で追いすがるミハルのマシン。
「わ、私が防がないと。いつもいつも助けられているばかりだけど、私が」
 思いとは裏腹に表情は強張り、体は震えている。

 転送BOX内に現れたアザリー。
 BOX前のメインテナンス台に横たわるラクチャックマンこと柾児・轟一郎
「轟君」
 心配げに眠る轟一郎を見やるアザリー。(ここからナレーション:声:小林清志)
 アザリーはラクチャックマンの正体を知っていたのだ。
 ラクチャックマンはT.P.P.D(Tri&Time Prophylaxis Penetrative Dresser:時空問題予防看破調整機構)の
活動にて通常の回避活動に支障を来した際に実力を持って排除する最後の砦なのだ。
 歴史改編を企てる犯罪組織:ドークロンが追い求める伝説の帝国、タツノッコン。
 ドークロンが繰り出すメカに対して、メカを上回るパワーで有効な阻止活動を繰り広げてきた。
(今までの戦闘シーンのバンク)
だが、今回はディストーションヴァリアブルスーツの活動限界を上回るアレスティングフィールド内の攻撃で
ダメージが肉体の限界を上回り、轟天王は機能停止に陥ったのである。
(ここも前回の戦闘シーンのバンク)
「轟君、これからは私も戦うわ」
 ジャンプスーツを脱ぎ始めるアザリー(−で、胸元でカット終わり)

 惑星サラン北の大陸、バルヘルド・ガシュン山脈の麓の街。
 神殿に現れた3体の影。プルンジャ、ナゲッキー、ガンジャーの3人である。
「ふふふふん。この神殿を破壊すれば千二百年後の発掘がおじゃん。
 T.P.P.Dも技術料を失うばかりか主要スタッフの大半が生まれて来なくなる。
 不敵に笑うプルンジャ。
「さあ、ナゲッキー、ガンジャー、二人とも早いとこやっておしまい」
「はい、プルンジャ様」
「はいはいなあ、バズーカでバイバイバーイ」
 両手に抱えたバズーカを撃ちまくるガンジャー。
 次々と破壊されていく神殿。
 次々と逃げ出していく神官達。
「おーほっほっほっほ、歴史を我が手に」〈プルンジャ)
 爆薬をセットし、起爆装置を押そうとするナゲッキー。
「はい、サイナラね」
 −が、爆発は起こらない。
「あれ、また不良品かなあ」
 コードを辿り寄せていくと、ブツリと切断されている。
「くうう、誰の仕業、こんなことしちゃって」
 再びコードを寄り合わせボタンを押そうとする。
 閃光一閃、起爆装置が破壊される。
「何奴!?」(プルンジャ)
「これ以上、好き勝手はさせないわ」
 見上げた天窓に人が一人。
 ミハルである。

(アイキャッチA:「一件、ラクチャックマン」)

(アイキャッチB:「一件、ラクチャックマン」)

「何奴!?」(プルンジャ)
「これ以上、好き勝手はさせないわ」
 見上げた天窓に人が一人。
 ミハルである。
「まったく、懲りない胸無し娘が、勝ち目がお前の胸ほどもないこと分からせてやるわ」
 挑発する様にでっかい胸をぷるんぷるん揺らし色気を振りまく。
「デカけりゃいいってものでもないわ。この先垂れる胸と同様、あなた達の運命も下り坂よ」
 レーザーガンを3悪トリオに向けて連射する。
「わあ、たったったたたた」
 足許にレーザーをばらまかれあたふたするが、
「そこっ」(プルンジャ)
 ミハルが身を隠している壁下目掛けてグレネードナイフを投擲する。
 爆発!! 足許が崩れて回廊に落下する。
「きゃああああ」
 落下の際、太腿が露になり、
「おおおぅ」(ナゲッキー、ガンジャー共に)
 眼をハートにして飛び出させ見入る二人。スカートも捲れそうになるが先に床に叩き付けられて
しまい、土埃で隠れてしまう。
「なに見てんだい、このすっとこどっこい。早くひッ捕まえて剥いてやんな」
「いいんすか、プルンジャ様」〈ナゲッキー)
「あたし達ぁ、悪の手先だよ、そういう場合、やることはひとつだろ」
 妖艶に笑うプリンジャ。
「ははぁ、ではぐふふふ、おじちゃんといいことしましょうね」
 鼻の下を延ばしミハルにゆっくりと寄っていくナゲッキー。
「容赦はしまへんでぇ」
 拳を鳴らしながら厳つい表情を作るガンジャー。
 脚を挫き、後ずさりがままならない。レーザーガンは壊れてしまい、細腕では男二人を相手にする
腕力はない。右手を後に付き左手で胸元を隠そうとする。
 ナゲッキーが覆い被さろうとし、顔を背けるミハル。
 ギューン、とボールが飛んできてナゲッキー、ガンジャーの顎を砕く。
「ラクチャックマン!!」
 涙目を見開くミハル。
 すっと、立ち塞ぐように降り立ち、廻し蹴りとジャブとアッパーの連打でナゲッキーとガンジャーを
払い除ける。だが、それはスーツこそ同じだが色は紅く、ラインにフィットした状態から男ではない。
「貴様、ラクチャックマンではないのかい」〈プルンジャ)
 コツ、コツ、と靴音立てて、腰に手を当て、3悪トリオに相対する。
「さあ、そんなことはどうでもよくなくて!?」
 投げキッスで言葉を締める。
「うぉおおお、すんばらしい」〈ナゲッキー)
「カッコいいでんなあ」(ガンジャー)
「何感心してんだい、このスカポンタン」〈プルンジャ〉
 拳骨で二人を戒める。
 フェイスガードで顔は判らないが、口許の鮮やかなリップカラーと豪奢な長い髪が凛とした雰囲気を
醸し出している。プロポーションもプルンジャに劣らない。
「女が出て来たって、一度負けたもんは2度負けるものよ」〈プルンジャ)
「あら、一人だとは、云ってないわ」
 口許に指先をあて、それは違うという仕草をする。
「なにい」(3悪トリオ)

「空に突立てた槍のように、時を越え、次元を超え、歴史の流れを見守る。
 覇はすべからく盛者は出でては消えていく。影に蠢く悪を照らしだし、これを穿つ。
 この世に正義を求める願い在る限り、私は死なない」
「どこだ、出て来い!!」
「とうっ」
 女ラクチャックマン(アザリー)の隣に降り立つラクチャックマン。
「ラクチャックマン、ここに見参!!」

天候が急変し、雷鳴轟く空模様になっていく。稲妻が走り、3悪トリオとラクチャックマンの対峙を浮かび
上がらせる。

…次回に続く。

(次回予告)
「遂に本当の雌雄を決する時が来たようだな、ラクチャックマン。
 来週が貴様の最終回さ」(声:ナゲッキー)
「いいのかい、こんなシリアスな展開で」(プルンジャ)
「さあ、慣れない展開どすからなあ」〈ガンジャー)


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