エースのジョー


『危(ヤバ)いことなら銭になる』(1962年・日活/監督:中平康)

10億8千万円相当の紙幣印刷用紙が盗まれたという情報をきいた、ジョー(宍戸錠)、テツ(長門裕之)、ブル健(草薙幸次郎)の事件屋三人は、贋札作りの名人・坂本老人(左卜全)の身柄を拘束して、偽札団に高く売りつけようと計画するが……

都筑道夫の原作を池田一朗と山崎忠昭が脚色したコメディー・アクションの佳作。

キャラクター作りが巧くできており(ガラスを擦る音が弱点という宍戸錠のガラスのジョーは秀逸)、ストーリー展開もスピーディーでダラダラしたところがありません。ラストのオチにも伏線がはってあり、笑えましたね。

ところで、クレジットに中尾彬の名があったので、注意深く見ていたら、偽札団の手下の一人としてキャバレーの前に立っていましたよ。

 

『拳銃(コルト)は俺のパスポート』(1967年・日活/監督:野村孝)

殺し屋の上村(宍戸錠)は、大田原組に頼まれて島津組の会長(嵐寛寿郎)の暗殺を引き受ける。上村は会長の射殺に成功し、高飛びするために羽田に向かうが、島津組が待ち受けていた。上村は弟分のシュン(ジェリー藤尾)と横浜の木賃ホテルへ潜りこむ。大田原から依頼を受けた津崎組の手配で密出国するはずだったが、大田原は島津と手を組んでおり……

狙撃の時にタバコの煙で風向きを図ったり、さりげなく指紋を拭取ったりとか、芸の細かいところを色々見せてくれます。撮影期間がわずか1ヶ月というプログラム・ピクチャーですが丁寧な作り方をしていますね。

セリフもなく、ただ殺されるだけのアラカンは存在感があります。伊部晴美の音楽もカッコいいんだなァ。洋画に負けない上質のB級アクション映画でした。

 

『野獣の青春』(1963年・日活/監督:鈴木清順)

ホテルで現職刑事とコールガールの心中死体が見つかる。刑事の親友だった水野錠次(宍戸錠)は真相をつかむために、野本組と三光組が対立する街にやって来る。錠次はチンピラを痛めつけて腕前を見せ、野本(小林昭二)の用心棒になる一方、三光組の組長・小野寺(信欽三)に近づく。心中と見せかけて殺した犯人を捜すついでに、二つの組織をつぶそうと考えたのだ……

ありふれたプロットですが、映像表現と登場人物のキャラクター設定、脚本の巧さで、類希なるハードボイルドの傑作になっています。

冒頭のモノクロ画面からカラーに変わり、モノクロの背景に真っ赤な椿で彩るラストは清順美学ですね。キャバレーの事務所からマジックミラーを通して見るホールの状況、映画が映し出される映画館のスクリーン裏にある事務所でのアクションの面白さなど、映像的アイデアにあふれたシーンの連続は「素晴らしい」の一語につきます。

登場人物個々のキャラクターはどれも奇抜で、特に“パンパン”の言葉に反応して、言った相手を条件反射的にカミソリで切りきざむ川地民夫は物語のキーになります。

これだけの傑作がB級として埋もれているのですから、1960年代前半の日本映画はやっぱり要チェックです。

 

『拳銃残酷物語』(1964年・日活/監督:古川卓巳)

ヤクザ世界で一目おかれる登川(宍戸錠)が仮釈放になり、悪徳弁護士だった伊藤がダービーの売上金1億2千万円を奪う犯罪計画を持ちかけてくる。登川は療養中の妹・梨枝(松原智恵子)の手術費用を必要としていた。ヤクザのボス・松本(二本柳寛)が資金を提供し、実行メンバーとして登川の仲間だった白井(小高雄二)、元ボクサーの岡田(井上昭文)、元用心棒の寺本(草薙幸二郎)が集められる。四人は現金輸送車を襲撃し、トラブルはあったものの現金を奪うことに成功するが……

原作は大藪春彦の同名小説。アメリカの出来のよいB級犯罪映画のようなタッチで、プログラム・ピクチャーながらも侮れない作品です。

テンポのよい展開と、アクションの連続で、最後までダレないのが成功の要因でしょうね。宍戸錠のハードボイルドな魅力が発揮されていま〜す。

 

『殺しの烙印』(1967年・日活/監督:鈴木清順)

花田(宍戸錠)は業界ではbRにランクされる殺し屋で、組織の幹部(南原宏治)を護送する仕事を引受ける。bSとbQの殺し屋に襲撃されるが、彼らを倒し仕事をやり遂げる。しかし、美沙子(真理アンヌ)という女から依頼された殺しに失敗し、花田はbPに狙われることになる……

前半はギャビン・ライアルの『深夜プラス1』そのまんまです。錠さんの持っている拳銃がモーゼル・ミリタリーとあっては、あいた口がふさがりませんでした。脚本の具流八郎は、大和屋竺、曽根中生などの共同執筆名らしいのですが、前半と後半では主人公のキャラが不明確になっており、シナリオは破綻しています。それを清順監督は演出テクニックに走りすぎて、わけのわからないものにしてしまいましたね。

「わからない映画を作る」と社長に言われ、この作品で清順監督は日活を解雇され、『悲愁物語』まで10年間、映画が撮れなくなりました。清順作品というだけで、何でもかんでも持ち上げる傾向がありますが、これは演出過剰の失敗作だと私は思いま〜す。

 

探偵事務所23・くたばれ悪党ども』(1963年・日活/監督:鈴木清順)

ヤクザの取引現場を襲撃して、彼らの獲物を奪う強盗団が出現する。彼らの一味と思われる真辺(川地民雄)が逮捕されるが、証拠不十分で釈放されることになる。私立探偵の田島(宍戸錠)は、報酬目当てに熊谷警部(金子信雄)に協力して囮捜査員となる。田島は真辺に近づくことに成功し、彼らのボスである畑野(信欣三)を紹介される。畑野の秘書の千秋(笹森礼子)が、田島の正体を調べるが……

杜撰なシナリオによりマヌケな悪党が多い日活アクションにあって、この作品はしっかりできていますよ。信欣三が知能犯ぶりを見せて、これまでの日活にない悪党タイプでした。

笹森礼子では、陰のある女性役は無理だなァ。ジョーさんは、これまでのキャラの延長線上で、気持ちよく芝居している感じです。劇中でジョーと星ナオミがデュエットするのは、やっぱり日活だァ。

 

探偵事務所23・銭と女に弱い男』(1963年・日活/監督:柳瀬観)

田島(宍戸錠)は、密輸銃を扱っている宮城銃砲店を探るように競争相手の銃砲店から依頼される。警視庁の熊谷警部(金子信雄)も宮城(葉山良二)を捜査しており、田島に協力を求める。田島は宮城の情婦マリ(星ナオミ)のおかげで宮城の仲間になることに成功する。宮城の背後には香港の秘密結社・14Jがあり、宮城も組織の劉(小池朝雄)に見張られていた。組織の日本アジトであるキャバレーに潜入していた田島の秘書・千秋(笹森礼子)が劉に捕まり……

原作は大藪春彦のハードボイルド小説。錠さんは女にモテモテのヒーローを気持ちよさそうに演じていましたね。

探偵事務所のとぼけた事務員・土方弘と初井言栄、食えない警部の金子信雄も持ち味が出ていてグッド。

探偵事務所23は2本しか作られていませんが、シリーズ化して欲しかったですね。深刻なところが全然ない軽いタッチのアクション映画は貴重ですよ。

 

 

 

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