メキシコ革命劇


『戦うパンチョビラ』(1968年/監督:バズ・キューリック)

1912年のメキシコに、武器を積んだ飛行機でリー(ロバート・ミッチャム)がやって来る。反革命軍のラミレス大尉(フランク・ウォルフ)へ武器を売りつけることに成功するが、着陸した時に車輪が壊れ、修理のために近くの村に滞在することになる。鍛冶屋の娘・フィナ(マリア・グラツィア・ブッセラ)に一目惚れし、ぐずぐずしていたら反革命軍が村を襲撃し、鍛冶屋を殺してしまう。そこへパンチョ・ビラ(ユル・ブリンナー)の革命軍が村人の救出に現れ、リーはビラに捕らえられる。しかし、飛行機の戦略的価値を考えたビラはリーの命を助け、革命軍に協力するように要請する。リーは革命軍に加わり……

ウィリアム・ダグラス・ランスフォードの実伝ストーリー(時代的にはマデーロが大統領になって、ウェルタに殺されるまでの期間)を、サム・ペキンパーがロバート・タウンの協力を得て脚本化しています。その脚本をもとにバズ・キューリック監督は、見せ場タップリの娯楽映画に仕上げていますね。

キャラ的にはミッチャムやブリンナーより、殺人好きのビラの副官を演じたチャールズ・ブロンソンが目立っていました。逃げることに成功したら助けるといって捕虜を走らせ、片っ端から射ち殺し、射ちすぎた手を水で冷やすシーンや、捕虜を縦に三人並べ、バントラインで射ち殺し、弾丸が一発で済んだというシーンには笑いましたよ。

ミッチャムがラストでよろしくやっている美女がジル・アイアランドだったのは、ご愛敬。

 

『英雄パンチョ・ビラ』(2003年/監督:ブルース・ベレスフォード)

メキシコの革命家パンチョ・ビラ(アントニオ・バンデラス)をアメリカの敵として論ずる新聞王・ハーストに対して、映画プロデューサーのD・W・グリフィスはパンチョ・ビラから提案のあったビラの真実の姿を映像化するためにフランク(イーオン・ベイリー)をメキシコへ派遣する。フランクはビラと接しているうちに、ビラの魅力に惹きつけられ、アメリカから役者を連れてきて映画化するが……

直接パンチョ・ビラを描くのでなく、映画撮影を通してビラの人間像を描いたTVムーヴィです。野性的なアントニオ・バンデラスはパンチョ・ビラには適役でしたね。パンチョ・ビラは、やっぱりラテン系の役者ですよ。

戦闘シーンが画一的演出のため、今イチ迫力が出ていません。実在した有名人が色々登場しますが全体的に凡庸で、スケール感の乏しい作品といえま〜す。

蛇足ですが、ビラの通訳兼軍事顧問役でアラン・アーキンが懐かしい顔を見せていました。

 

『Pancho Villa』(1973年/監督:ユージニオ・マーティン)

友人のスコッティ(クリント・ウォーカー)によって、護送中の列車から脱走したパンチョ・ビラ(テリー・サバラス)は、革命に必要な武器をアメリカの武器商人に調達依頼するが裏切られ、逆に命を狙われる。怒ったビラは、部下を率いてアメリカ国境を越え……

マカロニウエスタンの『ガン・クレイジー』や『無頼プロフェッショナル』を監督したユージニオ・マーティンの作品なので、マカロニかと思ったが、スペインとの合作映画のようです。

スキンヘッドのパンチョ・ビラというのは違和感ありすぎですよ。ユル・ブリンナー(戦うパンチョビラ)だってカツラをつけていたんですからね。主題歌をテリー・サバラスが歌っているのは、ご愛敬ね。かったるい演出で盛り上がりに欠けるものの、1960年代のテレビ西部劇『シャイアン』のクリント・ウォーカー、『ライフルマン』のチャック・コナーズ、それに『ハニーにおまかせ』のアン・フランシスが出演していたので楽しめました。

それにしても、拳銃を構えた時のクリント・ウォーカーの身のこなしは、長年西部劇で培ってきた本場の匂いがして、良かったですねェ。

 

『奇傑パンチョ』(1934年/監督:ジャック・コンウェイ)

地主に父親を殺されたパンチョ・ビラ(ウォーレス・ビアリー)は、相棒のシェラ(レオ・キャリロ)と義賊となって地主たちを襲撃する。人徳ある政治家マデロと知り合ったパンチョは、パスカル将軍(ジョゼフ・シルドクラウト)の軍隊に加わることを承諾するが、その命令には従わず、自己流の戦法で次々に勝利をおさめ、メキシコシティーを陥落させる。パスカルはパンチョを国外追放し、マデロを暗殺して政権を握る。祖国に戻ったパンチョは義勇軍を率いてパスカル打倒に起ち上がり……

クレジットでは監督はジャック・コンウェイとなっていますが、野外シーンは全てハワード・ホークスが監督しています。アクションシーンの切れ味は、ホークスならではの感じがします。

それと、豪快野卑の中にユーモラスを感じさせるパンチョ・ビラのキャラはウォーレス・ビアリーにピッタリでしたね。

パンチョ・ビラが暗殺されたのが1917年ですから、この映画が作られた時は関係者が多く存命していて、史実とは異なった内容になっています。ビラを知っている土地の人が、「ビラは射撃のうまい男を部下にしようとして、妻子があるからと断られると、断る理由をなくすために妻子を射ち殺した」と不快な面持ちで、ロケにきていたウォーレス・ビアリーに語った話が伝わっています。それが事実なら、フェルナンド・サンチョのような奴だねェ。

 

 

 

トップへ   シネマ館へ    目次へ   次ページへ