アニメの実写版


『8(エイト)マン・すべての寂しい夜のために』(2002年/監督:堀内靖博)

麻薬密売組織のために殉職した横田刑事(宍戸開)は、警視庁の田中課長(高橋悦史)と谷博士(宍戸錠)によってサイボーグ・ロボット“8マン”として甦る。過去の記憶は消され、横田刑事の正義の心が電子頭脳に移殖され、私立探偵・東八郎と名乗り、犯罪組織に挑むが……

独りよがりのフィーリング演出ばかり見せられると苦痛ですね。人間の心を持つがゆえに、愛する人への感情と自らの境遇の間で8マンが苦悩するバックボーンはいいのですが、それが主題となるのは困りますよ。

8マンの魅力はスピード感あふれるアクションをどうやって映像化するかにあるのに、それが全然できていません。バンバン悪党をやっつけ、社会的貢献との狭間で谷博士の息子・ケン(大友修)との対決が明確になってくるのです。

犯罪組織(ボスが中丸忠雄で、殺し屋がミッキー・カーチス)も、どうやって8マンを倒すかの工夫はないし、ケンの扱いも中途半端。原作の良さが出ていない脚本にも問題がありそうですね。

 

『デビルマン』(2004年・東映/那須博之)

不動明(伊崎央登)と飛鳥了(伊崎右典)は親友同士。ある日、明は了の家で、新エネルギーを探索中の了の父・飛鳥教授が南極地底湖をボーリングしていて超古代種族のデーモンを甦らせたことを知る。それは他の種族の身体を乗っ取り、進化し続けるという邪悪な生命体だった。デーモンは人体を乗っ取りはじめ人類の危機が迫る。明の身体もデーモンに侵されるが、明の心がデーモンになることを拒み、デビルマンとなってデーモンと戦うが……

フィーリングと思いつきだけの脚本のため、わけのわからない内容となっています。デビルマンを単純にデーモン退治の暗黒ヒーローとして描けば面白くなるはずなのに、中途半端なアルマゲドン思想を持ち込むものだから支離滅裂。

サタンとデーモンは違うのか、サタンって何だ? 了がサタンになった説明がないよォ。シレーヌはどうなったんだ? そんことは知れーぬ、なんて言うんじゃないぞ。生き残ったのは二人だけかい? あの破壊は何なの? 核爆弾、それとも別のエネルギー? 

評判が悪いのは観る前から知っていましたが、これほどとは……

有名人をカメオ出演させればいいってもんじゃないですよ。

怒りの大放屁、チャブ台返し!

 

『鉄人28号』(2004年・松竹/監督:富樫森)

世界征服を企む宅見零児(香川照之)が作った怪ロボット・ブラックオックスが東京を襲い、金田正太郎(池松壮亮)は綾部老人(中村嘉葎雄)から死んだ父親(阿部寛)の研究所へ呼び出される。正太郎の祖父も父もロボット研究家で、研究所には父の作った鉄人28号があった。正太郎は鉄人を操縦してオックスと戦うが、オックスの技術力の前に成す術もなく敗れる。天才少女・立花真美(蒼井優)によってバージョンアップされた鉄人で正太郎は再びオックスに挑むが……

知人が言っていた評判通りの最悪映画でした。ヒーローが悩むスパイダーマンとかバットマンといったハリウッド製アメコミ・ヒーローの悪しき影響を受けていますね。

金田正太郎は最初から男らしく勇気のある少年でなくちゃあ。泣きべそ顔の正太郎に魅力なし。へんな理屈が多いわりに、自衛隊の出動シーンはないし、どうやって鉄人を東京まで運んだのかもわからないし、ツッコミだしたらきりがありません。

悪い組織と気狂い科学者が作ったロボットが、世界征服のために東京を破壊し、天才少年の金田正太郎が操縦する鉄人28号が彼らの野望を砕くといった単純な設定でいいんですよ。怪ロボット出現→自衛隊の敗北→鉄人が出現し、怪ロボット撃退→鉄人の弱点が敵にわかり、鉄人ピンチ→鉄人の改良、悪党を殲滅、といった定型パターンで如何に面白く見せるかだけを考えて欲しかったなァ。

登場人物も、バットマンの敵がジョーカーやペンギン男であるように、悪のロボット科学者は不乱拳博士でないといけないし、鉄人を保守メンテするのは敷島博士でないといけないので〜す。

 

『ゲゲゲの鬼太郎』(2007年/監督:本木克英)

ねずみ男(大泉洋)が妖怪狐のところから盗み出した妖怪石が、ひょんなことから人間の少年が隠し持つことになり、妖怪石を盗んだ犯人にされた鬼太郎(ウエンツ瑛士)が少年の姉(井上真央)を助け、妖怪石を狙う空狐(橋本さとし)一味と戦いながら冤罪を晴らす物語です。

内容はともかく、にぎやかな顔ぶれで実写の面白さを出しています。造詣よりも雰囲気的に結構イメージを出していたと思いますよ。中でも造詣においても、役者のキャラ的にもピッタリだったのが大泉洋のねずみ男で〜す。

 

『ゲゲゲの鬼太郎・千年呪い歌』(2008年・松竹/監督:本木克英)

人間の魂を奪う妖怪かごめ女(寺島しのぶ)に襲われた女子高生・楓(北乃きい)を助けた鬼太郎(ウエンツ瑛士)は、かごめ女を封じるには五つの楽器が必要なことを知る。鬼太郎と楓、ねずみ男(大泉洋)と猫娘(田中麗奈)、子泣き爺(間寛平)と砂かけ婆(室井滋)が、その楽器を探しに出かけるが、その背後にかごめ女を利用したぬらりひょん(緒形拳)の陰謀があった……

かごめ女を利用して人間抹殺の大陰謀を企むぬらりひょんに、鬼太郎と仲間たちが挑む実写版第2作です。前作同様ににぎやかな顔ぶれですが、うまくストーリーが整理されていて前作より出来はいいですね。

“人の業”というテーマは結構重いのですが、緒形拳や寺島しのぶといった演技巧者なスターを使ったことでシラケませんでした。「人を助けるのに理由はいらない」というヒーロー像にも好感が持て、意外な掘出物で満足です。

 

 

 

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