低価格DVD


マクリントック(1963年/監督:アンドリュー・V・マクラグレン)

300円のカバヤの食玩DVD。

仲違いしていたマクリントック(ジョン・ウェイン)の妻・キャサリン(モーリン・オハラ)が、東部の大学を卒業して帰ってくる娘・ベッキー(ステファニー・パワーズ)の後見人になるために3年ぶりに牧場に戻ってくる。マクリントックとキャサリンは苦労を共にしてきた相思相愛の夫婦だったが、ちょっとした誤解から離婚騒動にまで発展していたのだ。

マクリントックは町の実力者で、入植者のトラブルやインディアンの暴動に対応しているうちに……

西部の王者・ジョン・ウェインのための映画(製作が長男のマイク、共演が次男のパット、娘のアイサも出演)といった感じで、ウェインも気持ちよく演じています。モーリン・オハラとも呼吸があっており、ユーモアあふれるホームドラマ・ウエスタンに仕上がっています。作品的価値はあまりないでしょうが、愉しめる作品で、私はこんな西部劇が好きなんで〜す。

 

ザ・ビッグ・ツリー(1952年/監督:フェリックス・E・フェイスト)

キオスクで売られていた380円DVD。

1900年初め、ウィスコンシン州で木材事業に失敗したカーク・ダグラスはカリフォルニアで再起を図る。材木に適した森林を見つけるが、そこではクエーカー教徒たちが自然を守りながら暮らしていた。ダグラスは牧師の娘イブ・ミラーに色仕掛けと押しの強さで近づくが……

1900年初めのカリフォルニアを舞台にした未公開の西部劇(広義に解釈)です。木材事業の野心に燃えるカーク・ダグラスが自然保護を生きがいにしているクエーカー教徒の女性との愛にめざめ、悪質な木材業者と対決する物語。材木列車の暴走シーンやダムの爆破シーンは、中々の迫力で見せてくれますが、全体としては平凡な内容です。

野望のためなら手段を選ばぬ冷徹な男というキャラクターは、カーク・ダグラスの当時の定番でしたね。この作品では、それが中途半端な感じがするのは、脚本の出来が悪いからでしょう。

イブ・ミラーは西部劇に添え物としてよく出演していたB級女優。同じB級西部劇添え物女優なら、酒場女役のパトリス・ワイモアの方が私の好みで〜す。

 

駅馬車(1939年/監督:ジョン・フォード)

本屋で購入した500円DVD。チャプターも何もなく、ビデオソフトと同じです。今回、再見して妄想したこと……

作品感想で、私はハットフィールドの拳銃がピースメイカーからSWに変ったことを承知のミスと言いましたが、ハットフィールドはSWを最初から持っていたような気がしました。ハットフィールドは賭博師なので小型拳銃を隠し持っていることが考えられるからです。ピースメイカーの弾丸を撃ちつくして、SWを取り出したんじゃないでしょうか。

ラストのプラマー兄弟との決闘シーンは、徹底してプラマー兄弟の死を暗示させるような演出をしていますね。ルーク・プラマーがポーカーをしている時に、リンゴ・キッドがやってきた知らせを受けるのですが、その時手にしていたのがワイルド・ビル・ヒコックが殺された時と同じ黒のツーペア。“死の札”でした。プラマー兄弟が通りを歩いていると、黒猫が横切る。不吉の前兆です。つまり、プラマー兄弟は死ぬ運命ということを事前に観客へ知らせているんです。決闘のあと、ルーク・プラマーが酒場に戻ってきて倒れるシーンが効果をあげるんですね。「う〜ん、やっぱり」という感じでね。

リンゴ・キッドとプラマー兄弟の決闘シーンは画面に表れませんが、銃声が5発するんですよ。3発はリンゴ・キッドが撃ったものですが、後の2発は?普通に考えれば、プラマー兄弟が撃ったんでしょうが、私は保安官が撃ったんじゃないかと考えています。決闘の後、リンゴが勝ったことに驚きもせず、馬車を用意しているなんて手際がよすぎます。現場で手を貸したから当然のこととして行動できたような気がしますね。フォード=ウェインの西部劇の最後にあたる『リバティ・バランスを射った男』で、その回答を示したような気がするんですが……

 

復讐の谷(1951年/監督:リチャード・ソープ)

キオスクで購入した380円DVD。380円DVDといってもチャプターもスタッフ&キャスト紹介もついています。ただ、キャスト紹介でジョン・アイアランドの写真がヒュー・オブライエンという間違いはありましたけどね。

コロラドの大牧場主の息子リー(ロバート・ウォーカー)は、ジェーン(ジョーン・ドルー)と結婚する前につきあっていたリリー(サリー・フォレスト)に子どもができたことを知り、牧童頭のオーエン(バート・ランカスター)にリリーの後始末を頼む。孤児だったオーエンはリーの父親に我が子同様に育ててもらった恩義があり、リリーの面倒をみてやる。リリーの二人の兄(ジョン・アイアランド、ヒュー・オブライエン)は、オーエンが子どもの父親と思い込み、彼をつけ狙うが……

リチャード・ソープの演出は間延びがしていて緊迫感に欠けます。そのため決闘シーンが盛り上がらず、全然迫力ありませ〜ん。ロバート・ウォーカーのノイローゼ演技は持ち味が出ていますけどね。負けん気な烈しい気性のジョーン・ドルーと、タフで正義感の固まりのバート・ランカスターに挟まれたら、気の弱いロバート・ウォーカーはノイローゼになりま〜す。(笑)

この作品の見どころは、ラウンドアップでしょうね。ラウンドアップというのは、冬の間放牧していた牛を春になってカウボーイたちが駆り集める仕事なんですよ。モンタナ、ワイオミング、コロラドといった北西部では、公有地が私有地となり、有刺鉄線に囲まれた牧場形態になるまでは、冬の間、牧場主たちは広大な放牧地(公有地)に牛を放牧していました。放牧地には色々な牧場の牛たちが交じりあっていたので、それぞれの牧場のカウボーイたちが共同で牛を駆り集め(焼印でどこの牧場の牛は判る)、新しく生まれた子牛には焼印を押しました。この結果、牧場主は自分がどれだけの肉牛を持っているかがわかるんですね。

1886年にモンタナで行われたラウンドアップは、牧畜史上もっとも大がかりなもので、100万頭を越える牛が放牧されていて、登録されている焼印は4千種以上だったそうです。放牧地を17地区に分け、1地区当り100人近くのカウボーイが作業したそうです。

ところで、この作品に出てくる牛はロングホーンでなく、英国から輸入されたヘレフォード種ですが、いつごろから交配され繁殖したんでしょうかね?

 

 

バート・ランカスター、ジョーン・ドルー、ロバート・ウォーカー

 

 

 

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