アニメの実写版


『スピード・レーサー』(2008年/監督:アンディ&ラリー・ウォシャウスキー)

レース事故で死んだ兄の遺志を継いでカーレーサーになったスピード(エミール・ハーシュ)は、カーレースの不正を調べている公安に協力して、兄が命を落とした過酷なレースに参加する。両親(スーザン・サランドンとジョン・グッドマン)は反対するが、恋人(クリスティナ・リッチ)や謎のレーサーX(マシュー・フォックス)の協力を得て、何とかレースに勝利する。そして、カーレース業界の独占を企てているローヤルトン(ロジャー・アラム)の陰謀を知り……

原作は1967年にフジテレビ系列で放送されていた日本のアニメ『マッハGoGoGo』ね。『鉄腕アトム』がアメリカに輸出されて『アストロ・ボーイ』になったのと同じように、『スピード・レーサー』になったのですな。実写で映画化されるくらいだから、アメリカでは人気アニメだったのでしょうが、日本では今イチだったと思います。私は観た記憶がないんですよ。

♪〜マッハ ゴーゴー、マッハ ゴーゴー、マッハ ゴーゴーゴー〜の主題歌のサビ部分は、どこかで聴いて憶えていますけどね。

でもって映画の方ですが、『マトリックス』で斬新な映像を見せたウォシャウスキー兄弟の作品らしく、実写とアニメが巧くミックスされていて楽しい作品になっていました。

最初は期待していなかったのですが、映像センスが素晴らしく一見の価値はありますよ。物語は単純で、キャラもわかりやすく、お子様向けですが、実写にリアル感をもたせるのでなく、内容にあわせるようにマンガ化した演出は大人の粋を感じま〜す。

 

『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009年/監督:ジェームズ・ウォン)

原作は鳥山明のマンガ『ドラゴンボール』ね。画風とストーリーがマッチした独特の味が面白さなんですが、実写化での表現は無理でしたね。平凡なファンタジーアクションにすぎません。

強大なパワーを持つピッコロ大魔王が復活し、世界破滅の危機が訪れるんですな。くい止めるには、全部集めれば願いがかなうというドラゴンボールの力しかありません。ドラゴンボールは7つあって、その一つを孫悟空(ジャスティン・チャットウィン)が持っています。ピッコロ大魔王に殺された祖父の遺言で悟空はドラゴンボール探しと武術師匠の亀仙人(チョウ・ユンファ)を捜す旅に出るという、何度もお目にかかったような物語展開で、独創的な演出があるわけでもなく、型にはまった作品で〜す。

画像は、亀仙人のチョウ・ユンファと悟空のジャスティン・チャットウィン。マンガの亀仙人はオッパイの谷間に顔をうめてプルプルするのが好きというスケベー爺さんで、チョウ・ユンファもメイクを凝らしてオトボケ老人にして欲しかったですね。

 

『CASSHERN』(2004年/監督:紀里谷和明)

『デビルマン』と甲乙つけがたい駄作という評価通りの作品でした。原作はテレビアニメの『新造人間キャシャーン』ですが、原作とは大きくかけ離れたものになっています。公害によって荒れはてた世界を、人間を抹殺することによって浄化しようとする機械人間との戦いを描いたはずなんですが、映画の方は色々なものを詰め込みすぎて散漫になっただけでなく、独りよがりの観念的な映像ばかり見せられて苦痛でしたよ。

不治の病に罹っている妻(樋口加南子)を救うために自然再生する“新造細胞”を研究している主人公(伊勢谷友介)の父(寺尾聡)は、健康を害している将軍(大滝秀治)の配下(及川光弘)から資金提供されて細胞開発に成功します。しかし、実験サンプルが新造人間として甦り、唐沢寿明をリーダーとして反乱を起こすんですな。

戦死した主人公も新造人間となり、主人公の恋人(麻生久美子)の父(小日向文世)が作った強化服を着けて新造人間軍団と戦うんです。他にも、クーデアターを起こす将軍の息子に西島秀俊、異常な復讐心を持っている軍人に寺島進、この作品が遺作となった主人公にキャシャーンの名をつける三橋達也など出演者の顔ぶれは豊かなのですが、脚本に深みがないため演技が活かされていません。

「キリヤーンがやらねば誰がやる」とばかりに監督したのでしょうが、原作を素直に映画化しても良かったと思いますねェ。

 

『ヤッターマン』(2008年/監督:三池崇史)

4つ集めるとどんな願いもかなうというドクロストーンをめぐって、ヤッターマンとドロンジョ一味の争奪戦が繰り広げられるんですが、ストーリーよりもアニメの世界を忠実に実写化したところが見どころです。特にキャスティングがピッタリでしたね。ボヤッキーの生瀬勝久と、トンズラーのケンドーコバヤシが抜群でしたよ。ドロンジョの深田恭子も、原作のイメージとは違うものの、お色気タップリでマンガチックなところは違和感ありませんでした。

三池監督は中途半端な原作改変をせず、バカバカしくクダラない物語を、“ブタもおだてりゃ木に登る”といったようなアニメでの定番ギャグや、ヤッターマン1号(桜井翔)とヤッターマン2号(福田沙紀)の勝利のポーズなどを色々もりこみ、アニメに親しんでいたファンを楽しめるようにしています。SFXにもう少しお金をかけ、緻密なものにしたら、もっと良かったと思いま〜す。

 

『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年/監督:山崎貴)

ガミラス星人の攻撃で放射能汚染された地球を救うために宇宙戦艦ヤマトが放射能除去装置を求めてイスカンダルへ旅立ちます。人気アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の実写版で、古代進の木村拓哉も森雪の黒木メイサもアニメキャラと全然違いますね。ワープ中のエッチなんて、海外ドラマ的ですな。『バトルスター・ギャラクティカ』に出てきそうなシーンですよ。あれがないと、ラストの映像に繋がらないわけですが、これも海外ドラマでよく使う手法ね。

制作費の関係か、戦闘シーンがチマチマして、メインであるはずのヤマトの迫力が感じられません。お馴染みの「宇宙戦艦ヤマト」のテーマをバックに出陣するところは、イケルと思ったのですが、すぐに波動砲発射シーンとなり余韻が残りませんね。宇宙を行くヤマトの雄姿や、ガミラス艦隊との宇宙海戦をジックリ見せて欲しかったです。キムタクの顔より、ヤマトをもっと見せろォ。

 

 

 

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