ハードボイルドだぞ


『悪魔の街』(1956年・日活/監督:鈴木清太郎)

囚人護送車から脱走した大庭(菅井一郎)は、香港へ脱出するために中国人ギャング・王の屋敷へ身を隠す。大庭に義理のある早崎(河津清三郎)は、八百長競馬で大庭の脱出資金を稼ごうとするが、騎手の萩原(中川晴彦)の裏切りで失敗する。大庭は王の提案で、競馬場の売上金を奪う計画を立て、早崎が実行部隊のリーダーとなるが……

『現金に体を張れ』とか、『アスファルト・ジャングル』のようなアメリカ・ギャング映画に似た内容で、B級映画の香りがタップリです。

河津清三郎が菅井一郎を追い詰めるラストがダラダラ長いのが玉に瑕ですが、カット割りなどに工夫があり、楽しめる作品になっていました。

※画像は河津清三郎

 

『裸女と拳銃』(1957年・日活/監督:鈴木清太郎)

新聞社のカメラマン・槙健作(水島道太郎)は、愚連隊に追われている下着姿の女(白木マリ)を救い、誘われて女のアパートに行くが、女は姿を消し、男の死体が転がっていた。殺人の容疑者にされた槙は、仲間の新聞記者・須川(二谷英明)と調査を開始し、背後に麻薬組織のあることをつきとめるが……

白木マリが惜し気もなくグラマラスな肢体を披露してくれます。肉体女優として売出すための作品ですね。整形前の宍戸錠も刑事役で出演しています。

カット割やショットに非凡なところが少なからず見受けられますが、全体としては目立ったものではありません。清順監督は、プログラム・ピクチャーの監督として無難な仕事をしている感じですね。

 

『暗黒街の美女』(1958年・日活/監督:鈴木清順)

白木マリ

密輸組織との抗争で刑務所を出所した宮本(水島道太郎)は、隠していたダイヤを売ってその時の抗争でビッコとなった弟分の三原(安部徹)を助けようと考えていた。昔の仲間の大矢根(芦田伸介)がダイヤの処分を引受けるが、大矢根はダイヤの横取りを狙っていた。ダイヤを外人密輸商人と取引する日、大矢根の計画を見破った三原はダイヤを飲み込み、非常階段から飛び降りて死ぬ。宮本は、グレている三原の妹・亜紀子(白木マリ)を堅気にしようとするが……

“暗黒街の美女”って白木マリのこと?……セクシーであっても美女ではないよなァ。B女優なら納得しますがね。(笑)

内容はというと、ハードボイルド・アクション。高品格の機関銃は、見るからにオモチャで頂けませんが、銃撃戦はサマになっていましたよ。清順監督の演出というより、日活俳優陣の素養のなせる技でしょう。日活アクションとしては平均的な作品で〜す。

 

『殺人狂時代』(1967年・東宝/監督:岡本喜八)

大学で犯罪心理学を教える桔梗信治(仲代達也)は、大日本人口調節審議会の殺し屋に執拗に狙われる。信治の背中の傷痕に“クレオパトラの涙”という300万ドルのダイヤが隠されていたからだ。信治は新聞記者の啓子(団令子)とコソ泥の大友ビル(砂塚秀夫)を味方につけ反撃を開始するが……

喜八監督のブッラク・ユーモアに溢れたコメディー・アクションです。殺し屋のボスで、ヒットラーに心酔している精神病院の院長が天本英世というのがイイですねェ。精神病院のシーンをドイツ表現主義的な映像にしているのが嬉しくなります。

仲代は鼻につく臭い演技で今イチなんですが、一くせも二くせもある登場人物と、先の読めない展開の面白さには満足、満足。

 

『豹(ジャガー)は走った』(1970年・東宝/監督:西村潔)

クーデターが起こった南ネシア共和国の大統領ジャカールが、巨大商社の手引きでアメリカへの亡命の経由地として東京に3日間滞在することになる。ジャカールは革命政府に命を狙われており、暗殺阻止のために殺しの許可を受けた戸田警部(加山雄三)が密かに護衛にあたる。南ネシアと武器取引していた商社は革命政府にも恩を売るために、ジャカール暗殺の殺し屋・九条(田宮二郎)を雇い……

加山雄三の『狙撃』のヒットを受け、二匹目のドジョウを狙って作られたハードボイルド・アクション。『狙撃』と比べると、情実部分が多くてドライさに欠けますね。田宮二郎と外人女のラブシーンなんて邪魔なだけ。社長秘書役の加賀まりこが活かされていません。加賀まりこのキャラをもっと膨らましてほしかったですねェ。

私が観たのは、日本映画専門チャンネルの加山雄三特集で放映されたものですが、加山雄三がインタビューでこの作品のことを憶えていないと言ったのには笑ってしまいましたね。田宮二郎のカッコよさばかりが目立って、加山雄三の印象が薄いんですよ。加山雄三が忘れていたのも無理はな〜い。

 

『薔薇の標的』(1972年・東宝/監督:西村潔)

日野昭(加山雄三)の射撃は天才的であったが、銃の暴発でライバルを殺したことから社会的に抹殺されていた。日野の腕を見込んだマイク立花(岡田英次)は日野を雇い、暗殺者としての訓練をほどこす。日野は暗殺者として虚無的な日を送っていたが、ニュースカメラマンのロバートを狙撃した時に、倒れたロバートに駆け寄った中国娘・玲玲(チェンチェン)の顔が脳裏から離れなかった。玲玲はロバート殺害犯を調べるために立花の研究所にやってくる。立花の部下に襲われた玲玲を日野が救うが……

『狙撃』(1968年/監督:堀川弘通)で当てた東宝が、“夢よ、もう一度”的に製作したもので内容的には褒められてものではありません。

殺し屋役の加山雄三も、『狙撃』では初物の新鮮さがあってアラを隠していたのですが、この作品になると逆にアラが目立ちます。尾崎紀世彦のようなモミアゲをした加山雄三の演技はニヒルというより、ムッツリですからね。1972年頃は、あんなモミアゲが流行していたんですねェ。それと、ネオナチがスパイ物に氾濫していた時代でもありました。

 

 

 

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