ランドルフ・スコットの西部劇


西部劇のオールド・ファンに絶対的人気があるのがランドルフ・スコットです。1931年にパラマウントでリチャード・アーレンのあとの西部劇スターとなり、途中で普通の映画や傍役としての出演がありますが、戦後は1946年から一貫してB級西部劇のヒーローとして君臨します。

しかし、私たち団塊の世代となると、サム・ペキンパーの『昼下りの決斗』がリアルタイムでスコットを見た最初で最後で、スコットのB級西部劇を劇場で観ていないんですよ。テレビ放映やビデオ・DVDを通じて観たスコット西部劇の感想を言うと、大半が出来の悪い作品で、2〜3本観ただけでは彼の魅力はわからないということですかね。

ところが何本も観ていくうちに、孤独の中に静かな優しみをたたえている常に変わらぬキャラクターに魅せられてくるんですよ。オールド・ファンも作品性よりもランドルフ・スコットそのものを楽しんだんでしょうねェ。

 

『叛逆の用心棒』(1953年/監督:アンドレ・ド・トス)

クァントレル・ゲリラに所属していたジェフ・トラビス(ランドルフ・スコット)は、ローレンスの町での略奪行為に嫌気がさしゲリラを抜ける。北軍からの追手を避けるためにアリゾナへやってきたトラビスは、町を牛耳っているジュールズに雇われる。ジュールズに言われて駅馬車会社で働くことになるが、ジュールズの狙いは駅馬車で運ばれる金塊だった。カリフォルニア行きを勧めるために、トラビスの恋人のジョシー(クレア・トレバー)が町にやってくるが、駅馬車会社の娘シェルビー(ジョーン・ウェルトン)と接しているうちに、トラビスはジュールズから駅馬車会社を守ろうと決意していた。トラビスはジュールズと対立している無法者のデガスにジュールズの計画を話し、二人を咬み合わせようとするが……

カメラに向かってやたらにモノが飛んでくると思ったら、3D映画だったんですね。だからといってキワモノでなく、ドラマ作りもしっかりしています。ラストの決闘が3Dを意識して少しもたつくのが難点ですけどね。

悪党の手下役で、リー・マービンとアーネスト・ボーグナインが存在感を見せていますし、R・スコットを助けるためにボーグナインに飛びかかるクレア・トレバーの鉄火ぶりも嬉しくなります。

日本未公開だったのは、3D映画だったからかなァ。

 

『怒りの夜明け』(1955年/監督:ティム・ウィーラン)

ギラティンの町で銀行襲撃に失敗したリノ兄弟は、事前に情報が漏れていたことに気づく。彼らが根城にしている酒場のバーテンがピーターソン探偵社のスパイとわかり、罠を仕掛けてバーテンを殺す。ピーターソン探偵社は、リノ兄弟の証拠をつかむために凄腕の捜査官ジム・バーノン(ランドルフ・スコット)を派遣する。ジムは列車強盗犯を装ってリノ兄弟に近づくが……

リノ兄弟は、西部で最初の列車強盗団として実在した無法者です。大幅な脚色はあるものの、史実に即した内容になっています。フォレスト・タッカーがリーダーのフランク・レノを演じていましたが、ふてぶてしくて中々いい味を出していましたよ。彩りを添えるのがローラ・レノ役のマーラ・パワーズ。史実になくても、ドラマを飾る必要な存在ですね。

ランドルフ・スコットは、機関車上でのフォレスト・タッカーとの射ちあいが見せ場くらいで、特に如何ってことなし。

ティム・ウィーラン監督の演出は歯切れが悪く、アクション・シーンに迫力がありませ〜ん。

 

『ネバダ決死隊』(1952年/監督:ロイ・ハギンス)

南軍のマット少佐(ランドルフ・スコット)は、北軍の金塊輸送隊を襲ってこれを奪うが、既に南北戦争は終結していた。金塊強奪が上官の私腹を肥やすためと知った、マットの部下ロルフ(リー・マービン)が上官を殺す。マットは金塊を南部復興のために使おうと考えるが、クインシー(レイ・ティール)に率いられた自警団くずれの無法者一味に襲撃される。マットたちは駅馬車を奪って、駅亭に逃げ込むが、無法者たちに包囲され……

金塊襲撃から駅亭に逃げ込むまで快調な展開です。無法者たちに包囲された後も、サスペンスとアクションがほどよく調和して飽きさせません。ランドルフ・スコットとドナ・リードがいつの間にか愛しあうようになったり、雷雨がきて火事が消えたり、無法者が仲間割れしたりと、ご都合主義的なところもありますが、よく出来たB級西部劇といえますね。

やたら人を殺すリー・マービンが、存在感があって良し。拳銃はレミントン、ライフルはヘンリーと銃器に凝っているのも嬉しいで〜す。

 

『捨身の一撃』(1956年/監督:ジョセフ・H・ルイス)

コロラドのメディシン・ベンドの保安官カレム(ランドルフ・スコット)は、町の秩序を保つために拳銃にものをいわせて無法者と対処していた。町を支配しようとしている劇場主のソーン(ワーナー・アンダーソン)や酒場のコディには、カレムは疎ましい存在だった。ソーンは結婚しようと歌手のタリー(アンジェラ・ランズベリー)をシカゴから呼び寄せるが、彼女は6年前に別居したカレムの妻だった。拳銃に生命をかけるカレムの生活についていけずに別れたのだが、タリーもカレムもお互いに愛する気持ちは変わっていなかった。鉱山が再開されることになり、町を自分のものにしようと、ソーンは殺し屋バスカム(マイケル・ペイト)を雇い、カレムに挑ませる。バスカムの早撃ちでカレムは頭に傷を負い倒れるが、その場にいた医者のウィン(ウォーレス・フォード)の機転で、死んだことにしてカレムを安全な場所へ移す。カレムがいなくなった町は無法の巷と化し……

ランドルフ・スコットが一人で町の秩序を守る孤独な保安官を演じています。『真昼の決闘』のゲーリー・クーパーのような悲壮感や、『リオ・ブラボー』のジョン・ウェインのような正義の塊でなく、宿命として職務を遂行する毅然とした態度にランドルフ・スコットらしさが出ていて満足です。

殺したかどうかも分からないようなマヌケな殺し屋はどうかと思いますが、スコットが倒れてからラストの決闘までの盛り上げ方は、B級西部劇としては上出来だと思いますよ。

それから、主人公が無法者を倒す床屋のシーンや、大牧場主の妻と悪党の不倫といった状況設定は、マカロニ・ウエスタンに影響を与えているかもしれませんね。

 

 

 

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