『ラスト・ガンマン』(1979年/監督:アラン・J・レビ)
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ローレンスの町を襲撃したクァントレル(ロバート・ダビ)に両親を殺された主人公(ジェフリー・オスターヘイジ)が伝説のガンマンから戦い方を習い、彼の後を継いで正義のガンマンになる物語ね。野生馬を捕えて愛馬にしたり、黒人の相棒ができたり、恋人ができたりと、TVシリーズのパイロット版のような気がしてIMDbで調べたら、これ1本だけでした。評判が良くなかったのかな。 白ずくめの衣装に、7連発の黄金銃、心眼で命中させるとなると、昔の子供向け西部劇“ローンレンジャー”や“ホパロング・キャシディ”と同じ世界です。クァントレルは南軍ゲリラというより金歯ギラギラの無法者で、クァントレルを追っているのが名誉欲まるだしのカスター(ケア・ダリー)で、子供でもわかるキャラ設定となっています。 伝説のガンマンの恋人だった酒場のマダムの名がマギー・オークレーで娘の名がアニーとはね。酒場の乱闘でカスターの邪魔をするのがシッティング・ブルとは笑えます。バッファロー・ビルやワイアット・アープも登場し、大人の懐古趣味に期待したかもしれませんね。1979年となると、西部劇なんて過去の遺物になっていましたからねェ。 |
『デスペラード』(1987年/監督:バージル・W・ボーゲル)
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デュエル(アレックス・マッカサー)が鉱山会社に頼まれて牛を運んできた町は、鉱山会社の責任者バラード(デビッド・ワーナー)が支配する町だった。酒場を経営するバラードの子分ビート(ヤフェット・コットー)のイカサマ賭博を見破った腕前からバラードはデュエルを雇おうとするが、デュエルは断り、町を出て山でキャンプする。自然を愛する山の持主マロイ父娘の歓待を受けたデュエルは、山を買収するために脅しにきたビートの手下から二人を救ったことからバラードと対立することになる。マロイは鉱山会社の自然破壊から山を守っていたのだ。マロイの家で過すうちにデュエルは娘のノラ(リセ・カテル)と愛し合うようになるが、マロイが牛泥棒として殺され、デュエルも逮捕される。ノラは山の権利をバラードに譲りわたすことでデュエルを釈放しようとするが…… 『3時10分、決断の時』の原作者エルモア・レナードが脚本を書いています。流れ者が愛する女性のために悪党たちと戦うという昔ながらの西部劇ですね。昔の西部劇と違うのは、主人公がフェミニストじゃないことかな。 イーグルスの「流れ者」が挿入歌として使われており、多種類の銃器が出てきて、その方面に興味のある人は楽しめるでしょうが、スローモーションを多用する演出は感心できませんね。 懐かしいところで、町の保安官役でロバート・ボーン、連邦保安官役でパーネル・ロバーツが顔を見せています。 保安官殺害の無実を証明する悪党が逃げたために、そいつを追って旅立つラストとなっており、“デスパレート”シリーズとして、1989年までに続編が4本作られていま〜す。 |
『ダウン・ザ・ロング・ヒルズ』(1986年/監督:バート・ケネディ)
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ブリッジャー砦に向かう幌馬車隊が、二人の悪党(マイケル・レンとボー・ホプキンス)がコマンチ族から盗んだ馬と日用品を交換したため、コマンチ族に襲撃される。その場にいなかった12歳の少年ハーディ(トム・ブラウン)と5歳の少女ベティ(リサ・マクファーレン)だけが生き残り、二人はハーディの父スコット(ブルース・ボクスレイトナー)が待つブリッジャー砦を目指す。親友のビル(ジャック・イーラム)から幌馬車が襲撃されたことを聞いたスコットは、ビルと二人を捜しに行くが…… 少年のサバイバルドラマです。食料の確保だけでなく、熊や狼が襲ってきたり、少年の馬(勇敢で足が早く、頭もいいんだな)を狙ってインディアンが追ってきたり、悪党が待ち受けていたりと、多難の連続なんですよ。 ディズニー作品なので、凄惨なシーンはありませんが、ほどほどのスリルを味あわせてくれるバート・ケネディの演出は手馴れたものです。ジャック・イーラムがベテランの味を見せ、存在感がありますね。大人にとっては刺激不足ですが、家族で楽しめる西部劇になっていま〜す。 |
『ザ・グレート・ファイター』(1984年/監督:スティーブ・ヒリヤード・スターン)
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15年の刑期を終えて出所したハリー(カーク・ダグラス)は、ベルシティーという町でポーカーに勝つが、相手が町の有力者だったために因縁をつけられ、正当防衛で保安官を撃ち殺してしまう。ハリーも足を負傷し、駅馬車の暴走で助けた旅回りの女優とホテルに立てこもる。ハリーの銃の腕前に、住民はなにもできず、往年の名保安官スターレット(ジェームズ・コバーン)を雇う。スターレットとハリーは昔馴染みで、スターレットは正当な裁判を受けさせることを約束するが、やってきたのはハリーに恨みを持つ首吊り判事だった。スターレットとハリーは決闘で決着をつけることになり…… カーク・ダグラスの68歳の作品で最後の西部劇(存命だが、もう西部劇に出演することはあるまい)です。かたやジェームズ・コバーンは56歳なのですが、ダグラスより老けてみえましたね。 ダグラスは昔取った杵柄で、拳銃をクルクル回したり、駅馬車に飛び乗ったりと、ガンバッテいます。インディアンがくれた育毛剤を頭にかけるのは笑いましたけどね。インディアンにハゲはいない。 コメディタッチの西部劇で、“時代遅れの西部男”を描いた西部の挽歌なんて小難しいことは考えないで、二人の好々爺とした演技を楽しむので〜す。 |
『コロラドへの道』(1983年/監督:ドン・テイラー)
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西部では有名なガンマンのベン・サンデイ(ロバート・プレストン)は、気の強い尼僧のダルシナ(パティ・デューク)の依頼で、インディアン孤児たちの学校を開設するために、ニューメキシコのサンタフェからコロラドのコロンバインまでの護衛を頼まれる。コロンバインは無法の町で、学校予定地の教会は酒場になっており、ブライアン(クリストファー・ロイド)という町のボスが仕切っていた。サンデイはダルシナにサンタフェに戻るよう勧めるが、孤児たちと空納屋に住みついて教会を取り戻すべく活動を開始する。酒場のマダム(サリー・ケラーマン)やアル中保安官(ジェフリー・ルイス)が味方になり…… 頑固な老ガンマンと気の強い尼僧のコンビというと、『オレゴン魂』が思い出されますが、二人のキャラはデュークとケティのそれと似ています。パティとプレストンのユーモラスなやりとりは退屈しませんね。 全体的に一本調子で緩い演出ですが、個性的な出演者のお陰で楽しめました。テレビムーヴィとしては上出来といえま〜す。 |