TVムーヴィ


バッファロー・ガールズ(1995年/監督:ロッド・ハーディ)

かの有名なカラミティー・ジェーンの物語。TVムーヴィといっても、3時間弱の大作です。

ワイルド・ビル・ヒッコックとの間に娘が生まれ、養女に出したという話は、真偽はともかくとして有名な話で、それを題材とした愛のロマンになっています。

 だから、西部劇といっても射ち合いはありません。でも西部劇好きの私としては、バッファロー・ビルのワイルド・ウエスト・ショーのイギリス公演など、興味深い史実が盛り込まれており、楽しめましたよ。

 主演のアンジェリカ・ヒューストンは大女で、美人タイプの女性でないので、これまでの ジェーンの中では、一番実像に近いんじゃないかなあ

 

デッド・オア・アライブ(1987年/監督:ジョン・ギラーミン)

1882年、南北戦争終結後のアリゾナ。ガンマン生活を引退して牧場を営むノーブル・アダムス(クリス・クリストファーソン)のもとへ、USマーシャルが凶悪犯追跡の依頼にくる。ちょうど大学を卒業して帰ってきていた息子も加わり、追跡を開始する。凶悪犯はノーブルの親友を殺し、彼の娘と手伝いのインディアン娘を連れ去り……

主人公は、元北軍の名狙撃手で、復讐の女神ネミシスが彫り込まれた長銃身の単発式狙撃銃がカッコいいんですよ。だけど、カッコいいのはそれだけ。ジョン・ギラーミンの演出はパンチ不足。それに、父と離れ、子どもの頃から東部で暮らしていた息子の銃の腕前がよすぎるのが腑に落ちません。どこかで伏線を張っておかないと、ご都合主義になってしまいます。

本格西部劇ということで、満足しましたけどね。

 

ヴァージニアン(2000年/監督:ビル・プルマン)

戦前は、ゲーリー・クーパーの出世作。戦後は、ジョエル・マクリーとブライアン・ドンレビィの決闘が話題になり、テレビではジェームズ・ドルリーが演じたオーウェン・ウィスターのベスト・セラー小説「ヴァージニアン」を、ビル・プルマンが監督・主演したもの。

東部から教師としてワイオミングにやって来たモリー(ダイアン・レイン)は、ヴァージニアン(ビル・プルマン)と呼ばれるガース牧場の牧童頭と知り合い、愛し合うようになる。結婚式の日、宿敵トランパスの挑戦を受けたヴァージニアンは、長年の決着をつけるべく決闘におもむく……

カウボーイの生活を女性(モリー)の目を通して描くという手法は珍しいものではありませんが、西部男と東部女のカルチャー・ギャップを表現することに成功しています。

派手なアクションを極力避け、カウボーイの生活と風物に重点をおいた演出は、往年の名作西部劇の詩情を感じましたね。

TVムーヴィですが、意外な掘出物でした。

 

ジャック・ブル(1999年/監督:ジョン・バダム)

馬商人のミール・レディング(ジョン・キューザック)は、広大な土地を所有するヘンリー・バラード(L・Q・ジョーンズ)と意見の食い違いから対立していた。馬市に行く道筋には、バラードの土地があり、法外な通行料を要求してきた。馬の競りに間に合わせるためには、回り道をする時間はなく、馬の売買代金が入るまでの担保として馬2頭を預けていく。しかし、通行料を払いに戻ってきたミールを待ちうけていたのは、歩くこともできないほど痛めつけられた馬と、同じく傷を負わされた飼育係の先住民・ビリーの姿だった。ミールは法のもとにバラードと対決しようとするが、権力者の前に法は無力だった。対決の最中、愛する妻までを事故で失い、ミールは全ての財産を処分して自らの手でバラードに制裁を下すことを誓う……

“法のもとでは人間は平等であり、個人の権利は守られなければならない。それが民主主義であり、正義である”

『ジャック・ブル』は、正義のあり方がテーマになっていますが、私は少し考えこんでしまいました。法は必ずしも弱者の味方ではなく、正義を貫くには多くの犠牲を必要とする。力には力で対抗するしかなく、それには痛みをともなうという主張に危険なものを感じるんですよ。結局、アメリカの正義がミールの行動に具現化されているように見えてくるんです。

 

ワイルド・ガンズ(1995年/監督:ロバート・ボリス)

南北戦争後の1866年、鉄道用地の買収を巡って、鉄道会社の殺し屋に父と弟を殺されたフランク(ビル・パクストン)とジェシー(ロブ・ロウ)のジェームズ兄弟は、ヤンガー兄弟とともに北部の資本家が経営する銀行や鉄道を狙う強盗団を結成した。南部の人たちは彼らを“ロビン・フッド”と称賛して英雄扱いする。鉄道会社は彼らを捕えるために、探偵のアラン・ピンカートンを雇い、執拗に追跡する……

西部劇でお馴染みのジェームズ・ギャング団の物語。ジェシーとフランクが悪の道に入るキッカケからジェシーの最後までを、目新しさもなく平凡に描いています。

フランクとジェシーの兄弟が、互いが互いに対してトラウマを持っている点が、新しい解釈といえるけど、自殺のようなジェシーの暗殺シーンはどうもね。

全体的にリアリティーに欠ける演出で、こんな西部劇じゃあ、西部劇ファンはガッカリですよ。一流の殺し屋であるルーク・アスキューが拳銃の弾丸ぎれでジェシーに殺されるのはマヌケすぎますし、テーマパークで走っているような色鮮やかな汽車が出てきたのもシラケたなあ。

ガンプレイもお粗末だし、西部劇の素人芝居を見ている感じでした。

 

最後のカウボーイ・決闘の町(1999年/監督:ジョン・ケント・ハリソン)

サム・エリオット

実在した名保安官ビル・ティルマンの晩年を描いた作品。

ビル・ティルマンは、日本ではそれほど有名ではありませんが、35年の長きにわたって法律のために戦った保安官としてアメリカでは尊敬されているんですよ。

ティルマンは1854年、アイオアで生まれ、16歳で西部にきてバッファロー狩りの仲間となり腕をあげました。1877年にカンサス州フォード郡(ダッジシティはフォード郡にある)のカウンティ・シェリフだったバット・マスターソンに頼まれて初めてバッジを胸につけ、マスターソンのデュピティ(助手)を4年間勤めました。マスターソンの後を継いでシェリフを3年やった後、オクラホマのインディアン地区が白人に開放されると、この地方の連邦保安官補となって治安にあたりました。オクラホマの州民から“アンクル・ビル”と親しまれただけでなく、無法者も彼を尊敬しています。

この作品にも思い出シーンとして出てきますが、当時オクラホマ一帯を荒らしまわっていたビル・ドーリン・ギャング団を追い、首領のドーリンを無傷で捕えたことで、アメリカ中に勇名が行き渡ります。ハリウッドに招かれて西部劇映画の制作にたずさわった後、1924年、石油ブームに湧くクロウェルの町に頼まれて、老いの身で再びバッジをつけましたが、卑怯者に背中を射たれて任務に倒れました。

そんなティルマンをサム・エリオットが好演しています。最近、西部劇の似合うスターが少なくなってきましたが、サム・エリオットは西部男の匂いを感じさせる数少ない俳優のひとりですね。昔だったら、リチャード・ファンズワースが似合うような役どころですが、現在ではサム・エリオットしかいないでしょう。

 

 

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