ジェット・リーのアクション


HERO<英雄>(2002年/監督:チャン・イーモウ)

紀元前200年の中国。天下統一を目指す秦王(後の始皇帝)のところへ、最強の暗殺者を倒したという男・無名(ジェット・リー)が現れる。彼は3人の暗殺者との闘いを語り始めるが……

チャン・イーモウの様式美の世界ですね。色彩の素晴らしさは認めますが、アクション映画としては物足りません。ジェット・リーのアクションに期待していた私としてはガッカリです。

それにしてもチャン・イーモウは黒澤明の影響をもろに受けているなァ。

 

ザ・ワン(2001年/監督:ジェームズ・ウォン)

多次元世界の自分を倒して残る一人となった自分を求めてジェット・リーが現次元のロサンゼルスにやってくる。自分を倒す毎に、そのエネルギーは残りの自分に割り振られ、最後の一人となった時は果たして……

一人二役で格闘するシーンは、どちらかがスタンドインのため長回しができず、細かなカット割りになります。スピード感はあっても、アクションにパワーが感じられないんですよ。

『マトリックス』のようなCG処理があったりして、技巧ばかりが目立ちます。ジェット・リーの持ち味が活かされていないような気がしますねェ。

 

マスター・オブ・リアル・カンフー大地無限(1994年/監督:ユエン・ウーピン)

太極拳の創始者・張三宝(ジェット・リー)の物語。

昇格試験に粗暴な振るまいをしたことから、張三宝は兄弟子と少林寺を去ることになる。張三宝は武芸の道へ、兄弟子は栄誉を求めて軍隊へと違う道を歩む。そして役人の圧政に起ちあがった張三宝の前に、将軍となった兄弟子が立ち塞がる……

内容は単純ですが、肉体を最大限に使ったアクションの連続で退屈しません。ジェット・リーだけでなく、ミシェル・ヨーも華麗な動きを見せてくれて満足で〜す、

 

ドラゴンファイト(1989年/監督:ビリー・タン)

アメリカ公演でサンフランシスコに来ていた中国武術団のワイ(ディック・ウェイ)は、アメリカに亡命しようと仲間から抜けるが、空港で不審訊問を受け、警官を殺してしまう。ワイの亡命を止めようとして追いかけてきたジミー(ジェット・リー)の身分証明書が現場に落ちていたことから、ジミーに殺人容疑がかかり逮捕される。移送中の警察の車から脱走したジミーは、無実の罪を証明するためにワイを捜すが……

ジェット・リーの強さがアピールできていません。むしろディック・ウェイの方がカッコいいです。

この作品のジェット・リーを見ていると、頭悪いんじゃないの、とチャチャを入れたくなります。要するに脚本の出来が悪いんですな。

あのラストでは無実を証明することはできないし、後味の悪さだけが残りましたよ。

馳星周って香港の役者の名前だったんだ。

 

ロミオ・マスト・ダイ(2000年/監督:アンジェイ・バートコウィアク)

黒人ギャングとチャイニーズ・マフィアが対立しているオークランドへ弟が殺されたことを知ったハン・リー(ジェット・リー)が、香港刑務所を脱獄してやって来る。リーの父親はチャイニーズ・マフィアのボスで、リーは犯人を捜すために対立している黒人ギャングのボスの娘に近づくが……

ジェット・リーの生身のアクションだけが魅力の作品。身体が動けるうちは、徹底してアクションを見せて欲しいですね。決して演技派になろうなんて思わないでね。

 

『SPIRIT』(2006年/監督:ロニー・ユー)

フォ・ファンジア(ジェット・リー)は、父にあこがれて父に隠れて武道の修行をする。父が亡くなった後、道場を継ぎ父以上の武術家になるが、精神修業はできておらず強さだけを誇示していた。些細なことから決闘となり、相手を殺して恨まれ、母と子を殺される。世捨て人となって放浪しているところを、盲目の娘ユエツー(スン・リー)に助けられる。農民として暮らしているうちに、人としての大切なものを知り、真の武道家の道を歩むが……

ワイヤーやコマ落とし撮影によるトリックはあっても、ジェット・リーの動きは悪くなかったです。ただ、上海武術大会でジェット・リーが闘う最強の日本人武道家というのが中村獅童ではね。獅童の格闘シーンの殆どがスタンドインと、はっきりわかるんですよ。獅童ではアクション相手として役不足でした。

ところで、主人公の霍元甲=フォ・ファンジアは実在の人物で、ブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』で毒殺された恩師というのが、この霍元甲です。こちらでは日本人武道家は卑劣な敵役でしたが、『SPIRIT』の日本人武道家は正々堂々としていて中村獅童の儲け役でしたね。

 

 

 

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