ジェームズ・スチュアートを西部劇スターというと疑問に思う人がいるかもしれませんが、1950年の『ウィンチェスター銃‘73』から彼の最後の西部劇『ファイベル西に行く』(アニメだけど、声で出演しているのだ)までの全出演40作品の内、西部劇が18本あります。半分近くが西部劇ですから、立派な西部劇スターです。 西部劇デビュー作『砂塵』で見せた人のよさそうな誠実な味わいと、人間性とリアリティを全面にうち出したアンソニー・マン監督の一連の作品におけるヒーロー像は、他のスターにはないスチュアート独特のキャラクターでした。 ただ、西部劇スターとして残念なのは、拳銃さばきが下手なこと。彼も自覚しているのか、拳銃よりもライフルを使うシーンの方が多かったですけどね。 |
『ララミーから来た男』(1955年/監督:アンソニー・マン)
ウィル(ジェームズ・スチュアート)が荷物を運んで、ニューメキシコの町へやってくる。彼の目的は、新式ライフルを持ったアパッチに弟が殺されたので、アパッチに銃を売った男を見つけて、仇をとることだった。塩のことから、大牧場主のドラ息子(アレックス・ニコル)や牧童頭(アーサー・ケネディ)と対立し…… アンソニー・マンの西部劇は、心に傷をおった登場人物が中心となって展開するトラウマ西部劇なんですが、この作品でもドナルド・クリスプ演じる大牧場主がキーになっています。 内容的には、ハッピー・エンドのどうってことのない西部劇ですが、チャールズ・ラングのカメラは素晴らしいですね。風景の空間的な拡がりには目を奪われますよ。これぞ西部劇という風景映像に満足で〜す。 ところで、DVDの特典として日本語吹替バージョンがついていたのですが、ジミー・スチュアートの声の出演をしていたのは森田順平。この声優を私は知りませ〜ん。 |
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『夜の道』(1957年/監督:ジェームズ・ニールソン)
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鉄道監督官だったマクレーン(ジェームズ・スチュアート)は、5年前に列車強盗団の一味に加わっていた弟のユティカ・キッド(オーディ・マーフィ)を逃がしたことから職を追われ、アコーディオンを持って“流し”をしていた。鉄道工事会社の支配人キンブルは、ホワイティー(ダン・デュリエ)一味に何度も工事人夫の給料を奪われており、マクレーンに護送を頼むが…… ノーマン・A・フォックスの原作をボーデン・チェイスが脚色した西部劇らしい西部劇。内容があまりにもオーソドックスすぎて公開当時の評価は今イチですが、変則的な西部劇ばかりを見慣れた私としましては新鮮に感じましたね。 オーディ・マーフィ、ダン・デュリエ、ジャック・イーラム、ブランドン・デ・ワイルド、みんな持ち味通りの役柄でした。ブランドン・デ・ワイルドの役名がジョーイというのは、『シェーン』の影響ですかね。エレイン・スチュアートは典型的な1950年代美人タイプで私の好みで〜す。 音楽はディミトリ・ティオムキンで、ジェームズ・スチュアートが劇中で歌うのですが、これは意外な掘出物でした。ジミーの歌が聴けるのは、『踊るアメリカ艦隊』と『名犬ラッシー』だけだと思っていましたからね。 |
『スタンピード』(1965年/監督:アンドリュー・V・マクラグレン)
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英国からマーサ(モーリン・オハラ)が亡夫の遺志をついでハーフォード種の牛を連れて娘のヒラリー(ジュリエット・ミルズ)とセントルイスの家畜オークションにやってくる。牛は2千ドルで落札され、テキサスのボウエン牧場に送られることになる。輸送を任されたサム(ジェームズ・スチュアート)は、母娘が一緒についてくるのに困惑するが…… アンドリュー・V・マクラグレンらしいユーモアとダイナミックさに満ちた西部劇です。監督デビュー作の『マクリン・トック』に似ていますね。酒場での派手な殴り合いシーンはマクラグレンの本領発揮です。 モーリン・オハラは持ち味通りだし、ボウエン役のブライアン・キースも良い。悪党のジャック・イーラムも嬉しい存在ですね。ジュリエット・ミルズは妹のヘイリーよりも美人ですが、中途半端な美しさです。アイドルというタイプでもないし、人気が今イチだったのがわかるような気がしました。 DVDのジャケット・コピーに“『大いなる決闘』で絶賛された英国人監督”とあったけど、とんでもない間違いですよ。ジョン・フォードの後継者である正統派西部劇監督と表現すべきだろう。西部劇を知らない若者が宣伝を担当しているので仕方ありませんね。 |