テレビムーヴィ


『ブラインド・ジャスティス』(1994年/監督:リチャード・スペンス)

南北戦争時代のメキシコ国境の村に、赤ん坊を連れた一人の男(アーマンド・アサンテ)がやって来る。彼はロス・ポタレスという土地を探していた。村は凶悪な南軍ゲリラの襲撃に怯えており、北軍の守備隊もゲリラの前では無力だった。男は、自分を襲ったゲリラ兵を射ち殺したことから、村を守って戦うことになる……

アメリカ製西部劇ですが、“なんでもあり”のマカロニ・テイストを持った西部劇でした。主人公は盲目で、音だけで敵の位置を感知して、離れている相手を一発で次々と倒すんですからね。 チャンバラだと盲目でも、斬りかかる気配を察知して相手を倒すことができますが、西部劇だとムリがあります。

おまけにラストでは、ダイナマイトの爆風で耳まで聞こえなくなっていて、ゲリラ隊長のロバート・ダヴィを相手に、臭いで命中させるんですよ。ロバート・ダヴィの体臭はひどかった?(笑)

荒唐無稽な“盲目ガンマン”はマカロニだけかと思っていたら、アメリカにも現われた。本場といえども、まともな西部劇が作れなくなったんですねェ。

 

『グレゴリオ・コルテス』(1983年/監督:ロバート・M・ヤング)

横暴な保安官を殺し、テキサスレンジャーに追跡されたが決して捕まらなかったというグレゴリオ・コルテスの実像を描いたドキュメンタリー・タッチの西部劇。

彼の伝説は、バラードとなってアメリカで暮らすメキシコ貧民の間で歌われているんですよ。この作品の中でも、その曲が流れます。

内容的には、ただ場面をつないでいるだけで演出に工夫がなく、平凡な作品です。はっきり言って退屈します。

主演のエドワード・ジェームズ・オルモスは、角川映画の『白昼の死角』や『復活の日』に出演していたらしいのですが、全然記憶にないなァ。

 

アウトロー無宿 ライフルヒート』(1987年/監督:ロバート・デイ)

1876年のワイオミング。西部の新天地を求めて旅をする一家が無法者に狙われ、流れ者のガンマンのカーン(サム・エリオット)が一家を救う。首領の息子を殺したことから、無法者はしつこく一家をつけ狙い、カーンは一家を守るべく一緒に旅をする。カーンと一家の間に友情が芽生え……

流れ者が移住者の一家を助けて無法者と戦い、何処へとも去って行く。人妻は流れ者に恋心を抱き、息子は流れ者の銃の腕前に憧れるという、“シェーン”タイプの西部劇です。

シェーンが女性(人妻)にストイックなのに対して、カーンが自分の気持ちを人妻へあからさまに打ち明けるのは現代的ですね。亭主(トム・コートネイ)が嫉妬して、カーンと殴り合うのも現代的です。

それにしても、サム・エリオットって西部劇が似合うなあ。西部の匂いを発散させているんですよ。演技でなく(サム・エリオットに演技力はない)、雰囲気で見せる役者ですね。

それと、人妻役のケイト・キャプショーもよかったなァ。

 

クロスファイア・トレイル 約束の牧場』(2001年/監督:サイモン・ウィンサー)

妻(ヴァージニア・マドセン)と牧場を守って欲しいという親友の遺言で、ワイオミングにやってきた主人公(トム・セレック)が、町を牛耳る顔役(マーク・ハーモン)と対決するオーソドックスな西部劇。

自分の手を汚さずに目的を遂げようと悪計をめぐらす紳士面した町の顔役、冷酷な殺し屋、女教師をしている美しき未亡人、牧場で働く昔気質の一徹な老人、事なかれ主義の保安官等、西部劇の定番キャラクターが定石通りの行動をしてくれます。決闘シーンなんかワクワクする楽しさです。

ただ、全体的に説明不足なところがあって、消化不良な感じがするんですよね。

まず第一に、主人公の素性がわからないこと。船に乗っていたので船員かと思ったのですが、そうでなく、かといってシェーンのようなガンマンでもない。

スー族との絡みも、もっと出てくるかと思ったら、あれだけだったし……

そうはいっても、満足のいく西部劇ですよ。

サイモン・ウィンサーは、『ロンサム・ダブ』や『ブラッディ・ガン』などの西部劇で見事な手腕を見せているので、今後も期待したいですね。

 

『ホリスター』(1991年/監督:ヴァーン・ギラム)

南北戦争では射撃の名人として名が知れたザック・ホリスター(ブライアン・ブルーム)だったが、牧場を営む資金を稼ぐために、弟とウィアー(ジェームズ・レマー)の列車強盗団に加わる。列車強盗は成功するが、ウィアーの裏切りにより弟は殺され、ホリスターは重傷を負う。ホリスターはウィアーへの復讐を誓うが、命を救ってくれたキャサリンの頼みで、大牧場主(デビッド・キャラダイン)の息子の誘拐捜索のために保安官助手となり……

保安官だった父親が非業の死を遂げた為に、保安官だけはなりたくないと思っていた主人公が、正義に目覚め、結局自分も保安官になるという、これまたオーソドックスな西部劇。

ジェリー・ゴールドスミスの音楽は、往年の西部劇を彷彿させるタッチで嬉しくなります。主役のブライアン・ブルーム(眉毛の濃い顔は、好きになれない)も、西部男らしいアクションを見せてくれるし、テレビムーヴィですが侮れませんよ。

主人公が護身用に使う、アパッチピストルに似たナックルダスターが出てきたのも、珍銃ファンの私としては満足で〜す。

 

 

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